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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第98話「エレンとエリシアの語らい」

#第98話「エレンとエリシアの語らい」


 ギルベルトたちが酒を酌み交わしていたちょうどその頃、屋敷の別室では、エレンとエリシアも久方ぶりの再会を楽しんでいた。

 エレンがくすくすと笑いながら話を始めた。


「まさかエリシアもヴァルドリック領に来るとはね。さすがに予想もできなかったよ」


「それはこっちこそよ。なんであなたがいるのかと驚いたわよ。宮廷魔道具士になったって聞いてたのに」とエリシア。


 二人は学園時代の空気に戻ったかのように、軽く笑い合った。

 そして、エレンの軽口が続いた。


「貴族に仕えたって聞いた時は、いつまで続くかと思ってたけど……やっぱり解雇されたんだな」


「うるさいわね。あなたの予想通りよ。見事に解雇されたわ。だから何よ!」


 エレンとしてはエリシアが貴族に仕えることになったと聞いて、やや心配だった。プライドが高く、認めた人間としか話しないエリシアが大丈夫なのかと思っていたのだ。貴族は面倒くさい人物が多い、エリシアとは合わないと思えた。

 まあ案の定、解雇されたわけだが。とは言えエリシアは変わってもいた。その点についてエレンは好ましく思っており言及した。


「ふーん。でも変わったね。昔の君なら、今ごろその貴族の悪口を百は言ってるよ。今は全然だ、悪口の一つも言わない」


 エリシアは少しだけ視線を落とした。


「……まあ、今はね。私の方が悪かったと分かっているもの。それに悪口なんて言っても何の足しにもならない。自分が損するだけだと思う」


 その言葉に、エレンはわずかに目を細めた。


「ふーん。本当に変わったんだな。でもまあ、それはそれで良かったと思うよ。その方が人に好かれるからね。それに、こうして再会もできたしいいこと尽くめだ」


「そうかもね。でも、本当にどうしてあなたがここにいるのよ? 生粋の魔道具オタクなのになんでよ? ここは言っちゃ悪いけど凄い田舎だし、普通に考えてあなたが来るところじゃない。実際は何か隠している魂胆とかあるのでしょ?」


「ああ、そのことについては君には話しておかないと駄目だな」


「それはね――とにかくレオンが凄いんだ」


「えっ、レオン様が凄いって、何が? どういうことよ」


 エリシアにはヴァルドリック領に来る理由がさっぱり分からなかったが、エレンはレオンが関係しているという。でもレオンとエレンに何の繋がりがあるというのか?

 そこでエレンは一瞬、真顔になって語った。


「これは絶対に秘密の話だ。もし漏れれば、レオンの命が危ない。約束できるか?」


 そのエレンの言葉にやや圧倒されながらもエリシアは即答した。


「もちろん。レオン様を守るためなら、何でもするわ。約束ぐらい守る」


(……こいつ、本当に大丈夫か?さすがにレオンに対する気持ちが強すぎると思うのだが)


 エレンは一瞬、そう戸惑いの気持ちを持ちながらも話を続けた。


「レオンはな、私が足元にも及ばない凄い魔道具師みたいなんだ」


「……はあ? 彼はまだ三歳よ、何ですでに魔道具師なのよ? そもそもあなたは国のトップと言われている宮廷魔道具師でしょう。比較できる人間などいないはずでしょ?」


「私も最初は冗談だと思ったんだよ。でもな。レオンは魔道具の修理も、開発もやっているみたいなんだ。私にさえできないことを平然とやっているみたいなんだよ」


「さすがに嘘でしょ?」


「まあ、私もまだ半信半疑だ。でも実物があるんだ。そして確実に成果もあるんだ。信じるしかない状況なんだよね」


 エリシアはさすがにおかしいと感じた。わずか三歳の子供に対し、国のトップとされる宮廷魔道具師が足元にも及ばないと言い出したのだ。

 でもエレンの声は、冗談ではなかった。目も真剣そのものだ。とりあえずは信じるしかないだろう。


「それが本当なら……大変なことになるわよ。世の中が大きく変わる可能性もあるわよ」


「ああ。その通りだ。だから秘密なんだ。下手をすればレオンは命を狙われるかもしれない」


 それだけは絶対にまずい。

 エリシアは絶対に秘密にする必要があると思いつつもエレンに質問した。


「その秘密を知っているのは他には誰がいるの?」


「レオンの両親と使用人で料理人のオルドさん。それと……国王、王妃、王女様、そしてその主治医だ」


「ややこしいわね」


「ああ。そしてレオンは“オルドしか知らない”と思っている」


「……は? どういうことよ?」


 エリシアは思わず固まった。エレンの話の意味が分からない。両親だけが知っているならまだ分かるが逆だ。何故、使用人だけが知っているという話になるのか?


「レオンは両親に知られたらまずいと思ったらしいよ。そして、両親に対しては魔道具の修理や開発はライゼンという男がやったということにしているらしい」


「つまり……真実を知る者はそれなりにいるけど、レオン様はオルドさんしか知らないと思っているということ?」


「そういうことだ」


 ややこしい話だがエリシアはおおまかに理解した。レオン視点ではオルドだけが自分の特異性を知っている。

 そして現実には両親、エレン、そして国王、王妃、王女様とその専属医が知っているということだ。

 まあ、こちらに来たからには王家については考えから外したらいいだろう。レオンの両親のみだ。


 ともかくエリシアは王家と辺境伯しか知らないとんでもない秘密を知ってしまった。やや疑問はあるが、これは秘密にするしかないと判断。

 そして二人は更に細かい話を続けた。

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