表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/75

44話

「先輩! なんで1人で出かけるんッスか! モモとドレイクを放ったらかしでなに考えてるんッス!」


 朝市から店に帰宅した途端、モモから盛大な説教をくらってしまった。


 まぁ、早朝から出かけた俺も悪いが、起きなかったモモにも責任があるよな。


 とにかく、俺は土産として婆さんの露店から買った品物を2人に手渡していく。


「ドレイクには、このカバンだな。色々入るらしいから、次からは荷物持ちもお願いするかもな」


「ドレイクは、荷物になるね。マスターありがとう」


「荷物になるんじゃなくて、荷物持ちな……それで、モモにはこの指輪だな」


「せ、先輩……その、いきなりすぎるッスよぅ……最初はムードとか、その……雰囲気を大切にして欲しいといいますか……わかるッスよね?」


「いや、普通に露店で買った指輪に雰囲気もいきなりもないだろうが? モモが要らないなら、ドレイクにやっちまうぞ?」


「……そうッスよね。モモが間違ってたっスよ」


 にっこりと笑いながらモモが手を前に伸ばしてきたので、指輪を渡そうとする。


 次の瞬間、コークスクリュー・ブローが俺の溝落みぞおちにめり込む。


「打つべし! 脇腹ブレイクッ! モモの気持ちをハートブレイクした先輩は、ボケナス、カルビッスゥゥゥッ!」


 意味がわかんねぇ……ガハッ……


「指輪はありがたく貰うッス! 次は間違えたら、ダメッスからね!」


 理不尽すぎるだろうが……指輪のサイズを間違えたのか……モモの指のサイズなんて知らねぇっての……


「マスター? 痛いの……撫でる?」


「ドレイク、大丈夫だ。むしろ、モモが全力で動けるようになったんだから、笑って喜ばないとな」


「マスター……殴られると喜ぶの?」


 ん? なんか変な誤解が生まれた気がするぞ?


「違うからな……モモが元気だから嬉しいんだからな。間違えたらダメだからな」

「わかった。マスターはモモ姉に殴られると嬉しい。覚えた!」


 こりゃ、ダメだな……


「とにかく、元気なモモとドレイクが居たら嬉しいって話だ」


 痛みが引いてきたタイミングで、俺は厨房に向かい、朝市で買ってきた野菜を並べていく。


 黄色いナス、ピンクの大根、赤いキュウリ、何故か普通の人参……人参は世界共通なのか?


 野菜を水で洗っていると、モモとドレイクが走ってくる。

 厨房を確かめるように身をかがめる。

 その姿に俺の頭の中ではスパイ映画のミスって捕まる新人のように見えてしまい、笑いを必死に堪えることになった。


 そんな2人に俺は買ってきたばかりの赤いキュウリとピンクの大根、普通の人参をスティックにしてやり、つけダレとして、味噌とマヨネーズを混ぜた味噌マヨを出してやる。


「これを食べて待ってろよ。米は1時間くらいで炊けるからな」


「先輩! モモとドレイクはウサギッスか! なんで野菜しかないんッスか!」

「ドレイクはドレイクだよ? モモ姉もモモ姉だよ? ウサギ違うよ?」


「そうじゃないんッスよ、ドレイク、野菜はウサギのご飯で……」

「でも、美味しいよ? マスターのご飯には、野菜たくさんだよ?」


 こりゃ、モモの負けだな。ドレイク、グッジョブ!


