第六話 カルト教団からメシアとかメンターとか言われてるんですが出会いを求めるのは間違っているのだろうか?
今度はカルト宗教団体が勧誘してきた。
しかも、俺のことを**“メシア”とか“再臨の者”**とか言い出してる。
いや、俺、ただの社畜だったんですけど……?
■始まりは、駅前での“ありがたいお声かけ”から。
ある日。スーツ姿でいつも通り出勤していた俺に、
白いローブを着たグループが声をかけてきた。
「……あなた……“見えて”いるのですね……?」
「え? メニューの上の品切れマーク?」
「いいえ……“光”です。我らがメシアの光を……」
出た、こわい。あと“メシア”が俺らしい。勝手に祀るな。
■名言①:ソクラテス風に問うてくる勧誘者
「あなたは“知っている”人です。つまり、“無知の知”を自覚された方だ」
「いや俺、普通にGoogle使ってますけど?」
「“自らが無知であることを知る者こそ、真の賢者なり”――ソクラテスも言ってます」
「その知識、ウチの課長に言ってきてくれ。社内研修で無双するから」
■勝手に神格化、始まる
彼らが持ってきた“経典”には、こう書かれていた。
【銀髪の者、空より来たりて、鉄の箱を砕き、人の欲を鎮める】
【その目は爬虫のごとくして、瞬きをせずに全てを見透かす】
「それ、俺のTwitter動画から作ったでしょ絶対!!」
完全に拡散された“車を拳で止めた”動画が、宗教化していた。
ていうか、「瞬きが少ない」は学生時代のアダ名の元ネタやんけ。
■名言②:アインシュタイン風洗脳トーク
ローブ女A(たぶん幹部):「“神はサイコロを振らない”と言った偉人をご存知?」
俺:「アインシュタインですね。つまり運命は偶然じゃなく、必然と?」
ローブ女A:「その通り。“あなたの改造は、神の意思”ということです」
俺:「それ違う意味で言ってたんですけど!? 俺、UFOで改造されてますよ?」
■そして、出会いを求めたらこうなった
俺は一応、聞いてみた。
真面目に。うっかり期待して。
「ぶっちゃけ、ここで恋人とか……できたりする?」
「……あなたに恋をすることは、神に近づくことと同義」
「え、重くない?」
「いいえ、“神を愛することは、己を知ること”です(by 教祖名言集)」
「いや俺、まだ“彼女がほしいだけ”なんですけど」
「それが“悟り”というものです」
■名言③:ジョブズ風転職スカウト(宗教ver)
「あなたが歩んできたすべての苦労は、今日この日へと“点と点で繋がっていた”のです」
「ちょ、ジョブズ混ぜてくるのやめて」
「教団に入れば、あなたのすべてが報われます。“Stay Hungry, Stay Holy”──と」
「だから勝手に改変するなよそれ!!」
■逃げようとすると「出会いは運命」と止めてくる
俺:「すみません、急いでるんで……」
教団員:「“出会いとは、必ず何かを変える力を持っている”と、ヘミングウェイも言っています!」
俺:「それ彼の文体にないやろ!? なんでも名言にすんなよ!」
教団員:「ですが、あなたこそが“出会いを超越する者”です……!」
俺:「もうやめろ! 俺の出会い経験は合コンと婚活アプリだけなんだ!!」
■まとめ:名言って、使い方しだいで怖い。
現在の状況整理:
■俺:銀髪チート美形(CV付きで脳内再生される)
■新スキル:逆スキャン、ハイパー黙視などヤバさ増
■宗教団体:動画を経典に。俺をメシアに。怖い。
■恋愛状況:出会いはあるが、恋人ができるとは言ってない。