〜間話劇〜
〜間話劇〜
「はぁっ…はぁ、はっ……」
私は後ろを頻繁に振り返りながら、日の入りにくい裏路地を走る。
……まてぇー
…………このアマぁ!
まだ声が聞こえてくるから、撒けてないって事だ。
……どうしよう。
もうすぐ、路地が終わって大通りに出ちゃう!
ーードンッ
「きやっ!」
「大丈夫ですか?」
優しそう男性の声が聞こえて来た。
…⁉︎
凄い綺麗!おとこ…の人だよね?エルフの方かな?
……しまった、そんな事考えてる場合じゃ無かった。
「すっ、すいません、すいません、すいません。」
変な謝り方をしながら、追ってを逃れるために走りさった……
多分、変な子だと思われたよね?
……はぁ、
でも、もう会う事も無いだろうし、それよりも「これ」を教会長様に届けないと!
頭を切り替えて、私は大通りの人混みを縫うよう走り抜けた。
そう言えば……あの後追い掛けてくる声が聞こえなかったけど、注目を浴びるのを気にしたのかしら?
そんな連中では無いと思うのだけど……
無事に教会に着いた私は、獣国ウルニアとシャーリア内で密かに行われている、人身売買に関する資料をジーザス教会長へ渡した。
それに、売られる娘のフリをして得た、敵のアジトや一味の情報等も付け加える。
「よくぞ成し遂げました、アリシアよ。これは私が、シャーサ王女にお渡しし、売買ルートの壊滅を進言しよう。」
「はいっ!教会長様、よろしくお願いします。」
私の出来ることはやったし……後はジーザス様とシャーサ王女にお任せするしか無いよね…。
……翌朝、教会に賊が侵入し、ゴロツキが訪ねて来たらしい。
幸い私は、里子に行った子供達を見回りに行って、好意に甘えてお泊りさせてもらったので、たまたま居なかった。
もし、私が見つかったら教会にも迷惑が掛かるし……
何故、私だと分かったのだろう?
何かヘマをしたのかな?
「私って意外とドジだからなぁ……」
自虐しても仕方がないので、しばらくは孤児院に身を隠させてもらおうと向かう。
……
「…えっ!?」
孤児院に着いた私は驚いた。
……既に【グリムズ】の一味が、私を待っていたから。
おかしい、手が早過ぎるよ。
泣きそうになって、
頭の中が真っ白になって行く……
誰か、誰か……助けて。
しばらく立ち尽くしていた私は、鈍くなった体を抱きしめながら、大通りを目立たないように歩いた。
今、頼れそうなのは、ギルドの受付をしているクリシナ位だ……。
迷惑を掛けてしまうけど、後で謝るしか無い。
ごめんなさい……
重い足取りで、ギルドに向かいながら考える。
こう見えて、私はLVが高い。
大した相手じゃなければ負けない……と思うけど……
でも、それも一対一なら。
囲まれたら……きっと、私じゃ逃げられ無い。
……そう思うと、余計に体が動かなくなって、街路樹の陰に隠れて辺りを見ていた。
「あのぉー」
「ひぃっ⁉︎」
アイツらに見つかった……そう思って飛び上がって変な声がでた。
あっ、少し前に会った人だ。
やっぱり綺麗だなぁ…と、思ってしまう。
何の用か聞いて見る。
私が怪しく見えたのと、変な人に追われてそうだったから、声を掛けてくれた。と、説明された。
……私に優しくするなんて、変な人?だな…
で、でも、優しい人を危険に巻き込む訳には行かない!
顔を見るのは恥ずかしかったけど、必死で断った。
逆に気を使わせてしまったみたいで、謝られてしまった。
でも、これで良かった……よね?
「やっと見つけたぞ、アリシア!」
今度こそ心臓が止まるかと思うほど、びっくりした!
……ついに見つかってしまった。全身の血の気が引いて行くのが分かった。
「お前が例の男かぁ……」
…な、なぜか、あの人も私の仲間だと思われてる!
ち、違うとハッキリ言わないと……
でも、その気持ちとは真逆に口が開かない。
どうしよう……なんとかしないと……
……か? ……けっ!
……あの人が何かを言っている。
きっと、後悔してるんだ……
私が暴れて隙を作ろう!
それで…きっと逃げられるよね?
小声で、私が隙をを作るから逃げてもらうように伝えると、
大丈夫ですよ。と、笑顔が帰ってきた……
こんな状況で笑えるなんて、この人って凄く度胸のある人なんだなぁ。
そんな事を思っていたら、奴らのアジトに着いてしまった……
もぅ、ここしか無い!
あの人だけでも逃げてもらう!
何故かそう思うと力が湧いてきて、覚悟を決めた。
一番強そうな奴からと、私の後ろに居た、坊主頭で刺青の男に拳をお見舞いする。
脇腹に入って、悶絶してるのに反撃しようとして来る!
何とか、掴まれるのを避ける。
そして、避けながら敵の顎めがけて下から掌底をくらわせる!
ふらふらの男にトドメで回し蹴りを使うと、泡を吹いて倒れてくれた。
……そう言えば、他の奴らから邪魔が入ら無かったような?と、横を見ると、魔法で二人同時に気絶させる、あの人が居た。
……凄い
私は、許される事では無い。と、分かってはいながらも、誠心誠意謝った。
それなのに、彼は気にする様子も無くて…
大通りまで道案内を頼まれたのだけど、自己紹介をして無いことに気づいて、慌てて名乗らせてもらったら、
何故かしら?キョトンとした表情をされてしまったのだけど……
何か変な事を言ってしまったのかと考えたけど、分からない。
でも、彼が突然言ったの。
…………「欲しい。」
「えっ⁈……」
「へ⁉︎」
まさか、いきなりあんな事を言われると思って無いし、どうしよう……心の準備が!
…………
さっ、流石に、すぐにそんなお願いは聞け無いし……
と、取り敢えず、お友達からで我慢してもらおう!
そ…そうしよう。
なんとか、絞り出すようにソレを伝えたら、は…恥ずかし過ぎて、思いっきり噛んじゃうし。
私ってば…最悪だぁ……。
でも、優しい彼は、宜しく…と、言ってくれたの。
だから、この時…私に出来る事は何でもしよう!
そう、私は決意したんだ。
その後は、大通りまで恥ずかしくて、あまり喋れなかったけど、??……何故かお礼を言われて、彼とは別れた。
……彼の名前は、アールヴ・スカンディナ様
……ネムの樹亭に泊まっているのかぁ…
次に会えるのは、いつになるのかなぁ……




