第5話「壊れた魔道具、修理してみた!」
#第5話「壊れた魔道具、修理してみた!」
ある日、俺は手を上げて母さんに言った。
「ねぇねぇ母さん、魔道具作ってみたい!」
母さんは少し驚いたように目を丸くする。
「ええ? 魔道具作るのは簡単じゃないわよ。というか素人には無理よ(しかも、あなたまだ二歳でしょ。無理に決っているわよ)でも……やりたいなら止めるのも違うわね。遊ばせてあげた方がいいか」
そう言って笑いながら続けた。
「そういえば、料理長のオルドが昔、魔道具を作る仕事をしていたことがあるって言ってたわ。オルドに聞いてみたら?」
「わかった。母さん、ありがとう、オルドさんのところに行ってくる!」
俺は小さな足でとことこ歩きながら、厨房へと向かった。こういう時に体が早く動かないのはもどかしい。早く走れるようになりたいな。
「ねぇねぇ、オルドさん!」
「なんですかい、レオンぼっちゃん。……ああ、坊ちゃん、呼び捨てで、“オルド”でいいですよ。オルドさんとか言われたら落ち着かないんで」
「うん、わかった! オルド、俺は魔道具作りたい!」
オルドは目を瞬かせた。
「ほう……魔道具、ですかい? 簡単じゃないですよ。まずは魔石はありますか?」
「あるよ! クズ魔石ならたくさんもらった!」
「おお、良く知っていますね。なら、あとは基盤が必要ですな」
「それは持ってないなぁ。そりゃそうだよね。魔道回路を書く基盤が必要だ」
うーん、しょぼーんだよ。単純なことを考えてなかった。基盤がないや。でも基盤って魔道具の仕組みから考えたら適当な板とかでも良さそうな気もするんだよな。基盤の代わりになるものが何かないかな……。
「私も基盤になるものは持っていませんが、壊れた魔道具なら屋敷にたくさんありますよ。解体して再利用すればいいかもしれませんな。壊れた魔道具はもう使わないんで遊ぶには最適かもしれません」
「えっ、壊れた魔道具があるの?」
基盤はないけど、壊れた魔道具がたくさんある?魔道具が壊れていて稼働しなくても実物をじっくり見れるならば、基盤より断然そっちの方がいいじゃん!
そうして俺とオルドは会話をしながら壊れた魔道具がある小部屋の方に向かった。ドアを開けるとそこにはたくさんの魔道具があった。これが壊れた魔道具かな?
「ここに壊れた魔道具はたくさんありますわ。たくさんあるのでじっくり見てくださいな。あと、レオン坊ちゃん、低級魔道インクってご存じですかい?」
「うん、こういうクズ魔石で作ったインクだよね」
「その通りです。本当に坊ちゃんは物知りですな。びっくりですわ。その低級魔道インクで魔道回路を書くと、劣化が早いんですよ。高級魔道インクは品質はいいんですがそれで作った魔道具は値段も高いのでうちでは買えないんです」
オルドはため息をついて続けた。
「低級インクで回路を書いた照明とかは早いものでは1か月も持たない。長持ちするものは数年使えるんですけどね。個体差が激しいんですわ。それも修理でもできればいいんですが何が問題で点かないのか分からない。なので普通は使い捨てで買い替えるしかない。そして新しい魔道具は高くて最近は買えなくて……だから屋敷も最近はちょっと暗いんですわ」
「なるほど、そうなんだ。でも見た目は壊れてないよね?」
「そこが不思議でして……見ても分からんのですよ」
俺は照明の魔道具を一つ手に取ってじっと観察した。
……うん、よくよく見れば簡単だ。これはすぐ分かる。壊れている原因なんて一発で分かるよ!
いずれもコンデンサ部分――つまり、魔力を一時的に蓄え供給する部分のインクが切れている。一番壊れやすそうなところだ。
「ここかな」
他にも、インクの薄れた箇所が数か所。まるで断線みたいな状態だ。
「オルド、魔道インク作ってよ! これ修理する!」
「修理……ですかい? 壊れてるものは修理は無理ですよ。古いインクを剥がすのも手間ですし基盤も傷むので、普通は誰もやりませんよ」
「大丈夫! いいからやってみるよ!」
俺の勢いに押されたオルドは苦笑しながら俺の持ってきた魔石を取り出した。
「わかりましたよ。魔石を溶かしてインクにしてみましょう。昔使ってた魔道ペンも貸してあげますわ」
「ありがとう、オルド!」
魔道ペンまで貸してくれるとかオルドは神か?俺は感謝しつつ机の上に照明魔道具を並べ、怪しい部分を一つずつ補修していった。
「じゃあ、レオン坊ちゃん、自分は厨房に戻るんで飽きたら呼びにきてください」
「わかった。ありがとう!」
オルドは本当に親切だな。いい人だ。それに以前、魔道具作りの仕事をしていたならばありがたい。分からないことがあれば何でも聞けるではないか。
その後は俺は魔道具の修理を開始した。
「やっぱり原理が分かってると故障個所の判断は早いな」
電流……いや、魔力の流れをイメージしながら描いていく。
時々チカチカ光るものもあった、これはやばいかも。
「おっと、これ魔石を外さないとショートするかもな」
そんな独り言を言いながら全ての魔道具から魔石を外してから再度修理を開始、五つほど修理を終えた。
魔石をセットし直してスイッチを入れる。
――パッ。
「おおっ!」
光った。まぶしいほどの光が部屋を照らす。
魔石を交換したら、5つのうち2つの照明が点いた。残り3つは何故点かない?とりあえず魔石を点くものと点かないもので交換すると…3つは点く。あと2つは点かない、その理由はなんだ?
魔道回路の線を触ってみると魔力が流れているところは何となく分かる。うっすらと振動している。そこで切れているところは……ここか!目で見ても判断が付かないけどよくよく見たら切れているような気もする。ここに魔道インクを追加してやると…
再び魔石をセットしたら点いた。ふふふほぼ完ぺきだ。もう1つも試しにやってみたらそれも付いた。5個の照明の修理が完了だ。
どうやら壊れていた原因は回路の断線だけらしい。
「オルド、なおったよ!」
俺は喜んでオルドのところに向かった。でも俺がやったことはかなり常識外れだたらしい。俺はオルドの返事に困惑することになった。