 諦めた表情を浮かべながら、モモは味噌マヨを見つめてから、片手に掴んだ野菜スティックをディップする。


 既に横で野菜スティックを美味そうに食べるドレイクはモモを見てニコニコ笑顔だな。


 俺は、俺で仕込みをしていかないとな。


 すべての野菜を食べやすいサイズにカットしていき、塩揉みを行う。

 野菜から水分が出てきたら、水分をしっかり拭き取って袋に入れてから、出汁や醤油、酢に唐辛子を加えてからボウルに袋ごと入れて重しをセットだな。


 味は濃いめにしてあるから、1時間後には少しはいい感じになるだろう。


 余った時間でピンク大根を桂剥きにして、軽く切れ目を入れてから、フライパンで焼いていく。

 早い話が大根ステーキってやつだ。甘辛いタレで食べてもいいかもしれないな。


 それとやっぱり肉も必要だよな。

 昨日のウルフ肉があったよな? タンドリーウルフにした余りのウルフ肉をスライスして、野菜炒めを作っていくことにする。


 改めて思ったが、ただの野菜炒めなんだが……彩りが派手すぎるんだよな……何がっていうか……とにかく、野菜炒めが南国トロピカーナなんだよな……


 不思議な感想を抱きながら、完成した野菜炒めを皿に盛り付け、浅漬けにしたカラフル野菜を取り出していく。

 味噌汁は迷ったが塩分過多になりそうなので今回はスルーする。

 飯の前に“味噌マヨサラダスティック”も食べてるから、まぁ当然だな。


 店の奥にある休憩室に並べられた料理を前にモモとドレイクが声をあげる。


「マジッスか、先輩……流石に頭がバグりそうなんッスけど……黄色いナスって……どんだけバズりたいんッスか」

「マスター、野菜がキレイだね!」


 どっちも「食べたい」とか「美味しそう」って反応はないよなぁ……正直、勢いで作ってみたが……


 朝昼兼用メニュー。


 ・タンドリーウルフの野菜炒めトロピカーナ風。

 ・カラフルな漬物盛り合わせ。

 ・ピンク大根のステーキ。

 ・味噌マヨのサラダスティック。

 ・炊きたてご飯。


「なんで、名前がフルーツポンチみたいなんッスか!」


「仕方ないだろうが? 俺にネーミングセンスなんてないからな! ガハハハ!」

「開き直らないでくださいッス!」


 モモからのツッコミを存分に楽しみ、俺達は食事を開始する。


 何から食べるか悩んでいると、ドレイクがフォークでカラフルな漬物盛り合わせから、大根を選んで口に運ぶ。


「パリバリする!」


「あはは。そうだろ。ただ、これはもっと日にちが経つと、また別のポリポリになるんだぞ」

「パリバリがボリポリ?」


 悩みながら食べるドレイクの姿を見て、微笑んでいると、モモは野菜炒めトロピカーナ風に箸を伸ばす。


「先輩! ナスが普通のナスより美味しいッス! 甘いんッスよ!」


 モモの反応に俺も箸を伸ばして、ナスを口に放り込む。


「マジかよ。まるで蜂蜜を混ぜてあるみたいな味になってるぞ!」


 その事実に気づき、俺とモモは同時に浅漬けに箸を伸ばしていく。


「先輩、これはヤバいッス……甘いとしょっぱいが同時に広がって、口の中でダンスバトルしてるッス」


「いや、言いたいことはわかるが、もう少し言い方があるだろうが……しかし、米が進むな。ピンク大根のステーキは、少し味が薄かったか?」


 予想外だったのは、一番美味いと思ってたタンドリーウルフの野菜炒めトロピカーナ風よりも、黄色いナス(ボーナ)の浅漬けがMVPを飾った事実だった。


 3合の米があっさりとなくなった。

 もう一つ嬉しかったのは、ドレイクが笑顔でおかわりを欲しがった事実だった。


 笑顔が増えるなら、黄色いナスは定番に入りそうだな。ご馳走様!

お読みいただきありがとうございます!

もし少しでも『蛍とモモの掛け合いが面白いな』『続きが気になる』と思ってくださったら、ページ下部の【☆】や【ブックマーク】で応援していただけると、ハゲみになります……!(毛根的な意味で)

☆ギャグが笑えなくても、クーリングオフは勘弁してください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