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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-2章「王女との出会いとやらかし」

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第63話「ひとまずの結論」

#第63話「ひとまずの結論」


 王城の応接間では、レオンについての議論がひとまずの結論を迎えていた。

 まず宮廷魔道具師エレンはオルドの魔道具生産時代の後輩という立場でレオンに接する。

 その設定で距離を縮めていく。そして十分に打ち解けた後に、オルドから「秘密を共有する仲間」としてエレンを引き入れる提案をレオンにするという流れだ。

 おそらく魔道具関連の知識に飢えているレオンは了承する。そうすれば、魔道具の修理や開発の話も堂々とできるだろう。

 やや面倒な流れではある。だが、これまで築いてきた設定を守るためには必要な手順だった。


 それにはエレンも同意し元気に返事した。

「分かりました、それで大丈夫です! 全く問題ありません」


 何が大丈夫なのか?周囲から見れば、今のエレンは不安要素の塊だがここまできたらもう任せるしかないだろう。

 ひと段落ついたその時、王妃カタリーナが静かに口を開いた。

「そういえば――魔力を吸い上げる魔道具は、付属する魔石に魔力が満ちると停止すると、ソフィアから聞きました」


 そこでオルドが答え説明を加えた。

「はい。それで間違いありません。レオン坊ちゃんによると魔石に魔力が満ちたら自動停止するよう回路が組まれているとのことです。その際は魔石を交換する必要があります」


 エレンは思わず口を開きかけ――自分で自分の口を手で押さえた。

(自動停止を回路に組んだ? なんだそれは気になる! しかし今は余計なことを言ってはいけない、冷静にならないと……)


 エレンは冷静になると決めたばかりだ。そうして自分の手で口を押えることで、何とか口出しすることを止めることができた。

 そのエレンの様子を心配そうに横目で見ながら、カタリーナは続けた。

「その魔石交換のために、ソフィアはレオンに来てほしいと頼んだそうです。するとレオンは三か月に一度、王都に来て交換すると答えたとか」


「三か月に一度ですか……?」とオルド。


 ギルベルトもややびっくりした。

「その話は初耳です。当面はレオンが王都に来る予定はありませんので」


 そこでカタリーナは続けた。

「オルドさん、レオンがそれについてどう考えているのか、それとなく確認していただけますか?」


 オルドは少し考えて答えた。

「承知しました。私ならばおそらく聞き出せるでしょう。ですが……」


「なんだ?」とエドワードは訝しんだ。


「おそらくは――レオン坊ちゃんはノープランかと」


 場が一瞬、静まった。

「あくまで推測ですが、その場で聞かれて適当に答えただけではないかと。三か月に一回、王都に来るとかの具体的な話を聞いたことはありません」


 さすがオルド。レオンと接する時間が長いだけあって、よく分かっている。レオンは判断に困ると適当に決めてしまうことが多いことを見抜いていた。

 そして、実際にその通りだ。

 レオンは「未来の俺、何とかしてくれリスト」に放り込んでいただけなのだ。もちろんその詳細について知る者はここにはいない。


 エドワードは額に手を当てて言及した。

「……ならばエレン。三か月に一度、レオンを王都へ連れて来い。秘密を共有する仲になれば、理由付けはいくらでもできるだろう。オルドの言う通りに何も考えていないならば、レオンもその話に乗ってくるはずだ」


「そしてその滞在時に王都でなければできない仕事を全て片付け、お前への面会希望者をまとめて処理しろ。そうすれば不在の言い訳も立つ。普段は研究室に閉じ込もっていることにでもすればいい」


「なるほど……それは良い案ですね。それならば私はずっとヴァルドリック家に滞在してレオンを独り占めすることができます――」


「独り占め? 待て、エレン。本当に設定を理解しているか?」


「もちろんです。最初はオルドさんの後輩。打ち解けた後に秘密を共有。そして三カ月に一度、王都にレオンを連れてくる。その時に私は王都にたまっている仕事を片付ける。これでばっちりですよね。もう大丈夫です」


 エドワードは深くため息をついた。本当に分かっているのかは怪しいが、一応は理解しているようだ。とりあえず内容に間違いはない。もともと頭はいいのだ。冷静になれば大丈夫……なはず。


 こうして会議は概ね終結した。面倒な話は多いが何とかするしかない。

 そこで、ふとエドワードが尋ねた。

「で、その当事者のレオンは今、どうしている?」


 ギルベルトは苦笑した。

「ああ、レオンですか」


「娘のイリスが城内にいる友人に会いに行きまして。レオンは一人になってしまったので、小遣いを少し多めに渡しました。外に出たがっていましたので、近くの公園までなら自由にしてよいと言っています。おそらく公園の売店で何か買って食べているかと。基本的に食べることが大好きな子なんで」


 王は腕を組む。

「そうか、そういった微笑ましい話を聞く限りは普通の三歳児なのだがな。でも本当に大丈夫か? 何か公園で変なことをしていないか?」


「まあ、公園までなら大丈夫でしょう。変なことをしようもありません」とギルベルト。


 そこでエドワードはすかさず冗談を言った。

「それはそうだろうな。さすがに公園で夜這いのような真似もできんだろうしな」


 場に笑いが広がった。さすがのレオンも公園では何もできやしない。せいぜいが売店で買い物をするぐらいだろう。


 だが――その頃、当のレオンはこの場にいる誰も想像していない、とんでもない行動に出ていたのだった。

 後にギルベルトは、自分の考えがいかに甘かったかを思い知ることになる。そしてレオンは常にしっかりと見張っておかないと駄目だと考え直すようになったのだった。

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