↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/147

85話

 新しい働き手として、カイト、グライ、セスの少年3人と女の子のパラが増えた。

 最初こそ、カイトは納得できなかったのか、噛み付いてきた。


 ただ、そんなカイトも飯を作ってやると、空腹には抗えなかったらしい。


「う、うまい……ッ!」


 カイトが食べ始めるとグライ、セス、パラも慌てて食べ始める。


 因みに、俺が今回作ったのは、エビピラフだ。

 炒飯《チャーハン》にしようかとも思ったが、モモの機嫌も考えた結果、エビピラフに決定した。


「当たり前ッスよ! 先輩のエビピラフは銀河一美味いんッスから、残したら、モモが許さないッスよ!」


 スプーンを必死に動かしながら、エビピラフを掻き込む姿は見てて気分がいいまであるな。


「ツルツルのホタル! ボクは、おかわりをしたいぞ!」

「ソマリ、ズルいぞ! オイラもおかわりだぞ!」

「マスター、ドレイクもほしい」


 やっぱり、炒飯《チャーハン》にしといた方がよかったかな……こんなにおかわりされるなんてな。


「わぁったから、待ってろ! エスとモモもまだ食うか?」


「主様、エスは、あと大盛り1回で大丈夫」

「モモは、エビピラフの海老山盛りッス!」


「へいへい。カイト! お前らもまだ食えるか? 食うなら、早めに言ってくれよ」


「……え、あ、えっと」


 カンカン、シャッシャッ。


 コンロの上でフライパンの音が響く中、モモが立ち上がると、カイト達を見つめていた。


「先輩! ガキンチョには、やっぱり、お子様ランチしかないッス! モモも厨房に入るッスから、油の用意ッスよ!」


 また、勝手なことを言い出しやがったな……うちの店にお子様ランチなんかねぇっての……ただ、悪い判断じゃねぇな。


「なら、予定変更だ! みんな仲良く、トルコライスとお子様ランチでいいな!」


 揚げもんは、熱々が命だが、コロッケの種はないな……


「モモ、ポテトも揚げるぞ! エビフライも作るから、衣の用意も頼む」


「初めから、そのつもりッスよ。むしろ、エビフライのないお子様ランチなんて、邪道ッスからね」


 世の中には、エビが食えない人もいるから、危ない発言はマジにやめろって……はぁ。


 冷凍しておいたハンバーグの種を取り出して、スチームコンベクションオーブン(スチコン)で焼いていく。

 熱風と蒸気を同時にコントロールできる高機能オーブンで、リセットカンパニーに入れ替えられてメイドインジャパンじゃなくなっちまったが、こいつなら、冷凍ハンバーグも完璧に焼ける。


「先輩! 考え事してると火傷するッスよ! それよりも衣とバッター液ができたッスから、揚げ物を頼むッスよ」


「悪りい。すぐに揚げる!」


 いきなりのメニュー変更は、やっぱり戦争だな。ただ、嫌いじゃねぇ!


