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転生勇者(♀)の異世界旅行記《トラヴェローグ》  作者: 青咲凛
第1章 地下水道の幽霊

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29/45

29. 決闘?


「こちらが、今回の報酬の大金貨1枚でございます」


 地下水道から帰ってきて、事の次第を報告した後だった。

 私は冒険者ギルドの応接室で、受付嬢および依頼人のジュンのメイドであるエリーゼ、そして救出されたジュン本人及びその他のメイド2人を前にして、トレイに乗った大きな金貨を受け取っていた。


「やっぱり、なんだか納得できないわ!」

「お嬢様、お気持ちはわかりますが今は──」


 トレイの大金貨をストレージに入れながら、私はギャーギャーと騒ぐ金髪の少女に目を向けた。


 納得がいかない、という彼女の意見はよくわかる。

 何せ、自分の手柄をすべて横取りされたようなものなのだから。


(魔族の件は隠さないといけないからって、あの時3人で話し合って決めたこととはいえ──だよなぁ……)


 今回の件をそのまま報告するとまずい、とリューが言うので、私と、それからジュンの3人でどう口裏を合わせるか考えた結果、問題の幽霊──今回は特殊な進化をしたレイスということになった──によって昏倒されていたところを私が見つけて討伐し、3人を救出してきたということになった。

 レイスを倒したことによる証拠としての魔石はリューが用意してくれ、更に証言を補強するべく助けたメイド2人も口裏を合わせてくれたことによって何とか秘密は守られたというものの……私が彼女の立場なら、確かに同じように納得はしなかっただろう。


(中途半端に治したせいかな……まだ右目が疼くや……)


 一応、相応のサイズの魔石を持った魔物と戦った証拠として、右目の傷はある程度止血した段階で〈自動回復〉を止めてある。

 だからそのせいで今私の顔はちょっとかっこいいことになっているのだが……それはさておき、私は右目を手で覆いながら、ジュンの暴れっぷりに苦笑いを浮かべた。


「──だってそうでしょう!?

 初心者講習の時はあんなにあっさり退場したくせに、そんな彼女より私の方が弱いなんて屈辱的にもほどがあるわ!」


 キッ、と睨みつけてくるジュン。


 たしかに、あれからそんなに日が経ってないのにここまで差をつけられるのは悔しいだろう。

 特に、強くて有名になって、父親の商売を後押ししたいという目標がある彼女にとっては。


「だから私、貴女に決闘を申し込むわ!」

「……え?」


 言って、メイドがつけていた白い手袋を奪い取って、目の前に叩きつけるジュン。


「拾いなさい!

 ギタギタにして、わからせてあげるわ!」


 ***


 結論から言うと、決闘は受けることになった。

 個人的にはもう今日は疲れたので帰って寝たいところだったが、彼女の言い分もわからなくはなかったし、それに個人的にも今後のために遺恨を残しておくのはリスクがあるかもしれないと思ったのである。


 ジュン・アラストールは気性がやや荒い女の子だ。

 行動力もあるし、このフラストレーションを放置していたら今後どのようなことをしてくるかわかったものではないのである。


 それを防ぐためにも、今ここでそのストレスを解消してやった方がいいと考えたのだ。


「片目落ちなんてハンデはいらないわ!

 万全の状態で、全力で、本気でかかってきなさい!」


 ──と、ポーションを渡してくれたので、遠慮なく右目を完治させることにする。


 個人的には隻眼というのも中二心を刺激して大変よろしいのだが、目が見えないというのは確かにやりにくさはある。

 一応、〈気配察知〉がLv.5になってくれたおかげで、見えなくてもどこに何があるのかというのは分かりはするんだけどね……まだ慣れていないせいか、解像度がいまいちぼんやりしているのである。


 きっと、もう少し慣れてくれれば視界なんていらなくなるんだろうけど……もらえる物はもらっておこう。


 というわけで、決闘は昼食を終えたのちに、ギルドの訓練場で行われることになった。

 ポーションのおかげで視界も良好。

 〈自動回復〉もリアクティベートさせたおかげか、治りは思ったより早かった。


(万全の状態で、って言ってたからね……)


