第38話「人の魔力の分類」
#第38話「人の魔力の分類」
俺はもうすぐ王都に行くということで、ミーナと一緒に王都に関する勉強をしていた。2週間後に行くのでしばらくはその勉強の日々になる予定。
そして王家の名前、王様の名前、王妃様の名前、その他公爵家などについても勉強した。
たくさんあったら無理と思っていたけど今のところは何とか覚えることができそうだ。明日から更に詰め込まれるようだと厳しくなりそうだけどね。
そんなことを考えていたらミーナはもう1つの本を取り出した。
「とりあえず王国の話は、今日はここまでです。次は魔力測定についてのお話になります。こちらの本を使って説明しますね」
おお、王国関連だけでなく魔力測定についての勉強もあるのか!これはありがたい。
でも、それはそうか基本的には魔力測定のために行くんだからね。その勉強もした方がいいのは間違いない。
ミーナはページを開いたまま、少し真剣な声になった。
「それでは、魔力の分類についてお話します」
「人の魔力量にはSからFまでの階級があります。それを王都にある最新の魔力測定魔道具で測定します」
「そしてS級は超級魔力、A級は特級魔力で才能の塊ですね。S級は十年に1人の超天才、A級は数年に1人の天才と言われています」
S級:魔力超級(十年に一人の超天才。ただし九割は若くして亡くなる)
A級:魔力特級(数年に一人の天才。ただし半数近くは若くして亡くなる)
B級:魔力極大(一年に一人出るかどうかの逸材。幼少期は病弱が多い)
C級:魔力大(一年に数人出るとされる秀才クラス)
D級:魔力中(貴族上位~標準)
E級:魔力小(貴族下位~平民標準)
F級:魔力極小(平民下位、ぎりぎり魔法使える)
「ただ、S級とA級、この2つのクラスは魔力過多で、若くして亡くなる方も多いとか。S級では9割の方、A級では半分近くの方が10歳ぐらいまでに亡くなるそうです。天才クラスではあるのですが危険でもありますね」
「……亡くなる? どういうことなの」
「はい。十歳ぐらいまで生きれば安定すると言われていますが、それまでは危険な状況とのことです。一説によると魔力が安定せず体内で暴れ回るらしいです。魔法を使い魔力を放出することで、何とか対応はしようとするのですが根本的な解決には至っていないそうで。なので理想はB級クラスとも言う説もありますね」
なるほど魔力が多いのも大変だ。いくら天才とか言われても死んじゃったら何にもならない。
「ちなみに、B級の子供もやはり魔力過多による急な体調不良で苦しむことは多いですね。ただし死に至ることは珍しいです」
ならば俺はできれば普通がいいな。D級ぐらいが理想。
ただ俺が作った魔力視認魔道具でのイリス姉さんとの比較を考えるとE級かもしれない。もし、そうだったらちょっとがっくりだ。
そして魔力が多いというのは良いことばかりではなく、最悪は命を削るほどのものなのか……。
そう考えると、なんだか怖くなった。やっぱり、普通がいいんだよ。目立っても何もいいことない。
こき使われる可能性もある。俺の理想のスローライフの邪魔にしかならない。よしそう考えよう。魔力が少なくたって気にしないでおこう。
そして俺は気になっていることを聞いた。
「イリス姉さんはどこに該当するの?」
「イリスお嬢様はB級ですね。同世代では1人しかいないとのことです。まだ魔法を使ってませんが、すでに魔法の天才と言われています」
「えっ、確かさっきはB級クラスだと体調不良で苦しむことも多いって言っていたよね。姉さんは大丈夫なの?」
「そうですね。前はたまに寝込むことがありましたが、最近は安定していますよ。おそらくは、もう大丈夫かと。そう言えばレオン坊ちゃんがあげた腕輪をするようになってから体調がいいと言っておられましたね。良いお守りになっているみたいです」
なるほど、魔法の天才と言われる姉さんをうらやましく思ったけど苦労していたんだ。俺は何も知らなかった。ちょっと申し訳ない。
「ちなみにS級、A級については、ここ最近は該当者はいないそうです」
「公爵家の子息のお二人はすでに測定してC級だったと噂されていますね。秀才クラスと言われています。坊ちゃんも今度の貴族一斉測定で一緒に測定されることになると思いますよ」
なるほど姉さんはここ数年で見てもトップの天才クラスなんだ。そして俺と同世代の公爵家の子息2人はC級で秀才クラス。
うーん。ますます俺の魔力がどうなのか気になるところだ。俺は魔力が少ないのは間違いないだろう。それでいじめられるとかないよな?
「D級は貴族の平均的な魔力とされています。ギルベルト様やセレナ様はこの魔力とのことでした。なのでイリスお嬢様の魔力を聞いた時はびっくりしましたね」
「うん、まあ分かる。姉さんの魔力はまぶしかった」
「えっ、魔力がまぶしいってどういうことですか? 測定の時に見たのですか? その時はレオン坊ちゃんはまだ1歳のはずですよね?」
「いや、ごめん、間違えた。こっちの話」
危ない危ない。魔力視認魔道具は俺とオルド、父さん、母さん、ライゼンとの秘密だ。その辺りは注意しないとまずい。
「レオン坊ちゃんも今度、測定されることになります。楽しみですね」
「うーん。俺は魔力少ないからね。測定は興味あるけど、ちょっと気が重いかな」
「測定しないと分からないですよ。もしかしたら凄いかもしれませんよ」
「うーん、何となく少ないと思うんだ」
もしかしたら姉さんに魔力を全部持っていったのかもしれないね。でもそれは仕方がない。俺には前世の知識があるからそれでいい。
魔法はそこそこ使えればそれでいいや。下手に天才扱いされて魔物退治とか期待されても困る。俺はやっぱり部屋にこもってのスローライフ、ニート一択だ。
本を閉じると、ミーナが微笑んだ。
「これで今日の勉強はおしまいです。明日からも勉強を頑張りましょうね。あと王都へ行く準備も、少しずつ始めましょう」
「うん! 王都、楽しみだな!」
王都には知らない場所、知らない人がたくさんいる。そして知らない魔道具もたくさんあることだろう。
俺は王都に早く行きたい。




