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俺達【白鳳団】は、たった2年でシルバータグまで登り詰めた勢いのあるパーティーだ!
平均レベルだって基礎職の60あって、ゴールドタグへの通り道と言われる、中級職まで後40と、これからの2年で充分狙える位置にいる。
ただ……レベルが上がれば良いだけじゃないって聞いたし、上に行くには実績を積む必要もあるって事だよな!
親切な先輩が、難しいと言われている飛竜の卵採取クエストの攻略法を教えてくれたし、ここは名前を売るためにも挑戦してみよう。
きっと、皆も賛成してくれる筈だ!
……でも、クエストに行くのに必要な消費アイテムとか以外って、持って行く必要あるのかなぁ?
まぁ、あの人を疑うのも悪いし、万全を整えて行くか!
ーグチュ ……ひっ!ぎぃやぁあ
ドワーフの戦士は肩に噛み付かれ、強力な顎の力でそのまま千切られ食われる
ーピピン! …ヒュン …あっ、
魔法使いの少女は戦士の名を叫ぶ間に、爪の一振りで首と胴を分かつ
ー待っていろ!回復を… ボンッ‼︎
神官のエルフの青年は、飛竜のブレスに灼き焦げる
お、俺の、俺のセイ…オレノセイだっ……
ーーあぁ!あ…ゔゎぁぁあ ゴキュ…ドンッ‼︎
最後に残ったリーダーの青年も、白い竜の尾の一撃に体を曲げ、壁に激突し動きを止める
ーー最後に残ったのは、飛竜達が餌を食す音のみだった……
ーーーーーグリムズ 洞窟支部ーーーーー
「ぎゃはははは!今回も上手くいったぜ!」
「あひゃひゃひゃ…ほんとバカばっかりだよなぁ〜」
「「はははははっ」」
肩を小突きながら笑い合い、酒を飲み交わす彼らは、人を騙し、モンスターを操り、利だけを得る狡猾な狩人達。
最近の景気の良さに、冒険譚は饒舌に語られるばかりだ。
「しっかしよぉ、普通怪しむだろ?何で全財産持ってクエストに行けだよ……あっはっはぁ」
「ありがとう!とか、奴は完全にアホだよ〜げははは」
「そういや、前の奴らも傑作だったなぁ…」
「おうよ!荷物攫ったら…まてぇぇ‼︎だってよー、うひゃひゃひゃ」
「あ〜でも、結構な上玉も居たから、全部を飛竜の餌にすんのは勿体無かったよなっ」
「俺は断然エルフ推しだな!」
「けっ、なんだよお前…亜人趣味かよ、おりゃあもちろん、トンガリ帽子のお嬢ちゃんだなぁ〜」
「お前こそ、幼女趣味かよ!」
「まぁ、ボスの命令じゃ、仕方ねぇけどな」
「そこそこ腕が立ちそうって事じゃ、仕方ねーわな…ははっ」
自分達は狩人であり、人を追い詰め絶望させ、時には攫って玩具にし、さらに絶望させる。
彼らにあるのは、いかにして得をし、相手を陥れるかを追求する事のみ。
その時にあって、彼らはまだ知る由も無い。
永遠に思い通りが続く訳では無いと言う事を……
ーーーーーーーーーー
奴らのアジトを覗いてみて分かった事は、何らかの方法でターゲットを誘い込み、捕らえている飛竜の赤ちゃんを使って飛竜達にターゲットを襲わせる。
誘き寄せ役の男は、機を見てインビジブルで姿を眩ませて逃げる。
もちろん、男には自分の匂いを誤魔化す為の魔法の粉が掛けられているので、嗅覚で嗅ぎ分けられないようにしているんだ。
…おそらく同族の匂いに間違わせるよう、飛竜の匂いが付くような調合がされているんだろう。
それに、中での会話……
2人にはとても聞かせられない。
喋り出す前に殺さないとな。
奴らのアジトに着くまでには、結構な見張りがいるみたいだけど、精霊を戻しながら場所は殆ど把握出来たし。
……これで詰みだな。
「…どうかしたの?」
「アールヴさん、大丈夫ですか?」
精霊から視点を戻して2人を見ると、顔が引きつってる。
そっ、そんなに、俺は酷い表情をしていたのだろうか…
2人に大丈夫、大丈夫と言い訳をして、相談を始めた。
まず、飛竜の巣と奴らのアジトがある横穴の分岐点までは、見張りと徘徊してくる、はぐれ竜を倒して行かないとダメだ。