 ストレージの中で折れたショートソードが復活するまでには少し時間がかかる。

 今回の報酬は正直家を買うために手を付けたくないので、もともと持っていたお金を使って、前のショートソードよりも少しいいものをショップ画面から購入しておくことにした。


「何よ、その黒い剣は?」


 訓練場で買った刀の使い心地を確かめてると、程よくお腹を満たしてきたらしい金髪の令嬢が肩をすくめながら尋ねてきた。


「新しい剣だよ。

 前のは今回の依頼で折れちゃったから」


 言って、すらりと長い、黒い刀身を持つ日本刀を見せる。


 そう、日本刀。

 前までショップには並んでいなかったものが、さっき見てみたら新しく売り出されていたのである。


 知らない間にストーリークエストが進んでいたし、多分今後も、ストーリーを進めていくと並ぶ商品の種類が増えていくのかもしれない。


「そう……まぁいいわ。

 それなりに気合を入れてきてくれたなら少しは許してあげる」

「それはどうも」


 フン、と鼻を鳴らす彼女に、私はニコリと笑みを浮かべた。


 なんだろう。

 今まではこういう態度の人には結構委縮してた気がするのに、今はなんだかツンデレのかわいい女の子みたいな印象を覚える。


 やっぱり、ちょっと強くなって自分に自信を持てたからなのかな。


(……いや、前よりも少し冷静になれたと思った方がいいか。

 そっちの方が、あまり慢心せずに済みそうだし)


 悪い例が目の前にいるのだから、学ばない手はない。


 私は新しく手に入れた刀──隠遁系スキルの効果に補正がかかる黒い刀身を備えた大刀を鞘に納めると、自分の立ち位置に戻っていく彼女を見送った。


 フフフ、新しい剣術スキルのアーツも手に入ったし、今回はこれを試させてもらおうかな!


