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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
1-3章「新しい魔道具開発」

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第22話「姉さん、実験モニターはじめました」

#第22話「姉さん、実験モニターはじめました」


「イリスねーさーん!」

 俺は屋敷の中を探し回っていた。

 庭にもいない、食堂にもいない……と思ったら、今度は部屋の中で人形遊びをしている姉さんを発見!


「姉さん、ちょっといい?」


「また実験なの?」


 見抜かれてる。さすが姉さんだ。

「うん、前に試した腕輪を少し改良したんだ。もう一度試してみてほしいんだけどいいかな?」


「もちろん、いいよ!」と即答してくれた。ほんとに協力的で助かる。俺にはもったいない、いい姉さんだ。


 腕輪を手渡し、姉さんに装着してもらった。

「どう? 何か感じる?」


「うーん……なんか少しずつ流れていく感じがするよ」


 おお、成功だ。

 今回は魔石が壊れることもなく熱も持っていない。一気に魔力が流れず、じわじわと充填されているようだ。

 平滑安定回路がちゃんと働いている証拠だろうと思う。完璧だ。


 そして俺はもう1つ作ったものを姉さんに装着してもらうことにした。

「こっちもお願いしたいんだけどいい?」


「いいよー!」


 こちらは平滑安定回路を変えたものだ。およそ3倍ぐらい魔力が流れるはずだ。


「何となく違う!」


「さすが姉さん、分かった?」


「うん、こっちの方が早く流れていく感じがする。するするしているー!」


 うん。間違いない。姉さんの表現は独特だが言いたいことは分かるし想定通りだ。

 それにしても姉さんは凄いな。ちょっとした違いもすぐに分かるみたいだ。魔力が大きいだけでなく感性も高いのかもしれない。魔力感知能力とかもあるかもね。


 こちらの魔力充填魔道具でも魔石は壊れず熱を持つことは無かった。こちらもばっちりだ。


 あと問題は——

「どのくらいで満タンになるか、だよな?」


 一日? 三日? それとも十日?

 ずっと腕輪をつけてもらうわけにもいかないし……どうしよう。


 そんな俺の考えをよそに、姉さんが言った。

「これ、ずっと使っててもいいの?」


 あっ、そうか!

 その手があった。ずっと着けていてもらえば、自然と充電時間も分かるかもしれない。


「うん、それでお願いしていいかな? 魔石の色がこれくらいの青になったら外して教えてほしいんだけどいいかな? 新しい魔石に変えるし」

 俺は以前に使った魔力のある魔石を見せながら説明した。


「えっ? この石の色が変わるの?」


「多分ね。これも実験なんだ」


 姉さんはニコッと笑って「分かった! 凄いおもしろそう、ずっと付けてみるね!」と答えてくれた。

 相変わらずノリが良い。ありがたい。


「でもね、腕輪を外すときは外していいから。その時間もだいたいでいいから覚えておいて」


「うん、わかった! それで両方付けてもいいの?」


「えっ、いいの? 両方付けてみる?」


「うん! 付けてみる!」


 何とも凄い。姉さんは2つの腕輪をしている。両方共に姉さんから魔力を吸っているはずだが何も問題無さそう。


「姉さん、大丈夫?」


「うん、無理かも。ちょっと重いからやっぱり1つにする」


「そうだよね。さすがに無理だよね」


 うん……まぁ、それは仕方ないよね。1つでもそれなりに大きい。これを2つもするのはさすがに無理だよ。


「なら、これずっと付けておくね。色が変わるのが楽しみ!」


「うん、姉さんお願い! ありがとう。凄く助かるよ」


 姉さんも実験を楽しんでくれているようで何よりだ。あとはどれぐらいの時間で魔力が満タンになるのかのチェックすればいい。

 まあこれはだいたいでいいよね。さすがにずっと装着してもらうのも気が引ける。外している時のだいたいの時間を確認してくれるらしいからおおよその時間は分かる。


 もちろん、正確な時間は期待できそうにないけどそれは仕方がない。

 最初はおよそでいいだろう。何度かやっているうちに正確な時間も分かってくるだろうからね。

 そもそも実験に付き合ってくれるだけでもありがたいことなんだ。すでにいろいろなことが分かったのも姉さんのおかげだし。


 ともかく、これで“魔力を魔石に再充填できる”ことは実証できそうだ。ひとまずは大成功と言えるだろう。

 あとは実験結果を見ての改良になる。


 すでに2パターンの平滑安定回路を試した。1つ目のものを普通のゆっくり充填モードと考えたら2つ目のものは急速封入モードということになる。


 しかしゆっくりと急速とは言っても2段階だけのものだ。更に急速に魔力を封入することも可能かもしれない。

 逆にもっとゆっくり封入することも可能かも。その辺りはいろいろ実験しないと分からない。


 また充填スピードによる魔石の劣化や寿命も調べておきたいところなんだよな。でもそれをしようと思ったらとんでもない時間がかかる。組み合わせはいろいろだし再現性も必要。

 しっかりやろうと思ったら数年、下手すれば数十年単位の話にもなりそうだ。


「うーん……魔力充填魔道具だけでもやることが山積みだな」

 俺はため息をつきつつも、胸の奥がわくわくしていた。

 まあでも急ぐ必要もない。まずは魔力を充填できることが大切。その他のことはそれほど急ぎでもないから、後回しでいい話だ。

 それに基礎的なところは分からなくても実用では何とかなるものだ。

 とりあえず魔石に魔力を充填できることが分かっただけでも素晴らしいスタートだと言える。


 あとは必要に応じてゆっくりと実験を続けていけばいいだろう。

——まだまだ、魔道具の研究は始まったばかりだ。焦る必要はない。

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