第27話「別倉庫に眠る魔道具」
#第27話「別倉庫に眠る魔道具」
ギルベルトは二歳の息子レオンが次々と魔道具の常識を覆していく様子に、もはや驚きを通り越して呆然としていた。
前回は魔道具修理、そして今回は魔力を再び魔石へ封入する魔道具――もしそれが本当に機能するなら、かつて失われた魔道具武器の復活すら夢ではない。
武器型の魔道具は、かつて戦争や魔物討伐の主力として使われていたが魔力消費が激しいことで維持費が高すぎた。また移動が多いこともあって故障も多かった。
そのため金食い虫と呼ばれ、いつしか廃れてしまった歴史がある。魔法系の攻撃と言えば今や魔法使いが主流。魔法使いは一般的に接近戦は弱いという弱点はあるが、接近戦で強い人間が守ればいいと考えられている。
しかし、もし仮にレオンの作った魔力充填装置を応用できるなら、その欠点も克服できるかもしれない――ギルベルトはそう考え、倉庫の魔道具武器などをレオンに見せることを提案した。
戦争は今はないが魔物の討伐はずっと続いている。その廃れた魔道具武器が使い物になり、魔物討伐が楽になるならば価値は非常に高くなる。
だが、ヘレンとオルドはレオンに魔道具武器を見せることに強く反対した。
「レオン坊ちゃんに武器を見せるのはさすがに早い、危険すぎます」と。
「確かにそうだな。今までの魔道具とは話が違うか……」
結局、武器を見せないことを条件に倉庫の魔道具を見せることにした。もちろんギルベルトもヘレンとオルドの意見はもっともだと思ったからだ。
***
(レオン視点)
「オルドが別倉庫の魔道具も見せてくれるって言っていたわよ。あそこにはたくさんの魔道具があるから楽しんでくるといいわ」
「本当! まだいろいろな魔道具があるの!」
その話を母さんから聞いた時、俺は思わずガッツポーズをしていた。
最近は同じ魔道具の修理ばかりで少し飽きていたところだ。いままで修理した魔道具は照明が一番多い。その次に水生成器かな?
今でも修理はおもしろいことはおもしろいけど、同じことばかりしているとさすがに飽きる。そこで俺は修理がちょっと嫌になった時には魔力充填魔道具のバージョン違いを作った。
前の魔力充填魔道具を姉さんが装着した時には10日と30日ぐらいでほぼ満充填となったんだよね。そこで更に3日ぐらいで満充填しそうなタイプと60日ぐらいで満充填しそうなタイプを作ったんだ。これで4バージョンになる。
バージョン違いを作るのは簡単だ。平滑安定回路の部分を変更して、魔石に魔力を流す量を調節するだけだから特に問題はない。
まだ稼働テストはしていないけど、すでに2パターンを作ってうまくいっているのでおそらく大丈夫だろう。計算間違いや想定外がなければ3日充填バージョン、60日充填バージョンも完成ということになる。
ただし3日バージョンの方は少し心配だ。早くに魔力が充填できるということはそれだけ寿命が短くなる可能性はあるからね。前世に例えれば、急速充電した電池は寿命が短かった。そういったところもいずれテストしたい。
とは言え現時点では追加バージョンを何個も作ってテストしてもあまり意味はない。現状の2個でも余裕なんだ。
だからそろそろ新しいことをしたい、新しい魔道具の開発でもしようかと思っていたところだったんだよね。だから新しい魔道具が見れるというのは素直に嬉しい話だ。
そこで俺は早速オルドの元に向かった。
「オルド、別倉庫の魔道具見れるって本当? 母さんに聞いたんだ!」
「はい。本当ですよ。もう少し待っていてくださいね。今は料理の準備中なんであと少し待っていてくれたら行けますよ」
「分かった、オルド、ありがとう!」
そうして俺はオルドの案内で倉庫に向かった。そこにあるのは初めて見る倉庫だ。結構大きい。そして中はかなり広かった。
倉庫の扉を開けると、そこにはいろいろな魔道具があった。これまでに何度も見た照明の魔道具や水生成器、コンロなどがある。
一方で見たことがない魔道具もいくつかある。そして武器のようなものもある。武器の魔道具はちょっと怖いな。
「こっちから向こうは武器関係の魔道具になりますが、坊ちゃん。これらは触らないようにお願いいたします」
オルドの声ではっとした。やはりこれは武器らしい。そりゃそうか。魔道具でいろいろなことができるから武器の魔道具があっても何ら不思議ではない。
ちょっと怖い……とは言えその原理には興味あるんだよな。使いたいとはそれほど思わないけど、なぜ動くのか?その仕組み自体には興味あるんだ。でも真っ先に止められてしまった。
「……危険だから、仕方ないか」
俺は少しだけ残念に思いながらも、見ても良い方の魔道具の方に目を向けた。
すると、そこに妙に目を引く魔道具があった。
片側に透明なレンズ――まるでゴーグルのような形だ。初めて見るタイプ。
「オルド、これ何?」
「それは“魔力視認魔道具”ですな。かつて魔力を“見る”ために使われていた道具です」
「魔力を見る? そんなことできるの?」
俺はその魔道具に釘付けになった。魔力が見えるってどんな感じなのだろう?これは是非とも使ってみたい、魔力を見てみたい!
そこで俺はいろいろとオルドに質問した。




