表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/51

第8話 ルーナの王子様。

 

(?視点)


 俺の名前はヘンリー・ファン・ハビスブルク。ルーナ国の第一王子だ。胃潰瘍で入院した俺の父こと国王陛下。姉が代わりに政務を執っているのだが、とんでもない事を要求してきた。


「ピアチェーヴォレの女王となんとしても結婚するのです。婚約をもぎとってくるまで帰って来てはなりません」


 姉の言う事は確かに正しい。隣国ヴィントに不穏な気配がする今、早急に後ろ盾となる大国が必要だ。緩衝国という価値しかない小国ルーナ。他の隣国に同盟を結んでもらう訳にはいかなかった。隣国での同盟はイコール吸収に他ならない。それはヴィントとの戦争を誘発させる危険があった。


 ふたつ隣の大国ピアチェーヴォレの同盟国または属国にしてもらう事がヴィント国を牽制し、かつ平和的に済ませる有効な策だ。


 少し前に縁談を断られたところだが、妹の縁談を断られた今、俺がピアチェーヴォレに乗り込み女王を口説き落とすしか生き残る道はない!


 やる気満々でピアチェーヴォレに来た俺は、門前払いを食らう。宮中伯のフィデリオとかという神経質そうな男が「お帰り下さい。これは陛下の代弁です」と頑なに俺を城に入れない。


 舐められたものだな。所詮は小国の王子だからか。とぼとぼと城下を歩いてると、とんでもない光景が広がっていた。


「合コンのメンバーがさ足りなくて、良かったら君達来ない?」


 イケメンが女の子普通にナンパしてる。まるで息するようにだ。


 女の子は「はあ? ありえないんですけど?」と慣れた感じであしらってる。


 この国の民は頼もしいな〜。俺の国の民は表面上は友好的な者が多いが、男はこんなにフレンドリーじゃない。受け身なタイプが多い。女性はこんなに意志がはっきりしてなくて優柔不断だったりする。


 意志がはっきりしたピアチェーヴォレの民を好意的に思えた。


 ピアチェーヴォレの女王もきっと頼もしい人に違いない! ここは腹をくくって城に侵入するしかない!


 間違った方向に決意を固めた。


「おや? 貴方はヘンリー王子ですか? こんな場所でお会い出来るとは光栄です」


 なんか見覚えのある貴族の青年が声をかけてきた。両手に花(美女) を抱え満面の笑みを浮かべ近づいてきた。


 ? ピアチェーヴォレでは男にもナンパするのか?


 そんな疑いは貴族の青年の一言で消し飛んだ。


「ルーナ国の女性は優しい子多いですよね。今度紹介して下さいよ」


 ……え? 両手に抱えてる美女の前で良くそんな事言えるな。


 平然とした美女の様子に「あっ、ただの遊び仲間か!」と1人納得した。


 もしかして、城に潜入できるチャンスかも!


「良いですよ〜。ただ一つだけ協力してもらいたい事があるのですが、良いですか〜?」


 貴族の青年は和かに「女性紹介してくれるのなら喜んで」と頷いた。


「俺はどうしても女王陛下に逢いたいんです。城に侵入できる方法とかってないですか?」


 貴族の青年は顎に指を添えて真剣に考えだした。


 やはり、城に侵入させてはもらえないだろうな。


 人生そんなに甘くないよねー。と諦めかけたその時貴族の青年は真剣な目を俺に向けた。


「それって夜這い的な?」


 ……うーーーーん。ちょっと違うようなぁ。でも大体の意味はあってるな。


「うん。そうです」


 俺は適当に頷いた。すると貴族の青年は目を潤ませた。しかも俺の肩に手を載せる。


「ようやくっっ。ようやくあの鬼に春が訪れるわけだっっ。喜んで協力しようではないかっっ」


 感激のあまり打ち震える貴族の青年。協力してくれるなら何よりです。鬼って何の事だろう? 聞いた事ないや。


 こうして心強いピアチェーヴォレの貴族の協力のもと城に侵入する事になったヘンリーであった。





 〜〜〜




 短い黒髪に青い垂れ気味の目の優しげな顔立ち青年は、人の幅よりも太い柱の影に隠れて芝生広場でくつろぐ女王を観察していた。青年の格好は深緑色に赤い立襟の衛兵の格好だ。貴族の知り合いの衛兵に貸してもらった。その衛兵も「ようやく陛下にも春が来るのですね!」と感激して泣いていた。


 心配されてるなんてピアチェーヴォレの女王は人徳があるようだ。これはその人柄に期待してしまう。ヘンリーはじーと女王の様子を探った。


 燃えるように美しい赤の髪はきっちりまとめられて、知性を感じさせる眼鏡に、寛いでる姿だが背筋はぴんと伸ばしており気品を感じ、憂いを帯びた瞳は庇護欲をそそられる。


 うん。俺の好みのどストライクだわ。


 胸が高鳴り見惚れてると女王がこっちを向いた。俺を見て目を見開く女王。こっちに上品な仕草で歩み寄ってきた。そしてぞろぞろ付いてくる騎士達。


 流石、女王だけあって守りは万全の状態だ。因みにヘンリーが侵入した時点で万全ではない。


「少し1人にしてほしいの」と騎士にお願いする女王。騎士は「ダメです。せめて1人でもお付け下さい」と譲らない。「……ならば、そこの衛兵に付いて来てもらおうかしら」と俺を指差してきた。


 何だと! これは口説く絶好のチャンスではないか!


 俺は喜んで「お任せ下さい!」と頷いた。







この世界には基本的にまともな人はいません(笑)

女王はキレると口調が男っぽくなります。わざとする事もあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