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三月(1-2)

三月(1)


 校庭に桜のような花が満開に咲いている。


 ついに明日、三年生は卒業式を迎える。

 大事なことを言い忘れていた。


 卒業式の日までに、主人公マリアに特定の恋人が居なければ、この世界の終末『バッドエンド』が発生してしまう。


 残された時間は少ない。

 バッドエンドを回避するため、今からマリアに恋人を作るのだ。


 ――いや、乙女ゲームじゃあるまいし、そんな事ができるわけがない。


 もう、私にできることは何もない。

 生徒会役員として、黙々と卒業式の準備を手伝っていると一通の手紙が届いた。


 差出人は、第三王子アーサー様。

 明日の卒業式が始まる前に、話を聞かせて欲しい。という内容だった。

 参加者は、私がご迷惑をおかけした人たちばかりだ。

 これまで何も無かったのが不思議なくらいだった。


 明日バッドエンドがいつ発生するのかわからない。

 私は、ランスロット様の手によって、この学園を断罪追放されることになるのだろうか……。


--

三月(2)


 今日は、王立魔法学園の卒業式。

 アーサー様は、中庭が見えるパーティー会場の控室を借り切っていた。


 中庭には、桜のような花が満開に咲いていた。

 日差しが差し込んで、室内は明るく暖かかった。


 中央の大きな丸いテーブルを挟んで関係者たちが座っている。


 右回りにロイド様、アーサー様、ディアナ嬢、ケイ、ユーリ君、マリア、私グインネヴィア、ランスロット様の順である。


 お茶とお菓子を用意してくれたメイド達が退室したのを確認して、アーサー様が口を開いた。


「ロイド兄さん。あの日、僕とマリア嬢に『人心を惑わす呪い』をかけたのはあなたですか?」

「お前は何を言っているんだ?あの断罪追放劇は私のせいだと言いたいのか?」


 ロイド様は、本当に不思議そうな顔をしていた。


 それはそうだろう。

 アーサー様とロイド様は、魔眼の効果で私にとって都合の悪い記憶はすっかり忘れているからだ。


「兄さん!本当の事を教えて下さい!」

「いや本当に、なんのことだかわからないんだ……私は、あの日何をしていたんだ」


 ロイド様の様子に全員困惑していた。


「では、グインネヴィア嬢。あなたは『祈祷と呪い』の魔術師だ。あなたは、ロイド王子の指示で僕たちに呪いをかけた。違いますか?」


 いい線をついていると思う。

 でも違う。

 アーサー様の質問に私は首を振った。


「それは、違いますわ。ロイド王子は関係ありません」

「君は、ロイド王子に遠慮しているのかい?」

「別に遠慮なんてしていませんわ」

「頼む。グインネヴィア嬢。本当の事を教えて欲しい」


 私はランスロット様に嫌われたくない。

 でも、このままでいけないこともわかっている。

 みんなは真実を知る権利がある。

 本当の事を話そう。


「……わかりました。本当の事をお話しします」

 そう決意したとき、快晴だった日差しが陰り、空に暗雲が生じていた。


 あぁ、そうか。

 破滅の時間が来てしまったのだ。

 平和な学園生活はもう終わったのだ。


「その前に、皆さまにひとつお知らせがあります」


 窓が音を立てて揺れるほど、風が強くなってきた。

 中庭に咲いた花が、花吹雪のように散ってゆく。


 誰かの声が聞こえた。

「な、なんだあれは!?」


 そして、暗雲の中から黒い瘴気をまとった巨大な生物が現れた。


「ご覧ください。あれが乙女ゲームのバッドエンド。魔王ダークエンドです」


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