なので、こちらもアリシアにホーリー・オブ・エネミーリーブをお願いして、気配を消して進む。
敵を倒すのは俺が召喚する、
異形の暗殺者【アサシネイト】で、
一体ずつ消して行く方法を取るつもりだ。
飛竜のブレス対策で、アージェには氷魔法の【アイスエッジ】を待機中にしておいてもらうようにお願いする。
最後に、俺が昨日必死に描き終えた、ワンドをアリシアに、杖をアージェに渡して、俺は近接戦用に剣を装備した。
アリシアのワンドは、神樹のカケラとミスリルを合わせて作ったから、神聖属性の威力が上がるはずだ。
アージェの杖も、アカシアの大樹の枝を素材に入れたので、魔力変換率と範囲効果が良くなるように作ってある。
俺の剣も斬りつけた相手に麻痺や、毒などランダムでデバフを与える効果がある。
準備を整えた俺達は、慎重に進んで行く。
先ずは、入り口すぐにいる見張りに石を投げつけた。すると、俺達の事を報告しようと賊が奥を向いたので、死角からアサシネイトの右手が突き刺さり死んだ。
戦争体験で慣れたつもりだったのに、自分の意思で人を殺しただけで胸がムカつく。
自分って結構ナイーブなんだなと思うと、あの決意は何だよと笑えてくるな。
……アイツらは人間なんかじゃない。
ゴミクズのくせに達也達を苦しめた、許してはならない存在なんだと自分を戒める。
「次の角に一人いる。」
俺はアサシネイトを差し向けたが、もう一方から飛竜…ワイバーンが顔を出して来た!
アサシネイトは見張りを鉤爪で切り裂いてるから、間に合わない。
俺が剣に手を付けたと同時にブレスが襲って来る。
俺は平気だけど、2人はキツイはず……
「アイシクルバースト!」
アージェの魔法がブレスを搔き消す。
「…凄い。威力が上がってる……」
アージェの呟きを聞きながら、ワイバーンに走る。
二発目の準備に入っていた、ワイバーンの口に剣を力任せに突っ込む。
ーー⁈ゴハッゥウ…
と煙を出しながら倒れた。
良かった、特に被害が出ずに倒せた。
だけど、今の戦闘音で俺達に気付く者が出たかもしれないので、先を急ぐよう皆に伝えて進んでいた。
……⁉︎
もう少しでアジトとの分岐点と言う所で、クリスタルドラゴンの一団が向かって来るのが見える。
まずい……おそらく強行してアジトに向かっても、途中で気付かれるだろうし…
やり過ごすにしても、だいぶ戻らないと隠れる所が無い。
……仕方ない。
逡巡して俺はオリハルコンブックから、猪のようなモンスター【ウリボー】を召喚した。
そして、クリスタルドラゴン達の横を目立つように走り抜けさせる。
…すると、それを見たクリスタルドラゴン達は、ご馳走でも見つけたかのように、嬉しそうな雄叫びを上げて追い掛けていってくれた。
ふぅ…用意してて良かったよ。
ウリボーがやられればダメージは少しあるけど、ここで戦うよりは随分とましだと思うからね。
最後の分岐を曲がり、まもなく奴らの元に着くと言うところで最後の準備を行う。
「…リブロ、ペンネッロ!」
俺はオリハルコンブックを出し、今回の為に用意した召喚獣を出して行く。
「トーチャーオフィサー」
両手持ちの巨大なハサミを持った、ボロボロの包帯を全身に巻く、ミイラのような生き物を出す。
「デスビー」
次に、尾に巨大な毒針を持つ体長1mはある巨大な蜂が姿を現わす。
「ヘルハウンド」
さらに地獄の番犬と呼ばれる、三つの首を持ち口から火を吐く獣が唸り出てくる。
「デスナイト!」
最後に、体長2.5m近くある漆黒の鎧を身に纏い、虚空のような頭の入った兜を脇に抱えた暗黒騎士が召喚され現れる。
全ての召喚獣達が俺の指示を待つ。
「いいか…お前達。これから行うのは一方的な蹂躙だ。」
「慈悲の一つも与えるな!絶望を与えてやれ!」
……自分でも驚くような、恐ろしい声が出ていたせいか、
後ろで「ひっ」と呟く声が聞こえた。
だけど、今は気にならない。
こいつらに容赦はいらないんだ、狩られる側の気持ちを存分に味わえ!




