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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
第2章 守りたい平凡な日常
19/30

夜の名付けは天華です

夜の名付けは天華です


日が登り、また1日の活動が始まりを告げる鳥の鳴く声が響く。

 あちらこちらと続々と増え続けている行方不明者。

 身近な存在が消え、家族が警察へと届け出ると共に他にも多数届出が提出されてきているようだ。

 防犯カメラなどでの調査もされているようだが画像がぼやけていたり、曖昧な映像が多く手がかりすらも掴めていないという。

「……行方不明者が、またでたって!」

「靴のみ残して消えたって…」

 井戸端会議をする主婦の「怖いわねぇー」という声を聞きつつ月は眩しい太陽に目を向ける。

「……餌場まで持っていってるのか、丸呑みか」

 月は現場へと向かおうと思ったが、場所が分からないため、井戸端会議の主婦の集まりに向かって歩き出していた。

「申し訳ない、今の話の現場はどこか分かりますか?」

 月は人あたりの良い顔を作り、主婦たちに声をかけていた。

 月の姿は白い着流しで長い銀色の髪を前髪含めては後ろできつく結んであるが短い髪はそのまま残ってある。

 見る人によってはいい男なのだが本人はそれを理解していなかった。

「……あ、はい商店街の方ですよ」

 ほわーっと見とれた主婦の2人組は月に説明をし、月はその2人組に「ありがとう」と短く礼を伝えて離れていく。

 その後ろから主婦の黄色い声が上がっていたが無視して商店街へと向かっていった。


 捜査のためか、規制線が貼られているため中に入れずに月はため息をつく。

(……血の匂いは、しない)

 月は腕を組んで、今現在の情報を頭に叩き込んでいる。


 あと少し見て回りたかったが近づけないため断念して鬼灯邸へと戻って行った。


 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼


 月が留守中に居間に客人を通しているのを確認し盛大にため息をつく。

「……何があった?」

 包帯まみれの白い幼女に気怠げな黒い男。

 男からは鬼の気配が放たれているが、悪意は無いようだ。

幼女の方からは、邪気に塗れているが神気が漏れているため、神族には、間違いないのだろうがと月は思う。

「……えっと、お腹空いたそうなので、お菓子を差し出してました」

 夜はのほほんと答えていた。

「いや、そうじゃなくて……」

「天華様が敵意がないからって言ってたので」

 月の脱力した姿に夜は説明をしていた。

「……まぁ、天華様がいつの間にかこの家にも結界を作ってくれていたみたいだから、安心はできるが……」

 月は1人ボヤいていたのだが、2人を見た。

「……こいつ、拾ったんだけど」

 黒い男が隣の幼女を指さしてやる気のなさそうに言う。

「……安心できる場所、頼れる場所に案内してほしいらしくてくれてきた」

 ふうーと長く息をつく。

「……ひとまず、お茶を飲んでおちついてくださいな」

 天華が、人数分のお茶を持ってきていた。

「月、おかえりなさい。いい温度の時に戻ってきてくださって良かった」

 天華は戻った月を見てにっこりと笑っていた。

「天華様、誰彼構わず手助けするのは少し考えものだ」

 月は天華を見て苦言を伝える。

「前より鬼達があんたを見る目は、少しは、良くなっているとは思うが、()()()()()()()()()()だけの話だ」

 月は真剣な顔で天華に言い聞かせた。

「白い旦那、俺さ生まれたばっかで状況わっかんないんだわ。助けてくれたお嬢ちゃんを怒らないでやって欲しいんだけど?」

 黒い男と幼女は行き倒れかけていたところに天華が手を差し伸べたらしく夜は警戒していたが色々と世話をしている天華を手伝っていたらいつの間にか警戒を忘れていたとの事であった。

「1番、絆されてはいかん奴だったんだが……」

 月は夜を睨む。

「それでお前は何者なんだ?」

 月は黒い男を見て誰何した。

「……ただの蛇だったはずなんだけどなぁ。気づいたらこの姿でこの子を悪い奴から守ってた」

 頭をバリバリと掻きながら幼女を見て呟く。

「名前は……、ない。なんだったらあんた身分あるんだろ? 名付けてくれたらいいや」

 天華を見て黒い男はのんびりと話していた。

「申し訳ないのですが……、隣の子の方が相当なご身分の方ですよ?」

 天華は滝汗流しながら幼女を見ていた。

「……名付けはしないって言ってるけど?」

 幼女の声が聞こえなかったが黒い男は声を出す。

「どうも、この子、ショックで声が出せないみたいなんだよね。同じ眷属のようなもんだから念話されてるけど頭の中ぐわんぐわんなる」

 度重なる念話のせいで疲れきってるのか、鬼になる工程て疲れているのか分からないがたしかに憔悴仕切っているようだ。

「自分で名付けた方がいいんですが」

 天華の言葉に夜は「そうだ、そうだ」と合いの手を入れていた。

「今この状況で自分名前なんて考えれるわけないし、身分高い人から賜われるなら、名付けして貰った方が楽じゃね?」

黒い男はなおも食い下がっていた。

「……」

 天華は幼女と黒い男を見比べて、ため息を着いた。

「《(さい)》と名乗ればいいと思う」

 天華は押しに負けたように黒い男に名前をつけていた。

「……私だけの特権だったのに……」

 夜が天華の後ろで嘆き打ちひしがれていたのだった。

 

 

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