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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-2章「王女との出会いとやらかし」

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第44話「王女様との初対面」

#第44話「王女様との初対面」


 王都の部屋に案内されたあと、父さんから改めて今回の件について説明があった。どうやら今回の魔力測定は顔合わせの意味があるとのこと。

 しかも俺は王女様の婚約者候補のうちの1人らしい。げげげ、とんでもない話だ。

 ただ、困ったことだが救いもある。それは公爵家の子息2人が圧倒的にリードしているらしいということ。公爵家は魔道具生産でかなり儲かっているようで勢力もうちとは比べ物にならないらしい。


 ちょっとびっくりしたけど、ほっとしたよ。王女様の婚約者なんかになったらスローライフが遠のくからね。

 最初は王女様の婚約者候補ということでビビったが良かった。辺境伯ばんざいである、俺はまったりゆったり辺境の地で過ごさせてもらおう。

 ということで安心した俺は、その後に魔道具のチェックをしていた。魔力視認魔道具で見た姉さんの魔力は凄くて綺麗だ。さすが1年に1人と言われるBランク。


 そのままゴーグルをかけたままの俺は、誰かが部屋に入ってきたことにまったく気づかなかった。

 ふと視界の隅に、姉さんをも軽く凌ぐほどの強烈な魔力が映った。

 ――す、すごい……!なにこの輝き!これは確実に姉さん以上だ。


 俺は思わずゴーグルを外した。そこにはかわいい女の子がいる。そして俺の口から言葉が漏れた。

「(魔力が)凄い……綺麗だ。姉さん以上だ」


「え? 私よりも?」と姉さんが驚いた顔をして言う。


「うん、姉さんより(魔力が)凄い、綺麗だ」


 その瞬間、目の前の女の子が真っ赤になって固まった。え、どうしたの、何かあった?


 そして、周りの大人たちが急に笑い出した。そして1人の男性が話を始めた。

「ギルベルト、お前の息子は面白いな。どういう教育しているんだ、初対面の女の子をいきなり口説くとは!」


「……いや、どういうことだ、レオン。俺にも分からん」


 うん?この人たちは誰だ?父さんとかなり親しいっぽいんだけど?誰だろうと思って父さんを見上げた。


「レオン、国王様だ。挨拶しなさい」


 父さんによると……その男性はなんと、王様だった。ミーナに教わった、エドワード・フォン・アストラル国王だ。


 やばい、失礼があってはいけない!

 俺は慌てて姿勢を正し「初めまして、レオンと言います!」と挨拶した。


「はははっ、元気がいいな! しかし驚いたぞ。初対面の女の子に『綺麗だ』なんて言う子はなかなかいないぞ。将来有望だな」


 うん?……待ってよ、それ。俺がそんなことを本当に言ったの?何かおかしくないか?そんなことを言った記憶がない。

 そこで記憶を掘り返してみたら……確かに言ってたかも。

 「(魔力が)凄い、綺麗だ」って。

 ……うわあ、やらかした。


 視線を向けると、王女――ソフィア様はまだ顔を真っ赤にしている。これはまずい、非常にまずい、完全に“変なやつ”認定されてる気がする。

 目立たないようにしようと決めた直後にこの大失態。どうしてこうなるんだ。俺のばか、ばか!


「ソフィアさま、初対面で失礼なことを申し訳ありません」と平謝りしていたら、王様の隣にいる女性、おそらくは王妃様――カタリーナ王妃が語り掛けてきた。


「いいのよ、『凄く綺麗』とか初対面で言ってくれるなんてロマンチックよ。女の子にとっては嬉しいことよ」


 うわっ、この人も駄目だ。沈静化させるどころか火に油を注いできた。再びソフィア様が真っ赤になっているではないか!


 そして王女様が小さな声で自己紹介した。

「初めまして、ソフィアといいます……」

 

 ソフィア様はまだ少し頬が赤い。申し訳なさすぎて穴があったら入りたい。けれど、よく見るとその顔色はどこか悪い気もした。

 もしかして体調が……?


 そこで俺はミーナから聞いた魔力量の話を思い出した。

「魔力が多すぎる人は、若いうちは体調を崩しやすいのです、Sランク、Aランクの人は死に至る人も多いです」という話だ。特にSランクは9割方が若くして体調不良で亡くなるらしい。


 ソフィアさまの魔力は確実に姉さん以上だ。Bランクとされる姉さん以上ということはおそらくはAランクとか、下手すればSランクだろう。

 ということはソフィアさまも体調を崩しやすく死にいたるかもしれない?


「ソフィア様、魔力が多いようですが、体調は大丈夫ですか?」と思わず口にしてしまった。


 すると国王のエドワード様が目を細めた。

「おや? なぜソフィアの魔力量が多いことを知っている? ギルベルト、お前に言ったかな?」


 父さんも驚いた顔で俺を見る。

「私も初耳だが……どういうことだ?」


 しまった。また変なことを言っちゃった。魔力視認魔道具で見たなんて言ってバレたらまずいだろう。これはまだうちの家族までの秘密。世間に広まるとまずい。

 相手が王様とは言え、伝えるのは駄目かもしれない。

 何で俺はこうやって何度もやらかすんだ……馬鹿すぎる。


 「い、いえ……なんとなくです!」とごまかすしかなかった。


 国王は少し驚いた顔をしたあと、笑ってうなずいた。

「ふむ、レオンは面白いだけでなく、かしこい子だな。観察力にも優れているようだ。確かにソフィアの体調は思わしくない。今回はこれで失礼しよう」


 そう言って、王と王妃、そしてソフィア王女は去っていった。

 その場に残った俺は、しばらく呆然としていた。

 ――人生初の王族との対面、そして最初からいきなり、これまでの人生最大とも言えるやらかしを演じてしまった。


 父さんと母さんは苦笑している。そしてイリス姉さんは「レオン、私より綺麗ってどういうことよ!」とか文句を言っている。いかんいかん、機嫌を取らないと。


 王都に着いて初日から何度もやらかした。前途多難である。

 俺のスローライフ計画は大丈夫だろうか?早くも心配になってきた。

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