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転生勇者(副業)の異世界旅行記《トラヴェローグ》  作者: 青咲凛
第3章 ナザレの夢魔 後編

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60/73

60. 夜明けの人?

第3章書き直しのため、第60話の内容(サカモト・リョーマの容姿に関する設定)を変更しました!

ご迷惑をおかけいたします!


 ナザレは始まりの街が属するイア・ユヴァル王国の最西端にして、大陸西部のグォンタ河からコピア盆地に雪崩れ込む広大な地中海に面した港湾都市である。

 海抜0mから20m程度の岩山に沿うように立ち並んだ真っ白な石灰の建築群はオレンジ色のスレート屋根に彩られ、街の東には巨大な闘技場、西側の最も高い位置には巨大な神殿を頂くその様は、観光地としても──あるいは名声を求める冒険者にとっても一度は訪れてみたいと誰もが憧れる都市と言えた。


「「ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」」

「さぁ今年も始まりました、ナザレ武闘大会予選!

 本選出場を決めるのは、どこのどいつだぁ!? 実況は毎度おなじみこのカウレーラ・ジッキョマンと!」

「えー、第12回大会準優勝者にして解説役のウィンデバン・アッテウーマがお送りいたします」


 すり鉢状に席を設けられた円形闘技場──その中央の石畳のコートに犇めく冒険者たちに紛れながら、私──鑑悠里は吐き気がするのを我慢していた。


 うるさい……。

 想像以上に歓声がコートに集約するようになっていて、まるで頭が割れそうになってくる。


 自分より背が高い冒険者の体が満員電車みたいに詰め込まれているおかげで吸収されているみたいだが、それでもうるさいものはうるさかった。


(はぁ……どうして闘技場なんか来たんだろう?

 いや理由は分かってるんだけど……)


 小さくため息を吐きながら、私はここに来た経緯を思い返した。


 ことは、今から2週間ほど前のことだった──。


 勇者依頼を正式にギルドを通して受理した私たちは、一路、1週間ほどかけてナザレに到着した。


「賑わってるねぇ」


 来るナザレ闘技大会に向けて、街のあちこちが露店を開いている。

 観光客が多く目立つが、彼らの中には何やら物々しいいでたちの戦士や冒険者の姿が散見され、私は思わずため息を吐いた。


「闘技大会、やっぱり冒険者にとっては一大イベントなんだろうなぁ」

「みんな仕事がかかってるからな」


 何度も繰り返すが、指名依頼を受け取るにはある程度の名声や知名度が必要だ。

 それを得るために冒険者たちはこぞって世界各地の大会に顔を出すのである。


 普段は南国のリゾート的な観光地が、物々しい雰囲気に覆われているのもこの時期ならではの必然だった。


「それじゃ、さっそく観光ついでに部隊の調査官のところまで行くとするかぁ。

 えっと場所は──っと」


 マップを開き、待ち合わせ場所を確認しようとした時だった。


「んだぁ、ガキぃ?

 ちゃんと前見て歩けや、あ!?」


 ガラの悪そうな大男が1人、これまたテンプレな言いがかりをつけて──って、今回はこっちが悪いか。


「すみません」

「あーあー、()ったいなぁ!?

 俺これから大会予選出んのに骨折れちまったかもなぁ?」

「……」

「何笑ってんだよてめぇ?

 慰謝料だよ! 早く慰謝料出せよ大銀貨20枚な!」


 なんてテンプレな当たり屋なんだろう。

 っていうかそこは金貨とかじゃなくていいんだ、変に良心的な奴だな……。


 そんな風に呆れてものも言えずに苦笑いを返していると、見かねたマーリンが間に割って入った。


「すまないが、先を急いでるんだ。

 闘技大会に出られるほどの者が、この程度で骨を折るはずがないだろ」


 お?

 マーリンがまさかの私以外に敬語を使ってないぞ!?


 思わぬところで彼の成長を見て、思わずニンマリする。


 きっと、先週の大蟹狩りで少し自信をつけたのだろう。

 以前の彼なら自分が奴隷であるという立場で委縮して、問題を起こすまいと敬語を使っていた場面だが……ん?

 今はもう問題が起きた後だから別にいいのか?


「あ?

