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†アルヴス アトリエ オンライン†  作者: ネコまっしぐら
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ーーーーーパサッ


「…ふぅ〜」


朝、目覚めた俺は昨日の疲れが抜けていないのか、体の怠さに小さな溜息をついた。


昨日は一日中忙しくて、心を休める暇が無かったのは確かかな。

もちろん、肉体的には、超高レベルなだけあって、今からフルマラソンしたって平気な位の感じはするので、余計に心と体のバランスがおかしい気がする。



……ベッドの上でウジウジ悩んでいても仕方が無いと、身支度を始める。



用意を済ませて、大通りに出ると、朝の日差しが眩しい。

余計に気が滅入るような感じを覚えたが、気のせいと思い直して、赤い盾のホームに足を向ける。


ザワザワと騒がしい街を、ホームに向かいながらボーッと眺めると、ゲームの時には気付かなかった、色々な店や建物がある事に目が奪われる。

…まぁ、元々、目的地一直線でプレイしてたから、良く考えれば必要な場所以外は、あまり記憶に無かったし、もしかしたら店だって当時の物とは変わってしまっているのかもな。



Mの看板を見つけてアリシアさんの事に気持ちが行く。

転移されても、何もかもが上手く行く訳じゃないんだな、って思い知らされた。





……足が止まる。

いつの間にか、赤い盾のホームである、小振りな洋館の様な建物が目の前に来ていた。

前に見た時は、夜だったし、暗闇に浮かぶ古洋館は迫力があったけど、朝日の元に照らされる建物は少し寂しそうに見えた。




ーーパタン

「あっ!」


俺が門の前に突っ立ているのを見つけた、メルが小さな庭を走って来る。


ーーータッタッタタ、ばっ!



……そのまま抱き締められた。





「ちょ、ちょっとメル、どうしたの?」

「ごめん……昨日は呆然とし過ぎて、あなたにお礼を言う暇も無かったから…」


俺は、エルの体を優しく離して、エルの笑顔が暗さを孕んでいると気付きながらも、気にする事なんか無いよ、と笑った。





メルと一緒に玄関に入ると、エルクとアージェが気付いて、玄関まで迎えに来てくてた。


二人共、俺を見て笑顔を見せてくれるけど……やっぱり表情が硬い。

それに達也と飛鳥が居ない……



昨日のお礼を言う二人に、メルの時と同様、気にしないで良いからと伝え、達也の場所に案内してもらう。

二人はリビングでは無く、二階の個室にいるそうで、前には上がらなかった、階段を登り部屋の前に立った。



……!……ま…る …オレ……ご…ん

…だ……ぶだから。



部屋の中から話し声が聞こえ、二人が居るのが分かる。


……


……明らかに様子がおかしいのも分かるから、中々部屋に入る勇気が出ない。

周りの三人も急かして来ないし、皆が下を向いてるのが余計に、俺の手を重くしていった。



……「誰か居るの?」

部屋の中から飛鳥の声がしたので、俺は意を決してドアを開けた。


部屋の中は、窓のカーテンが閉められ、ロウソクが灯っていた。

薄暗くはあったけど、様子が分からない程では無かった。


…カタカタ



布団とベッドが少し震えているのが分かる。

飛鳥に声を掛けると、挨拶と昨日のお礼が返ってきた……が、顔に疲労の色が見て取れる。

目の下にはクマが出来てるし、疲れきった笑顔は、いつもの彼女たちとは明らかに違った。




……ベッドに横になっている、達也の元に、意を決して歩く。

「……あ"ー…る…ヴ」

「ごめ…な」



消え入るような声で謝る達也に、わざと軽い口調で、「何を聞きしてるんだよ、友達だろ?」と、言って肩に手を伸ばす…



ーーーバシッ!



……手を弾かれ、布団を被られた。

「ご、ごめんなさい!」

飛鳥が、怯えるように謝る。


その様子を見て、大丈夫と伝えるのが精一杯だった。






……その後、リビングで三人に経緯を説明してもらった。


・あのクエストを受ける事になったのは、メルの弟が捕まり仕方がなかった事


・洞窟にはタチの悪い野党が居て、補給用のアイテムを奪われ、モンスタートレインまで当てられた事


・達也は皆を守る為に、ほぼ一日中、横穴の入り口を守っていた事


・そのせいで、体の傷は癒えたが、精神的なダメージが強く、一日のほとんどは、まともに話が出来なくなった事


・飛鳥はそんな達也を、ほぼ寝ずに看病し続けている事




…俺はその話を聞いて、心の中がドロっとした黒い物で満たされて行くのを感じた。



話終えた後に、メルの弟は解放された事や、助けに来てくれた事。

チーム全員の命があった事に感謝されるけだ、言葉が全然入って来ない。



そして……

最後に、恐らく赤い盾は解散になるだろう事と、皆でこの街を去る事を聞いた。







……俺は、元の現代社会で生きていた時に、人を殺したいとか、死ぬほど憎むなんて経験はした事が無かった。

けど、この時感じた、この感覚は間違い無く"それ"だと断言出来た。






赤い盾のホームを後にした俺は、今回の件に絡んだ奴らへの報復について考えながら、アリシアさんに会う為、教会に向かった。


教会の前には、たまたま掃除をしていたゲイルさんが居た。

向こうも俺に気付き、声を掛けてくれた。



「昨日はお疲れ様でしたな、あの後、皆さんは元気になられましたか?」

メンバーの状況を知らないようで、普通に聞いてくるゲインさんに、無駄な心配をさせることも無いと、大丈夫だったと伝える。


今日のご用は?と聞かれたので、一応、昨日のお礼とアリシアさんに会いに来た事を伝え、呼び出しをお願いする。



……すると、ゲイルさんは周りを気にし始め、教会の隅まで俺を誘導すると、小声で伝えて来る。


「アリシアは命を狙われていて、今は知り合いの元に匿ってもらったいるのです。」

「…!なっ、で、今は何処に?誰に狙われているんですか?」


焦って質問する俺に、少し落ち着く様に促すゲイルさん。

さらに小声で、潜伏場所は知らない事と、誰に狙われているかは、教えられないと言われた。


無理にでも聞き出そうかと思っていると、それを知ると俺もアリシアさんも、さらに危なくなると言われてしまう。



……さらに危険になるなら、俺が見つけて匿うのを手伝った方が賢いかも…

そう考えて、行く宛を聞いてみたが、知らないと突っ張られた。



この人には恩もあるし、これ以上は話をしても仕方無さそうだったので、お礼を言って、その場を後にした。




……今の俺なら、殺してでも聞き出そうとしてしまうかもな。



そんな事を考えながら、一旦、宿に戻った。

まずは、洞窟に潜んでいる野党共を殲滅しに行く事だけど、今の俺じゃ、進んで死にに行く様なものだ。


……この装備じゃダメだ。

何とか、アダマンタイトかヒヒイロカネ位の揃えないと、一人で全て対処するのは難しい。



……悩む

……考える

……記憶を頼りに、方法を考え…



思い着いた。




不死山に錬成版があった事と、その錬成所の近くに、昔に集めていた武器素材を隠してあった事を。


ここから、不死山まで行って装備錬成をして、その足で殲滅しに行く。

俺は黒く燃える自分の心に、そう誓った。

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