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ーーーー赤い盾ホーム
「私は、これを持って行って……」
「……これは2人に。」
「うむ。そうである……」
俺がシャーリアに戻って来た次の日、ホームに向かうと、達也と飛鳥以外の3人が家の中から色々と運び出している所だった。
「…こんにちは。皆。」
「アールヴ!最近見ないから、もう会えないかと思ってたよ〜」
メルが笑顔で駆け寄って来る。
「うむ。久しぶりな気がするようですな。」
「……何処に行ってたの?」
エルクとアージェも手を止めて迎えてくれた。
「……少し、自分を鍛え直してて…」
「アールヴは強いから、問題ないでしょ?」
メルは純粋にそう思っているような表情で、そう言って来たけど、当時の俺に今ぐらいの力が出せてれば、こんな事にはなって無かったはずなんだ……
俺の感情を読み取ったのか、メルが達也と飛鳥は部屋に居ると教えてくれた。
その前に、皆に確認しておかなければいけない事があるよな。
俺は取り戻した力を見てもらう為に、召喚獣を二体召喚して見せた。
「おおぅ!」
「……」
「……凄い力を感じる」
反応は上々のようなので、本題を切り出す。
今までの経緯や、俺の現状とこれからやろうとしている事と、その思いの全ても話す。
すると、メルが切り出した。
「アールヴ…あなたの気持ちは、皆凄く喜んでいると思うわ。でも、今回の事は私の弟と私の我儘が原因なの。」
目に涙を浮かべて、全ての原因は自分だけだと言うメルに、
「いや、これはクエストを決めた達也と、それを認めた我々全員の責務であるな。」
エルクは言うと、メルの肩に手を置く。
「私はそうして欲しい。やるなら、私も手伝う……。」
復讐を望まなそう……いや、俺に迷惑をかけないようにする2人とは対照的に、普段おっとりしているアージェは自分も戦いたいと言って来た。
「…いいえ、違うわね、私達がどうこう言う事じゃないわね。中の2人が何て言うかだわ。」
メルが涙を拭いて顔を上げて言った。
……俺は皆に頷くと、2人に会う為に家の中に向かう。
……ぁ…が! ーーこ…る……
ーーお…い、 ……だい…ぶ……ら
扉の前まで来ると、中から声が漏れて来る。
……重い。
ただの木の扉なのに……
開けるのに心が押しつぶされそうになる。
ただ、突っ立ってても始まらないんだ。
……よしっ
俺はノックをして、部屋に入る。
飛鳥も達也もさらにやつれて、別人のようだ……
「…あぁ、アールヴ君、お見舞いに?達也も前よりだいぶ良くなってるよ。」
「…あー、ゔ……」
2人を見て、俺の中にある、
黒く暗いものが噴き出てこようとする。
それを必死に抑えて、出来るだけ簡潔に軽くなるように話す、
「この前の洞窟のやつらに、仕返ししてやろうと思うんだけど、その…2人はどう思うかな……?」
ーーーやって。
……お願い。
酷く冷たい声だった。
背中がゾクッとした…目の前の人間が発していなければ、本当に知らない人の声かと疑う程だった。
「でも、無理ね。」
飛鳥は睨んでいた視線を戻して、俯いて呟いていた。
それを見て、俺は決心した。
やはり、やるべきだと。
2人にホームを引き払うのは、後2日待って欲しいと伝え、部屋を出た。
外に居た、3人に結果を伝えると、アージェが付いて行くと言いだした。
俺は、危ないし止めるように何度も言ったが聞いてくれず、自己責任で同行する事で押し切られてしまった。
その後マルク邸に行き、2人に俺の決意と今後を説明したら、アリシアさんも同行すると言いだした。
今回の件は、どう転んでも良い話にはならないので、辞退をお願いしたけど……やっぱり聞いてもらえなかった。
……アージェと2人だと危険だからだそうだ。
何故か、マルクがそれを聞いて笑ってた。
俺は宿に戻り、自室で考える。
本当は一人で行きたいけど、アージェは仕方ないか…
でも、アリシアさんはダメだよなぁ…
でも、こっそり2人で行ったら、後で何を言われるか分からないし。
前回の件で恩もあるし、俺が2人をしっかり守れば良いだけかぁ…
説得を諦めた俺は、明日の朝の出発に向けて、色々な準備の為に何枚も絵を描いた。
ーーーー翌朝
さぁ、行くかと気合を入れて、なるべく黒い感情は消して2人を迎えに行く。
先ずはアリシアを馬車に乗せて、次はアージェを迎えに行った。
赤い盾のホームで2人を紹介したけど、なんか微妙な空気だったな……
気が合わないのだろうか?
少しの不安を覚えながらも、ガザン洞窟に向けて出発する。
今回の馬車は俺が召喚した、二頭のユニコーンだ。
向こうに着いたら、召喚獣は戻せばいいし、こいつらなら俺の操縦でも、言う事を聞いてくれるから便利だしな。
……さすがに街中でドラゴン召喚とか迷惑だろうし、近くで目撃されても騒ぎになるだろうから、自重しておこう。
若干重い空気の幌の中を無視してスピードを上げる。
意外と揺れも少なくて早いので快適に進めた。
洞窟前に着いたのは昼前だったので、軽く昼食をつまみ、その間に複合元素体である、【ティンク】と言う精霊を召喚し、中の様子を偵察しておく。
この精霊は視覚をリンクさせれるから、様子を探るのに持って来いなんだ。
……見当たらない。
結構探したつもりなのに、アジトが分からない。
飛竜は沢山いたけど、洞窟の中は入り組んでて、中々見つける事が出来ない。
出発の準備も終えた頃、ようやく野盗らしき男を見つけた。
【インビジブル】の魔法で姿を隠しているけど、精霊の眼は誤魔化せない。
俺は精霊に後を追わせて、ようやくアジトを発見した。
さぁ、捕まえたぞ……
覚悟しろ。
たっぷり後悔させてやる…