 ***


 髪を結びなおし、訓練場の中央でジュンと向かい合う。

 彼女の装備は初心者講習の時から変わらずレイピアとマン・ゴーシュの二刀流だ。


 レイピアは剣が細くて撓るから、その撓りを利用して正面からの突きなのに背中を刺されるというトリッキーな技があるのが少々厄介な代物である。

 確かフェンシングではフリックというんだっけ。

 鞭みたいに撓るからこそできる技だから、彼女の硬い刀身で同じことができるかは……とりあえず警戒だけしておこう。


「それでは、今回の決闘の介添人(セコンド)には冒険者ギルドから私、エイミーが承らせていただきます。

 まずはルールの共有から──」


 受付嬢の制服を着た女性が、2人の間に立ってルール説明をする。


 今回のルールは至極単純。

 相手の命を奪わないことと、とどめの一撃は寸止め。

 魔法の使用も有りだが、後遺症に繋がるような魔法は禁止。

 以上。


 うぅん、さすが異世界。

 魔法ですぐに怪我が治るからと言って命さえ奪わなければ何でもありとか正直言って怖すぎる。

 前の私なら確実に棄権してたね。


「──以上で、ご質問は?」

「ないです」

「ないわ!」


 エイミーの最後の確認に、私は首を横に振った。

 ジュンもどうやらやる気満々の様だ。


「それでは、両者ともに構えて──」


 彼女の合図に合わせて、ジュンがレイピアを構えた。

 私も柄に手をかけて構える。


「……抜かないの?」

「そういうスタイルなんです」


 眉を顰めるジュンに、そう断りを入れる。

 刀といえばやはり居合抜き。

 ジュンが来るまで軽く練習して覚えたアーツなのだ。


 ここで使わなきゃもったいない。


 私は怪訝そうな顔をするジュンに真剣な眼差しを送ると、彼女もそれを認めたのか、『そう』と小さく呟き、視線で続行を促した。

 エイミーが軽く頷いて承諾する──。


「──いざ尋常に、開始!」


 その瞬間、2人の剣先が閃き、鋭い金属音を奏でた。


現在の悠里のステータス


 +++


■ステータス■

 名前:鑑 悠里 Lv.8

 性別:女

 種族:異世界人 Lv.1

 職業:ノービス Lv.1

 称号:〈異世界人〉Lv.1

    〈臆病者〉Lv.2

    〈何にも束縛されない〉Lv.2

    〈無謀な挑戦者〉Lv.2

    〈導師見習い〉Lv.1

    〈追跡者〉Lv.1

    〈暗がりに潜む者〉Lv.1

    〈呪術医見習い〉Lv.1


 HP:80/80

 MP:80/80

 SP:110/110


 筋力:25

 活力:9

 速度:9

 知能:9

 感覚:15


 残りステータスポイント:0


■スキル■

◇武術系◇

 〈剣術〉Lv.5

  └〈偃月殺法〉Lv.1

   〈聖柄の太刀〉Lv.1

   〈居合抜き〉Lv.3

 〈体術〉Lv.1

  └〈空気投げ〉Lv.1

   〈投擲〉Lv.1


◇魔術系◇

 〈呪詛マスタリ〉Lv.1

 〈魔法〉Lv.1

  └〈術式理解I〉Lv.1

 〈結界〉Lv.1

  └〈反転結界〉Lv.1


◇身体操作系◇

 〈身体操作マスタリ〉Lv.1


◇防御・回復系◇

 〈自動回復〉Lv.2

 〈食い縛り〉Lv.1


◇耐性系◇

 〈驚愕耐性〉Lv.1

 〈痛覚耐性〉Lv.1

 〈負傷耐性〉Lv.2

 〈転倒耐性〉Lv.1

 〈気絶耐性〉Lv.2

 〈トラウマ耐性〉Lv.1

 〈脱水症耐性〉Lv.1

 〈熱中症耐性〉Lv.1

 〈精神攻撃耐性〉Lv.1

 〈拘束耐性〉Lv.1

 〈呪詛耐性〉Lv.4

 〈隷属無効〉Lv.1

 〈恐怖耐性〉Lv.3

 〈不意打ち耐性〉Lv.1

 〈閃光耐性〉Lv.2

 〈麻痺耐性〉Lv.1


◇隠遁系◇

 〈忍足〉Lv.2

 〈気配隠蔽〉Lv.2


◇感知系◇

 〈洞察〉Lv.2

  └〈名推理〉Lv.1

 〈気配察知〉Lv.5

  └〈霊感〉Lv.1

   〈先の先〉Lv.1

 〈魔力感知〉Lv.1

 〈遠見〉Lv.1

 〈暗視〉Lv.1


◇生活系◇

 〈交渉〉Lv.1

 〈高速思考〉Lv.2


◇ギフト系◇

 〈水神の加護〉Lv.1

  └〈水中呼吸〉Lv.1

   〈水上歩行〉Lv.1

   〈水袋勁〉Lv.1


 〈木神の加護〉Lv.1

  └〈成長促進〉Lv.1

   〈効力増強〉Lv.1

   〈笑桜勁〉Lv.1


 〈火神の加護〉Lv.1

  └〈二段跳び〉Lv.1

   〈燃焼無効〉Lv.1

   〈火鳥勁〉Lv.1


 〈土神の加護〉Lv.1

  └〈障壁〉Lv.1

   〈土圧無効〉Lv.1

   〈捻央勁〉Lv.1


 〈金神の加護〉Lv.1

  └〈金属操作〉Lv.2

   〈即死耐性〉Lv.1

   〈拡金勁〉Lv.1


 〈五行神の加護〉Lv.1

  └〈気功法〉Lv.1

    └〈遠当て〉Lv.1

     〈沈墜勁〉Lv.1

     〈纏絲勁〉Lv.1

     〈十字勁〉Lv.1


 残りスキルポイント:0


 +++



読んでいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!


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