第28話「魔力視認魔道具」
#第28話「魔力視認魔道具」
母さんからオルドが別倉庫の魔道具も見せてくれるということを聞いて俺は大喜び、オルドのところに向かい倉庫に連れて行ってもらった。
そこにはいろいろな魔道具があった。照明の魔道具、水生成器などは見たことがある。
一方で今までに見たことがない魔道具もあった。
それがこの魔力を見ることができる魔道具だ。「魔力視認魔道具」と言うらしい。でも今は使われていないっぽい。そこで俺は聞いてみた。
「かつては使っていたということは、今はこのゴーグルみたいな『魔力視認魔道具』は使われていないの?」
「はい。以前は魔力診断などに使われていましたが、今は廃れたんで倉庫で眠っているという感じですな。もしかしたらまだ使えるかもしれませんよ」
「へえ、魔力が見れるの! それってかなり凄いじゃん、使ってみる!」
おもしろそう!
そこで俺はそのゴーグルをかけてみた。片方は何か塗ってあるようで向こうが見えない。もう一方は普通の透明ガラス?特に問題なく向こう側が見える。なんじゃこりゃ?意味が分からない。
「オルド、これはどうなっているの、どうやって魔力を見るの? 片方だけ向こうが見えるんだけど」
「私も詳しくは知らないのですが、片方には光の魔石を溶かしたものを薄く塗っているらしいんですわ。で、その薄い膜が魔力に反応し色が付いて見えるという感じです」
「なるほど、もう片方は?」
「もう片方は何も仕掛けはありません。ゴーグルをかけて前が見えなかったら危険なので片方だけに魔力視の仕掛けを入れているという感じですわ」
なるほどなるほど。魔力を見るのはこのゴーグルの向こう側が見えない片方だけってことね。ならば最初から片眼鏡にしてもいいかもしれない。探偵風だね。俺が作ることがあればその辺りも考えよう。
でも今は何も見えないんだよな。どうしてだ?
「なるほどそういう仕組みだね。でも今見ても何も見えないのはなんでだろう?……いや、そりゃそうか。ずっと置いてあるならば魔石の魔力切れで見えなくなっているのかもしれないね。もしくは壊れているのかも」
「そうです。この魔力視認魔道具はその辺りの判別が難しいんです。魔力がある魔石や魔力が多い人を見れば一発で動いているかどうか分かるんですけどね」
なるほど、これも姉さんにお願いして稼働テストをすればいいかな? いや、今ならば魔石に魔力を封入できるから魔石でもいけるか?
この大きなゴーグルをかぶるのはちょっとしんどいけど仕方がない。小型サイズのゴーグルやさっき考えた方眼鏡式も余裕があれば作ってみよう。俺専用機にしたい。
そして疑問が湧いてきた。オルドはさっき「すでに廃れた」って言っていたよな。なんでこんなおもしろそうな魔道具が廃れたんだ?そこで俺はオルドに聞いてみた。
「そう言えばさ、でもなんでこんなおもしろそうな魔道具が廃れたの?」
「ああ、ぼっちゃんはまだ魔力を測定する装置を見たことがないのですね。今は専用の魔力診断魔道具があってそちらが主流なんですわ。それは手を乗せれば人の魔力量に応じて光るんです。すなわち光の強さで魔力量が分かる仕組みなんです。なので魔力測定時に観客にも分かりやすいからいいんですわ」
「一方で、このゴーグル式は装着した者にしか見えませんので、他の人から見れない。時にはごまかす診断者も出てきましてな。なので、あまり使われなくなったんですわ」
なるほどね。だから廃れたのか。
でも、これはおもしろい……!
この世の中において一般には受けず廃れたかもしれないけど個人的には断然ゴーグル派だ。だって触れなくても遠くからでも相手の魔力の大きさが分かるんだよね。
場合によっては落ちている魔石を探すなんてこともできるかもしれない。もちろん魔石が落ちているはずなんてないだろうけど何があるか分からないしね。それに他の用途にも使える可能性があるかもしれない。
ただ、大きめの魔道回路もあるからゴーグルをかけたまま移動することは無理か……
でも待てよ!俺ならば回路を小さくすることもできる。この前は指輪型の魔道具の魔道回路をできるだけ小さく縮小して書いたけどそれでも普通に稼働した。
ならばこのゴーグルの魔道具も回路部分を小さくすればゴーグルをしたまま外出なんてこともできるはずだ。
魔石を薄く塗るゴーグルの方を作るのは難しいかもしれないけど、回路側の構造は比較的単純。この程度の回路ならむしろ、俺が作った指輪型魔道具の回路の方が高密度。
回路を小さくしてゴーグルを普段使いすることもできそうな気がしてきたぞ。
「これは、試してみる価値ありそうだな……」
俺は思わず小さく笑った。
他の魔道具もいくつか見たが、それらは今までに見た魔道具に近いものだった。照明、水生成器、コンロなどなど。どれも似たような仕組みのものばかり。まあ余裕がある時にもっと見て回ればいいだろう。
とりあえずは、このゴーグルが興味深い感じだな。
そして――
「武器の魔道具もあるんだよね」と聞くと、オルドはピタリと動きを止めた。
「ええ……ありますが、そちらは立ち入り禁止です。坊ちゃんにはまだ危険すぎます」
「うーん……がっくりだな」
とはいえ、ちょっと見るくらいならいいのでは?
そう思って、俺は密かに決意した。
「次にオルドと一緒の時……少しだけ見せてもらおう」
その小さな好奇心がのちに大きな波紋を生むことを――この時の俺は、まだ知らなかった。