 エビフライ、ポテト、オニオンリング、唐揚げを素早く揚げてから、次にハンバーグのソースを用意していく。


 その間に、モモが大きめの皿にサラダとハンバーグを盛り付ける。


 俺は予定変更になったピラフに炒めた鶏肉を加えてから、ドミグラスソースを入れて炒めていき、最後に卵を被せ、ドミグラスのオムライスにする。


 そうして、すべてを盛り付け、最後にポテトサラダとプチトマトを乗せていけば、なんちゃってトルコライスとお子様ランチの完成だ。


「よし、完成だな」


「まだッス! モモ特製! 万国旗を差すッス!」


 いや、日の丸とか、アメリカか? わからないだろ……


 ただ、やはり、お子様ランチに世界は関係ないらしく、エビピラフとはまったく違う反応に俺は驚かされた。


 そうして、全員が笑顔になった飯の時間はあっという間に過ぎていく。


 洗い物をしていると、食器を運んできたカイトが俺に向かって小さな声で喋りかけてきた。


「あ、あの……美味かった……あ、ありがとう……」


「礼を言えるなら、十分立派だ。ただな……気を使うより、美味い時は笑って教えてくれよ。そのほうが作りがいがあるからな」


「な、なぁ……なんで、飯をくれるんだよ……まだ、おれ達働いてないし……」


 前にもあったなぁ。ドレイクの時も最初は色々と苦労したっけか。


「逆に、飯も食えない場所で働きたいなんて思えないだろうが、ただ、そんなに気になるなら、テーブルを拭いて来てくれるか?」


 俺が笑うと、カイトは静かに頷いて、渡されたダスターを握ってテーブルに走っていく。


「主様、甘やかしすぎ。労働はそんなに甘くない」

「モモも同意見ッスよ。本当に先輩は甘々ッス」


「かもしれないな。ただ、お子様ランチを提案する優しい奴と、手伝いを率先する無口な奴が居るんだから、俺が甘くても構わないだろうが?」


 片付けながら、俺はそう言い笑うと、モモとエスも軽く微笑みを返してきた。


 そうしていると、ドレイク、ソマリ、ポメラ、パラのチビ4人が風呂から上がってきた。


「マスター。みんなピカピカだよ」


 嬉しそうに笑うドレイクが、そう教えてくれたので、俺は手を洗ってから、冷蔵庫に入っていた牛乳を取り出してコップに人数分を注いでいく。


「さすが、ホタルだぞ!」

「オイラも飲むぞ! パラの分もあるぞ」

「え、うん!」


 子供は仲良くなるのが早いって言うからな……これなら、大丈夫そうだな。


「モモ、エスも湯が半分より下になってるから、湯を足して先に入ってきてくれ。俺はみんなのドライヤーをしちまうからよ」


「なら、モモが湯を足してくるッス。エスはバスタオルと着替えを用意してほしいッスよ」

「わかった。モモは、下着いる?」

「いるに決まってるッスよ! 先輩の前で馬鹿な質問しないでほしいッス!」


 俺は聞こえないフリをしながら、ドライヤーの威力を確認していく。


 そうして、牛乳を飲み終わったチビからドライヤーを済ませることにする。


 ドレイク、ソマリ、ポメラ、パラの順になり、今は最後のパラの髪を乾かしている。


 俺の膝にパラを座らせて、髪を乾かしていると、不思議そうに俺を見つめるパラの姿があった。


「どうした?」


「……ドレイクのパパなの?」


 いきなり、聞かれた質問に多少、慌てたが、ドレイクが俺より先に「違うよ。マスターはマスター」と答えた。


「マスターってなに?」


 純粋なパラの質問にまた困ってしまう。


「ドレイクのマスターは、マスターで……ご主人様? ドレイクね。奴隷だったの、マスターが買ってくれたの」


 普段から、これくらいスラスラ喋ってくれたら、嬉しいんだがな。

 そんな事を考えていると、モモとエスが風呂から上がってきた。


「パラ、髪は乾いたぞ。さて、カイト、グライ、セス! 俺らも風呂に入るぞ!」


 あからさまに動揺する3人を連れて俺は風呂に向かう。


 そうして、風呂の入り方を教えていくことになる。


 身体を洗わないで風呂に入ろうとした時はさすがにびっくりしたが、普通に風呂に入るのは初めてだと分かり、身体の洗い方を教え、背中を擦り、頭をしっかりとワシャワシャしてやる。


 因みに俺の背中と頭は3人が洗ってくれた。


 人に洗われる日が来るとはな……まあ、野郎4人で入る風呂は最高に賑やかだった。


 湯上がりのアイスコーヒーと煙草を楽しみ、俺は明日からの日々を考えながら、星空に煙を吐き出した。

お読みいただきありがとうございます!

もし少しでも『蛍とモモの掛け合いが面白いな』『続きが気になる』と思ってくださったら、ページ下部の【☆】や【ブックマーク】で応援していただけると、ハゲみになります……!(毛根的な意味で)

☆ギャグが笑えなくても、クーリングオフは勘弁してください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。