↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-4章「合同魔力測定」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/133

第83話「改ざんに対する王の追及」

#第83話「改ざんに対する王の追及」


 魔力測定が行われた翌日。王城の一室で、国王エドワードは呼び出した人間を待っていた。

 呼び出しの原因は合同魔力測定の場で行われたと思われる改ざんについて確認するためだ。さすがに改ざんがなされたとなれば、そのまま見過ごすわけにはいかない。


 確認のため、まずは魔力検査官を呼び出した。それに加えて専門家の意見も聞きたい。魔力関係に詳しいと思われるソフィアの専属医、そして魔道具師エレンを呼び出した。

 その三人が揃い話が始まった。


 最初は魔力検査官の追及からだった。エドワードは直接、魔力検査官に伝えた。


「昨日の魔力測定の結果についてだが……ヴァルドリック家の息女イリスの魔力ランクをA級からB級に変更したな。あれはさすがにおかしいだろう。魔力測定の結果について真実を正直に話せよ」


 エドワードの一言に、魔力検査官は何ら迷うことなくあっさりと白状した。問われれば正直に答えようと覚悟していたのだ。下手に取り繕う方が問題があると考えていた。


「申し訳ありません。本来の結果についてですが……イリス嬢の魔力量は間違いなくA級でした。しかし協議の結果、B級と発表いたしました」


「ザクセン公爵家当主フリッツ様から、魔力測定の結果が変わるはずはないだろうという強い指摘を受けまして、その場を収めるために変更しました。私の力不足です。申し訳ありません」


 平謝りだ。だがエドワードはその場で処罰まではしなかった。

 その理由はいくつかある。


 自らもまた改ざんを依頼していたというのが一つ目の理由だ。娘のソフィアは本来S級。それをA級に下げた結果に改ざんさせ、発表させたのは王自身である。

 王が先にやった手前、他の人間からの要求で改ざんしたものを咎めるのは、やや無理がある。たとえ、それが国王からの依頼だとしてもだ。

 そして何らかの罪にて処罰した場合、後々、ソフィアの改ざんの件も表に出てくる可能性があるだろう。それだけは避けたかった。


 加えて魔力測定結果の改ざん理由は、ザクセン公爵家当主フリッツからの強い要求であった。

 そして、聞く限り直接改ざんせよという指示があったわけではない。そこが問題を少しややこしくしている。

 公爵家から「その結果はおかしい。変わるはずがない、本当はB級なのでは?」と強く言及されれば、魔力検査官ぐらいではどうにもならない。場を収めるためにB級に変更せざるを得なかったのだろう。

 そして公爵家の追及はあくまでも”結果が変わることはおかしい”という追及であり”改ざんせよ”という指示ではない。間接的な指示と言えばそうともとれるが、断言はしづらい。フリッツを咎めることも難しいと判断した。


 本来は間接的な表現であっても、改ざん要求など受け入れるべきではない。だが魔力検査官の立場程度では公爵家の要求を跳ね除けるのは不可能に近い。

 更に言えば、王家とて力のある公爵家を真正面から咎めるのは容易ではない。現在の王国のパワーバランスは非常に危ういからだ。

 あまりにも権力を持ってしまった二つの公爵家に対しては……いずれの公爵家に対しても王家はあまり強く出られない。


 三つの派閥でにらみ合う状況ならば、そのうちの一つの派閥と協力し追及も可能であったかもしれないが、かつては三大派閥の一つであった辺境伯がほとんど力のない状況なのでそれが難しい。仮に二つの公爵家が利害の一致で組んだら面倒なことになる。

 現状の王国では公爵家関連でおおごとにできないのだ。公爵家を咎めると王国自体が揺るぎかねない。エドワードとしては国王として苦渋の決断をせざるを得ない状況であった。


 しかし、放置しておくわけにもいかない。そこでエドワードは魔力検査官を刺すような視線で睨め付け、話を始めた。


「魔力検査官という立場上、今後もやむを得ず魔力測定結果を改ざんせねばならぬ場合もあるだろう」


 一呼吸置き、エドワードは静かに続けた。


「だがその場合、必ず私にすぐに報告せよ」


「報告なき改ざんは罪に問う可能性もある」


「分かりました」と魔力検査官は深く頭を下げた。そうして退出を許された。


 魔力検査官は青ざめながらも罪が問われないことに安堵し、なんとか退出したのだった。それで改ざんの話は終わりだ。それ以上、何もすることはなかった。


 そしてエドワードはソフィアの専属医、宮廷魔道具師のエレンの二人の方に向いて尋ねた。


「今聞いた通りだがB級という判定は魔力検査官の改ざんだ。ヴァルドリック家の息女イリスの本当の結果はA級ということになる」


「しかし三歳児の測定ではB級だったのも間違いのない事実。今回のB級からA級に変わった結果をどう思う?魔力が年齢と共に上がるという話は聞いたことがあるか?」


 二人は首を振った。そこでエドワードは続けた。


「そうだよな。年齢による魔力の変化があるとしたら大きな話だが、それは普通に考えてあり得ないだろう。ならば魔力検査魔道具の故障を疑った方が早いが、それはないらしい。その後も普通に測定を続けていた」


「その状況において考えられることはなんだ? 医学、そして魔道具の専門であるお前たちの意見を聞きたい」


 ソフィアの専属医、宮廷魔道具師のエレンの二人は少し考えを巡らせた。そしてソフィアの専属医が先に答えた。

 それはレオンの魔道具に関連する話でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。