 なんだチビやんのか?」

「チビじゃない、まだ成長期が来てないだけだ」

「チビにゃ代わりねえだろうが!

 いいぜ、そこまで言うならぼこぼこにしてや──」


 拳の関節をパキパキ鳴らしながら、今にも襲い掛かろうとしたその時だった。

 巨漢の体が、宙を舞ったのである。


「なんだっ!?」

「子供相手に何しゆうがじゃ?」


 そこに現れたのは、ぼろぼろのマントに麦わら帽子をかぶった、いかにも浮浪者っぽい出で立ちの青年だった。


(この服装、容疑者の男が着てたやつだ!?)


 やけに特徴的な服装をしていたので覚えている。

 顔は判別できないが、この世界に来てまだ麦わら帽子なんてものを見た覚えがなかった私には、その特徴と立ち姿──独特な姿勢や重心のとり方から、例の容疑者の1人と判断できた。


「今……何をしたてめぇ……!?」


 ひっくり返った巨漢の腹を踏みつけながら、しかししてその細い脚がビクともしないことに驚きを隠せない様子で唸り声を上げる。


「何ちゅうて、ただの小手回しじゃ。

 こんなもん子供でもできるき。

 じゃが、相手が子供じゃきいうて手加減してもらえる思うなよ?」


 言って、ニヤリとこちらに笑みを向ける。

 こいつ、もしかして私がやったらこの程度じゃすまなかったと見て間に入ったな?


「ご両人、怪我ぁ無いか?」

「え、えぇおかげさまで」

「正直助かりました……」

「そりゃあ何よりじゃ。

 ほいたら、わしはこいつを警邏(けいら)んところへ連れていくき、おまんらも前見て歩けよ?」


 男はそう言うと、巨漢を軽々と拘束してその場を去った。


「あ、あの!」

「ん?」


 思わず呼び止める。

 一瞬どもったのは、この展開とセリフがどうも芝居臭くて躊躇ったからだった。

 しかし、ここであれを聞かずにはいられまい。


 本当はこのセリフ、言うよりは言われたい側だったんだけどなぁ。


「えっと、あ、あなたのお名前は……?」

「名前かえ?」


 一拍の間。

 まるで、そのセリフを待っていましたかのように噛み締めながら、男は口を開いた。


「ほいたら……リョーマ。

 サカモト・リョーマ──いうことにしちょこうか」


 彼はそう言うと、ひらひらと手を振って人込みに紛れていった。


「坂本龍馬って……」


 野次馬時見ていた人たちが、興味をなくしたように元の雑踏に帰っていく。

 そんな中、私は彼の名乗った名前に意表を突かれたように立ちすくんでいた。


「知り合いか?」

「いや……」


 マーリンが尋ねるのに、私は軽く首を横に振る。


「あの名前、絶対偽名だっただろ……って思っただけだよ」


 だって方言が全然違ったもんね!!

 坂本龍馬っていったら語尾に『ぜよ』が付くもんだろだって!?


 にしてもこの世界で坂本龍馬なんて名前出してくるなんて……間違いない。

 あいつ絶対、私と同じ異世界人だ……。


(いや、でも一応この世界にも日本っぽい国がないわけではないんだよなぁ……)


