第五話:スカウト来た。でも怪しすぎて逆スキャンしたらCIAだった件。
■出会いはいつも胡散臭い。
「突然すみません。あなた、少しお時間いただけますか?」
男は渋谷のスクランブル交差点、混雑のど真ん中で俺を止めた。
細身のスーツにサングラス、黒いビジネスバッグ。声は妙に滑らか。
「は?」
「……諸事情により、スカウトさせていただきたく」
どこのモデル事務所だよ、と思ったら名刺が出てきた。
──『非公開政府機関 国際交流情報局』
略して、CIA。いや、モロCIA。
■名言①:ガンジー式丁寧断り
「すみません、ちょっと怪しすぎて」
俺が断ると、スーツ男は微笑んだ。
「あなたの沈黙は誤解を生む。ですが、行動は我々を導く」
……それ、たぶんガンジーの『沈黙もまた言葉なり』をパクったやろ。
俺は思わず言った。
「“あなたが見る世界の変化に、まずあなたがなれ”ってやつですね。つまり帰ってください。」
スーツ男は唇を引き結び、「なるほど」と呟いた。
■逆スキャン、発動!
俺はそっと指を組む。脳内にあった機能を使う。
――《逆スキャン》。
相手のバイオ情報を読み取り、所属・発言履歴・微細な嘘の傾向まで解析できるスキル。
スーツ男の詳細が一瞬で脳裏に表示される。
■スキャン結果:
名前:ジェフ・マグナス
所属:Central Intelligence Agency(本物)
コード名:オメガ・フクロウ
最終任務:チェコで超能力者をスカウト
現任務:日本に出現した“改造人間”の確保
嘘率:32%(ほぼ本気)
本当にCIAだった。しかも“改造人間”ってバレてる。
■名言②:ナポレオン風強がり
「……自分はただのサラリーマンなんで、巻き込まないでくれませんか?」
俺が言うと、ジェフは不敵に笑った。
「凡庸な男は運命に従うが、偉大な男は運命を創る……ナポレオンの言葉です」
「いや俺、チキン南蛮弁当で運命感じる男なんで」
「その弁当の握力で車止めましたよね?」
そこバレてた。動画、CIAも見てる。
■名言③:リンカーン風丸め込み
「世界はあなたのような力を、ただ黙って見過ごすことができない」
ジェフが一歩近づき、諭すように言った。
「人民の、人民による、人民のためのチート活用を期待しています」
「それ言いたかっただけだろ。人民じゃなくて俺の話だよね?」
「ええ、だって銀髪イケメンが人民の希望なので」
やかましい。
■カバーストーリー:モデル事務所へのスカウトに偽装
ジェフは俺の腕に名刺を押しつけた。
「これは“ファッションモデル事務所”名義の偽装です。スカウトされたと表向きに話して結構です」
「おい、国がバズに便乗してきたぞ……」
■後日:喫茶店にて
ジェフと再会。ドリンクはアメリカン。俺はカフェラテ。
「どうして俺なんですか?」
俺の問いに、彼はニヤリと笑って答えた。
「『強大な力には、偉大な責任が伴う』――スパイダーマンの名言です」
「それヒーローじゃなくて映画だからね。しかもお前ヴィラン寄りだからな?」
■まとめ:俺、地球でいろんなものにバレてる
現在の状況を整理すると:
■俺:異星改造されたチート系男子
■スキル:バグってるくらい便利
■顔:イケメン化(副作用あり)
■CIA:もう完全に目つけてる
■今後の懸念:宗教団体・地下組織・アイドル事務所あたりからも声がかかりそう




