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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
第2章 守りたい平凡な日常
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丸呑み

丸呑み


人の気配がなく、差し込んで来ている陽の光も少ない廃墟ズルズルと闇色の蛇の長い胴体を引き摺り太陽が当たらない場所を徘徊していた。

「見つけた」

 人の声に振り返り闇色黒い髪の長い髪を持つ女は闇色の目を向けた。

「待ってくれ、任務で任された鬼とは違うような気もするけど……」

 強気な青年と慎重派の青年は影の中にとぐろを巻いている闇色の蛇女を見て言う。

鬼狩りの組織は2人で活動している。

 中にはひとりで鬼と対峙しているものもいると聞くが、目の前に現れた2人はまだ新人の域なのだろう。

「……鬼狩りか」

闇色の蛇女は落ち着いた口調で呟く。

先日、廃墟をねぐらにしていた鬼を思い出した。

「鬼狩りは鬼だけを狩っていればいいだろう」

「は?あんた鬼じゃないのかよ?」

 ブツブツと呟く蛇女に強気な青年は声をあげる。

 女性の身体から伸びる蛇のような胴体をみて青年は頭で考えた。

 考えて出てきたその答えは「あれは、鬼だ」である。

「……どうしようか? かえる?」

不安げに相方を見る慎重派の青年。

「いや、帰れねーだろ」

 蛇女を睨みながら、帰る?と口から言葉が出た慎重派の青年に声をかけていた。

「ふむ、言うても力が強いものでも無いようだ」

 さて、どうしようかと悩むように小物2人を見下ろしながら女と蛇の境目が大きくなっていく。

「え……」

「まじか……」

 逃げる体勢になったがそれより先に闇に呑まれた。

ゴキゴキと骨の軋む音が響き静寂が訪れた。

「やはり、未熟な奴らだったか」

 蛇女は腹に収めた鬼狩りたちを「歯ごたえという歯ごたえがなくつまらん」の一言で片付けていた。

 力のない者は、ただの食糧。

 飲み込んだ者たちは活動するためのエネルギーになるだけのものである。



 その光景を物陰に隠れて2人が丸呑みされた光景を見ていた。

「……勉強してないから……」

 助けに入るかどうするか少し考えていたがやはり、鬼狩りと馴れ合うことは面倒であるという選択をした。

「さて、困ったな」

 かつては同胞だよ?という心の声を無視しつつ封魔具(ふうまぐ)を片手に蛇女の対策に悩む。

「……封魔具(これ)の空き容量が足りてないなんてな……」

 物陰に隠れてほんと、どうするかなーと呟く男に気づいた蛇女は蛇の瞬発力で一瞬に距離を詰めて来た。

「うわっ」

 鬼狩りを食らった腹に割れた口から逃れるために地を蹴りついでに腹の牙が大量に生えて大口開けている所を目掛けて風の鎌を放ちながら蛇女から距離をとる。

「……逃がしたか」

 蛇女は獲物がいた場所をみて落ち着いた口調で呟いて太陽の光の中に着地した、金色の髪で緑色の目の男が立っている。

 太陽の光のある場所に軽やかに着地して襲いかかってきた蛇女を視界に入れて「あっぶね、あいつらの二の舞になるとこだったわ」ちょいと焦った男は脂汗を拭っている。

 

焦っている男を「お前も鬼がりかえ?」と蛇女は問いかけていた。

「……同じにしないで欲しいな。鬼灯(ほおづき)白月宮(はくげつのみや)って言うんだけどさっきの奴らとは別物な」

「ふむ、そうなのか。お前はいい力を持ってそうだ」

 白月宮を見つめてニヤと笑う蛇女に背筋に寒気を感じながら白月宮は手を振る。

「いやいや、弱い方だからそんな期待しないで欲しいな」

「……諦めはしない。見つけて食ろうてやるから待ってろ」

 しかし、蛇女は陽のある場所にいる白月宮を吸収するための次の行動を諦めたかのよう腹の口を閉じて静かに陰の方へと引っ込んで行った。


蛇に睨まれたカエル状態から解放されたかのように白月宮は用心深く陽の光がある場所を選び廃墟から離脱していた。

 

 

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