第4話
「隠す?何も隠してないが」
「君、なんでそんなに魔道書を使わないんだい?魔道書を使わず魔法が使えるから魔道書を使用しないのはわかるが、試合中は一度も魔道書に触れようとすらしなかった。君がピンチなのにも関わらずね。もしかしてその魔道書に何かあるの?」
「うーん」
僕は少し考え込んでいた。すると、
「リン、言っちゃいなよ。やっとできた信頼のできる友達でしょ?」
「そんなに言いにくいものなの?言いたくなかったら言わないでね?」
「いや、言うよ。アルベルは信頼できるからな。アルベル、今から見ること、言うことは一切他言無用だからな?」
「わかった」
「まずはこれを見てくれ」
そう言って魔道書を開く。一枚しかないページと破られた跡をアルベルに見せる。
「な、何なんだい?これは」
「3代目賢者が何かしたんだろうな。」
「なんでそれを口外してはいけないんだい?」
「3代目がなんで口外しなかったのかを考えていると、とても賢い人のことだから何か理由があるのかと思ってね。そしてもし俺が破れたページを探すときにこれを発表していると探すのに苦労しそうでね」
「なんで?」とリイルとアルベルは聞く。
「破れたページの持ち主はこれを聞いたら、探すのだと思い余計必死に隠すだろうから」
「はぇー」
「それを知っているのは?」
「俺とリイル、あと俺の姉とお前だけだ」
「なるほど」
そんな話をしているとき、
「ぐう~~」
「ん?」
「えへへ、お腹空いてきちゃった」
「もうそんな時間か。リイル、そろそろ帰らないとメリー姉に叱られるぞ」
「あちゃー、それは早く帰らないと」
「あのさ」
「なんだ?」
「すまないんだが、君たちの家に行ってもいいか?」
「良いが、なんでだ?」
「まだ聞きたいこともあるし、それよりもお腹すいちゃってね。昼御飯もらえないかな?」
「たぶん大丈夫だと思うが」
「やった!」
そう言うとアルベルは立ち上がり、早く行こうと催促している。リイルも一緒に催促する。
「そうだよ、そうだよ、さっさと帰ろう?」
「ああ、そうだな」
そう言うと、アルベル、リイル、俺は「飛行」を使い、メリー姉のまつ家に帰った
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「おっかえりー、どうだった…って誰?その子」
「メリーさん、リンの新しいお友だちです」
「どうも、アルベル・メッリです」
アルベルはペコリとお辞儀した。するとメリー姉が泣き崩れた。
「うわあああ。」
え?なんで泣いてんの?
「やっと、やっと弟に友達ができたぁぁぁ」
「メリーさん、良かったね」
「うん、うん」
ちょっとして、泣くのが止まると
「アルベル君…だっけ?ダメな弟ですがよろしくお願いします」とメリー姉は頭を下げた。アルベルがこっちを向いて困った顔をしている。ええ、僕に助けを求められても…。はあ、とアルベルはため息をつきこう言った。
「メリーさん、頭をあげてください。僕はリン君のただの友達ですから」
メリー姉が頭をあげ、
「そう、それだったら昼御飯食べていって!是非!是非!」
「では、お言葉に甘えて」
そう言うとメリー姉はキッチンに直行した。姉は久々にやる気のようだ。
「リン、君のお姉さん凄いね。友達の姉に会ってそうそう頭下げさられたの初めてだよ」
「いつもはしっかりしてんだけどな、余程俺に友達ができたのが嬉しかったのだろうな」
「そうに決まってんじゃん。大事な大事な弟にやっと友達ができたんだから」
姉馬鹿かよ!とツッコミたくなったがやめておこう。
「アルベル、上がってくれ」
「はーい」
そう言うと僕ら三人は中に入っていった。
「へぇ、いい家だね」
「父が貴族だったからな。少々変わり者だったようだが。父の遺産を使ってメリー姉は孤児院を運営している」
「一人で運営しているか、凄いお姉さんだね」
「なんで1人だとわかったの?」
「だって、入ったとき、奥に子供とお姉さんがいたし、お姉さんが運営してるってことは、お姉さんが院長の可能性が高い。そのお姉さんが子供の世話をしている。数人の職員がいるなら、1人ぐらいそこに来るはずと思ったから。」
「ああ、メリー姉は1人で孤児院を運営している」
「しっかし、凄いお姉さんだねぇ。あの伝説の剣士と呼ばれたメリーさんがまさかリンのお姉さんだったなんて」
「なんでわかった!?」
「なんでって、一回見たら忘れれないでしょ。相手は身体強化魔法を重複して使ってるのに魔法なしで勝つんだよ?」
強すぎでしょ、とアルベルは言う。確かに僕もそう思う。しかし、そんなことより驚くのはアルベルの洞察力だ。僕の魔道書やメリー姉のことまで見抜いてしまった。魔法勝負だと、僕の癖まで見抜かれて、良い勝負になりそうだ。そんなことを考えていると
「みんなー、ご飯できたよー」
「ご飯できたらしいね。行こう?」
「ああ、そうだな」
そう言って僕ら三人は食卓のある部屋に向かった。
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「ねえねえリン」
「なんだ?」
「私、アルベルに勝てると思う?」
「才能であればお前の方が上だが、アルベルの洞察力は凄い。すぐに癖を見抜き、勝つことができるだろう。勝敗は五分五分って言うところかな。ただ、アルベルはとても磨かれた魔力を持っている」
「それってどういういm」
「ねえねえ、食卓ってどこなの?僕もうお腹ぺこぺこでさぁ」
「なんでそんな腹空いてるんだ?」
「実は朝早く起きないといけなかったんだけど、寝坊しちまって朝飯食う暇なかったんだ」
「なんだそれ」
アルベルとリンは笑っている。んもう、私の話ちゃんと聞いてよね。また後で聞こっかな、アルベルの魔力の話は。
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「うまい!めちゃくちゃ美味しいです!」
「そうなのです。メリーさんの料理の腕は天下一なのです!」
「なんでリイルが威張ってんだよ」
「えへへ」
「ふふふ、美味しいって言ってもらえて私はうれしいよ。リンなんか最近なにも言わなくなっちゃってね」
「ええ?!なんでこんなうまい料理食ってうまいの一言もないんだよ」
「なんで僕が責められてんの?」
アハハハとみんなが笑う。一緒にご飯を食べていた孤児たちも笑っている。流石だな、アルベル。
「せーの」
「ごちそうさまでした!」
「ふう、いっぱい食った」
「食いすぎだろ。一人で三人分食ってんだから」
「てへ」
「まあ良いじゃないリン」
「まあ、そうだけど」
「それよりメリーさん!私と魔法の手合わせしてください!もちろん本気で!」
「んー、じゃあリイルちゃんが負けたらリンとリイルちゃんは晩御飯手伝ってね?」
「おいちょっと待t」
「了解です!」
「わかった。それじゃ、外出ようか」
「ええぇ…」
「良いじゃないかリン、最悪俺も手伝うからさ」
「ま、まあ良いかぁ」
久々に姉の本気が見れるからいいか、そう思い僕は外に出た。アルベルもついてきていた。外ではリイルとメリー姉が魔道書を開いている。準備万端ですという雰囲気を醸し出している。
「リン。審判やって」
「はいはい。んじゃルール決めるな。まず相手の殺害の禁止、近所への被害の出ることも禁止、審判の俺が終了しろと言うとすぐさま魔法を解いて終了しろ。以上、異論はあるか?」
「了解!」
「それでは…開始!」




