不安しかない夜
シュークリームをほおばり、月は旧家を出てまっすぐ森の出口へと歩く。
鬼や半妖には拒絶の結界は発動することはないため、安全に森の出口へと数分でたどり着く。
森の出入口近くで森へと侵入しようと画策していたらしい黒スーツの2人組の男たちが出てきた月を見て身構えていた。
「……この森になにか用向きでもあるのか?」
月が金色の瞳を黒スーツ2人組の男たちに声をかけている。
月の言葉にふたりは仲良く肩を並べて月の様子を見つつ小声で話し合いが始まったのを月は冷めた目で眺めている。
どっちが質問を投げかけるかの問答を繰り返していたが、どちらが話しかけるか腹が決まったようだ。
「娘が1人この森に入っていったようだが……」
短い灰色の髪の男が月に対して声をかけてきていた。
「……ここまで歩いて来ていたが、見た覚えがないな」
「おかしいな、入って行ったと思ったんだが」
月の言葉に黒髪の男が顎に手を当てて考える。
「森に、化かされたんじゃないのか?」
「……そうなのかもしれない……」
納得している黒髪の男に月は苦笑していた。
「ちょっとまて」
灰色の髪の男ははっと顔を上げた。
「この森は人が入れる場所ではないはずだ」
「……でも、兄貴……この人森から出てきたけど……」
灰色の髪の男に黒髪の男は“あれっ”と目の前の長い銀髪を後ろで結んだ、金の目の男を見て口を開いていた。
「……人外かっ!」
まとまりかけていたが黒髪の男が気がついたため月を見てまた黒髪の男が身構えている状態になる。
「……」
月は息をついて2人を見ていた。
月は、( このふたりは兄弟か )と呑気に考えているが、2人組の男たちは冷や汗を流していた。
「……」
睨み合うように月と2人の男たちだったが灰色の髪の男が動いた。
「……今回は引かせてもらう。この森の術を解きたいとは思っていたけどあんたとやり合いながら探すのは骨が折れる」
灰色の髪の男が黒髪の男を連れて森から離れていく。
月はそのふたりを見送り、ため息を吐いた。
「……天華様が構築してある結界術を解くのも骨が折れるとは思うがな……」
月は離れて小さくなった男たちの背中に呟いていた。
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夜は結華を連れて鬼灯の屋敷へと着いた。
「ばあちゃん――! ただいまっ」
結華は玄関を開いて声をあげる。
空が薄暗くなってきているのにも関わらず部屋の中は真っ暗で、電気が付いていない。
「……あれ?」
戸惑いながら結華は靴を脱いで家の中へと入っていく。
夜も気になって、今の状況に脅えながら「……梅子、居ない?」と心配げに首を傾げて夜は結華に声をかけていた。
廊下の向こうに結華は姿を消している。
夜は注意深く周りを見回していると、結華の絶叫ににも似た「ばあちゃん!!」という声が夜の耳に入る。
瞬発力は月に並ぶほどの夜は速攻に結華の声の方に走り出していた。
廊下の突き当たりにある台所に倒れている梅子と抱えあげている結華を見て夜は梅子の様子を見るために結華と向かい合うようにしゃがむ。
「……息は、ある」
ほっと夜は安堵の息を着いた。
「白い箱を呼びましょう!」
夜の言葉に結華は夜のはなった“白い箱”の意味を一瞬なんの事かと考えたが救急車と結びついてうなづいて電話をするために走り出していた。
「電話してきたっ!」
結華は声をあげる。
「……えっと、こんな時は……」
夜は「落ち着いて行動」と自分に言い聞かせるように呟きながら動いている。
「夜ちゃん、天華ちゃんの所に戻ってください」
結華は夜に戻るようにお願いしている。
「でも、ひとりだと不安じゃ??」
夜は結華に泣きそうな顔を向ける。
「他人がいたら不審に思われちゃいます」
結華は夜に森に戻るように再度頭を下げた結華に夜は不安げに何度も振り返りながら戻っていく。
夜は急いで森の館に戻り月と天華が待っている中で駆け込んだ。
「梅子が……」
夜は泣きそうな顔で声をだす。
「梅子が倒れてて、結華と白い箱につれていかれた!」
「落ち着け」
夜の言葉に月は声をかけていた。
「深呼吸だ」
月の言葉に夜はすーはーっと息を吸って吐いてしていたら落ち着いてきたようだ。
「どうしたんですか?」
「梅子が倒れてて、結華が白い箱を呼んで今診療所にいます」
夜は落ち着いた報告をしていた。
「……天華様、様子を」
「月、行ってきてください」
月が全てを言葉にする前に天華はうなづいて頼んだ。
無言に頭を下げて月は梅子の運ばれた病院へ向かう。