 故に、同姓同名という線は捨てきれない。


 極東の大国アッシェンラ。

 私たちが今いるこの大陸の中央に広がる巨大な砂漠のさらに東に、そのさらに向こう側の東半分とその周辺の細かい島々を治める大国がある。


 様々なラノベでは島国としてそれっぽい国が登場したりするから、大陸を飲み込んで大国になっているというのはあまり聞かない……とはいえ、切り捨てるのもまた違うと思う。

 というか純粋に浪漫に欠ける。


 アッシェンラからそれっぽい人が来たか、それとも──。


 考えても答えは出なかった。


 そりゃそうだ、なんたって情報が少ないのだから。


 私は肩をすくめると再びマーリンを連れて集合場所へと足を進めた。


現在の悠里のステータス


 +++


■ステータス■

 名前:鑑 悠里 Lv.12

 性別:女

 種族:異世界人 Lv.1

 職業:ノービス Lv.1

 称号:〈異世界人〉Lv.1

    〈臆病者〉Lv.2

    〈何にも束縛されない〉Lv.2

    〈無謀な挑戦者〉Lv.2

    〈導師見習い〉Lv.1

    〈追跡者〉Lv.1

    〈暗がりに潜む者〉Lv.1

    〈呪術医見習い〉Lv.1

    〈樵見習い〉Lv.1


 HP:120/120

 MP:250/250

 SP:260/260


 筋力:100

 活力:13

 速度:13

 知能:26

 感覚:19


 残りステータスポイント:0


■スキル■

◇武術系◇

 〈剣術〉Lv.5

  └〈偃月殺法〉Lv.1

   〈聖柄の太刀〉Lv.1

   〈居合抜き〉Lv.3

   〈鎧徹し〉Lv.1

   〈五月雨斬り〉Lv.1

 〈体術〉Lv.1

  └〈空気投げ〉Lv.1

   〈投擲〉Lv.1

   〈卍蹴り〉Lv.1

   〈蝦蹴り〉Lv.1


◇魔術系◇

 〈呪詛マスタリ〉Lv.1

 〈魔法〉Lv.1

  └〈術式理解I〉Lv.1

 〈結界〉Lv.1

  └〈反転結界〉Lv.1


◇身体操作系◇

 〈身体操作マスタリ〉Lv.1


◇防御・回復系◇

 〈自動回復〉Lv.5

 〈食い縛り〉Lv.1


◇耐性系◇

 〈驚愕耐性〉Lv.1

 〈痛覚耐性〉Lv.2

 〈負傷耐性〉Lv.4

 〈転倒耐性〉Lv.1

 〈気絶耐性〉Lv.2

 〈トラウマ耐性〉Lv.1

 〈脱水症耐性〉Lv.1

 〈熱中症耐性〉Lv.1

 〈精神攻撃耐性〉Lv.1

 〈拘束耐性〉Lv.1

 〈呪詛耐性〉Lv.4

 〈隷属無効〉Lv.1

 〈恐怖耐性〉Lv.3

 〈不意打ち耐性〉Lv.1

 〈閃光耐性〉Lv.2

 〈麻痺耐性〉Lv.1

 〈粉塵耐性〉Lv.1

 〈冷気耐性〉Lv.1

 〈病魔耐性〉Lv.1

 〈瘴気耐性〉Lv.1


◇隠遁系◇

 〈忍足〉Lv.2

 〈気配隠蔽〉Lv.2


◇感知系◇

 〈洞察〉Lv.2

  └〈名推理〉Lv.1

 〈気配察知〉Lv.5

  └〈霊感〉Lv.1

   〈先の先〉Lv.1

 〈魔力感知〉Lv.1

 〈遠見〉Lv.1

 〈暗視〉Lv.1


◇生活系◇

 〈交渉〉Lv.2

 〈高速思考〉Lv.4

  └〈並列思考〉Lv.3


◇ギフト系◇

 〈水神の加護〉Lv.1

  └〈水中呼吸〉Lv.1

   〈水上歩行〉Lv.1

   〈水袋勁〉Lv.1


 〈木神の加護〉Lv.1

  └〈成長促進〉Lv.1

   〈効力増強〉Lv.1

   〈笑桜勁〉Lv.1


 〈火神の加護〉Lv.1

  └〈二段跳び〉Lv.1

   〈燃焼無効〉Lv.1

   〈火鳥勁〉Lv.1


 〈土神の加護〉Lv.1

  └〈障壁〉Lv.3

   〈土圧無効〉Lv.1

   〈捻央勁〉Lv.1


 〈金神の加護〉Lv.1

  └〈金属操作II〉Lv.1

   〈即死耐性〉Lv.1

   〈拡金勁〉Lv.1


 〈五行神の加護〉Lv.1

  └〈気功法〉Lv.1

    └〈遠当て〉Lv.1

     〈沈墜勁〉Lv.1

     〈纏絲勁〉Lv.1

     〈十字勁〉Lv.1


 残りスキルポイント:0


 +++



読んでいただきありがとうございました!


次回の更新は明日の朝6時です!


是非読みに来てください!



追記:

土佐弁はチャッピーに翻訳させました……。

使い方間違ってるってなったら容赦なくご指摘ください……。


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