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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-2章「王女との出会いとやらかし」

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第48話「王女の部屋へ忍び込む?」

#第48話「王女の部屋へ忍び込む?」


 王都の応接間で、国王たちが王女ソフィアの命に関わる深刻な話をしていた夜――まさにその頃。

 一人の少年が、別の意味で命知らずな“作戦”を立てていた。

 そう、主人公のレオン・ヴァルドリックである。いつもは天才的な能力を発揮するのに肝心なところで頭がちょっと足りないあいつのことだ。


***

(レオン視点に変わります)


 俺は1つの話を思い出していた。

 確か姉さんは腕輪型魔力充填魔道具、指輪型魔力充填魔道具を使って体から定期的に魔力を抜いたところ……体調がずいぶん良くなったらしい。

 確かミーナが言っていたっけ?


 姉さんはBランクの魔力量だ。魔力過多で体調が悪くなることもあったと聞く。それが改善されたならば……明らかにそれ以上のAランクもしくはSランクの魔力量の王女様にも効果があるのでは?


 俺はそこで考えたのだ。

「王女様が短命で亡くなるのはあまりにも気の毒すぎる。これは絶対に試すべきだ!」


 ……が、冷静に考えると、これが問題も多いんだ。突破しなければいけない難点がいくつかある。

 まず、勝手にソフィア様に会うなんて常識的に考えてアウト、普通に無理なんだよね。

 それに、仮にもし俺が作った魔道具をソフィア様に渡せたとして、それがバレたら今まで隠してきた“秘密”が露見する可能性もある。俺が魔道具の修理をしたり開発しているのはオルドとの2人だけの秘密だからね。

 父さんや母さんはもとより、そして王族の人達にもバレるのはまずいかもしれない。やっぱり無理だろうか??


 けれど――。

 俺はなんとかして彼女を救いたい。せっかくこの世に生まれてきたのに若くして亡くなるなんて気の毒すぎる。

 俺は前世で自分が理不尽に亡くなってしまったのを思い出した。俺の場合は仕事をセーブしなかった自分も悪いが彼女には何の罪もない、本当に気の毒だ。何とかしてあげたい。


 そして、いつ彼女の体に問題が起きるかも分からない。試すなら絶対に早いほうがいいだろう。だから……俺は決断した。

「そうだ! 変装をしてこっそり渡して試してもらったら、誰にもバレない。それで問題ないはず……だよね?」


 俺はちょっと自信は無かったがそう自分に言い聞かせ、変装をした。

 まずは服装を全く変えて、次に帽子を深めに被った。これであとは魔力視認魔道具のゴーグルをすれば完全に誰か分からないであろう。

 鏡を見たが全くの別人。よしっ、これならば誰だか分からないはずだ。


 俺は満足げにうなずいた。

「完璧だ。誰も俺とは気づかないはず。あとはこっそり魔道具を渡して使ってもらえばいい」


(注:実際には誰が見ても子供レベルの変装)


 そして俺はひっそりと部屋を出て魔力視認魔道具のゴーグルを装着したまま王城内を歩いた。すると強烈に輝く魔力を発見――おそらくはあれがソフィア様の魔力と思われる。

 すぐに分かった。姉さんの時もそうだったが魔力が高いと部屋を超えて見えてしまう。倍率調整をできるようにしておいて本当に良かった。

 きっとここで間違いないだろう。


 俺は急に緊張してきたので、その部屋の前に立って軽く深呼吸。

 魔力視認魔道具の倍率を下げた後に軽くノックをした。


 すると 「はい、どうぞ」という小さな声が聞こえた。


 やはりここで間違いなかった。ソフィア様の部屋のようだ。他に誰もいなければいいが……。


 魔力視認魔道具のゴーグルを外しドアを開けると、そこにはベッドに腰掛けた金髪のかわいい少女――王女ソフィア様がいた。

 「あれっ? あなたは……あの時の?」


 あの時の?ということは……やばい、まさかすぐにバレた!?

 俺はとっさに口を開いた。偽名を使う必要があると感じて咄嗟に言葉を繋いだのだ。

「お、お初にお目にかかります。ソフィア様、辺境の天才魔道具師ライゼンの弟子、“レイゼン”と申します!」


(無理があるとは思うが……なんとか、ばれないでくれ!ばれたらその時点で終了だ)


 ソフィア様は一瞬、目を細め――すぐにくすっと笑った。

「初めまして、レイゼン様、ようこそお越しくださいました。今日は何の御用ですか?」


 おや、やったぞ!変装と偽名が成功したようだ。助かったよ。

 うんうん、やっぱりばれないと思っていたよ。さすが俺だね。

 でもここで喜んでいるわけにはいかない。更に魔力充填装置を渡し、装着してもらうという肝心な仕事がある。


「実は魔力が、ソフィア様の魔力が多くて体調が悪い時があると伺いました。知り合いの……えー、魔力の多い姉さ……いえ、私の知り合いの方にも似た症状がありまして、その方が使用して体調が改善した魔道具を、今回お持ちしました。それを使ってもらえればと思います」


「そんな魔道具があるのですか?」


「はい」


 俺はバッグから腕輪型の魔力充填魔道具を取り出し、そっと差し出した。

「これがその魔力充填魔道具になります。一定の割合で体内から魔力を吸い上げることができます。腕に付けてみますね」


 ソフィア様はちょっとびっくりしたようだけど、おずおずと手を差し出してくれた。そして魔力充填魔道具の腕輪を装着させてくれた。信じてくれてありがたい。

 次の瞬間魔道具が作動し始めたように見える。おそらくこれで成功だ。


「……あ、体の中から何かが流れていく感じがします。これが魔力……でしょうか?」とソフィア様。


「はい。魔力が少しづつ外に逃げている状況と思われます」


「へんな感じですね。初めての感覚です。おもしろいですね」


 良かった。どうやら第一ミッションをクリアしたようだ。とは言え絶対的なことは言えない。もちろん体調が良くなるとは限らないのだ。

 あとは効果が出てくれたらいいのだが……俺は祈るような気持ちでソフィア様を見つめた。

 ソフィア様もじっと俺の方を見てくれているような気がするが……それは気のせいだよね?


 そうして、しばしの沈黙が続いた。しばらく見つめ合いながら何も話ができない俺は困ってしまった。何か話した方がいいのだろうか?こういった時に何も言えないのが俺のような非リアなんだよね。

 どうしたものか?と思いながらソフィア様の様子を見守った。

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