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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
1-3章「新しい魔道具開発」

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第21話「姉さんの魔力で爆発寸前?」

#第21話「姉さんの魔力で爆発寸前?」


 「イリスねーさん! どこー!」

 俺は屋敷の中を走り回っていた。

 ようやく見つけたとき、姉さんはミーナと一緒に庭で遊んでいた。相変わらず元気そうだ。機嫌もよさそうで何より。今のうちに実験の手伝いをお願いしよう。


「ねえ、姉さん。この腕輪、ちょっと試してみてくれない?」


 俺がそう言うと、姉さんはにこっと笑って、

「いいよ。これレオンからのプレゼント? ブレスレット?」と首をかしげた。


 やばい。プレゼントとか言われると断りにくい。

「ま、まだ試作段階、試しに作っている途中だから駄目かな。完成したらあげるね!」


「うん、分かった!」


 とっさにごまかしたが……。

(ほんとは完成してもあげられないけどね)


 秘密にしてる話だし、この件はオルドと相談しないとな。

 父さんや母さんに相談できたらいいけど、魔道具修理の件は秘密なんだよね。魔力充電装置なんて話は更に言えるはずがない。オルドもそんなことはできないって言っていたからね。


「じゃあ、つけるね?」

 俺がイリス姉さんに腕輪をはめた瞬間、それは起こった――


 ピキッ。

 乾いた音とともに、魔石にヒビが入ったのだ。

「うわっ! ちょ、ちょっと待って!」


 慌てて腕輪から魔石を取り出した……熱い。

「ああなるほど……これは過充電と同じ現象だ。魔力を一気に入れすぎたか?」


 完全に俺の想定ミスだ。

 イリス姉さんは魔法の天才と呼ばれるほど魔力が強い。それをまったく考慮していなかった。

 いくら魔法の天才と言っても俺よりも少し魔力が大きい程度にしか考えていなかったよ。

 これだけ差があるとなると、おそらく俺の数十倍もしくは数百倍の単位で姉さんの方が魔力量が多いのだと思われる。それが一気に魔石に流れて魔石が壊れてしまったのだろう。

 さすが天才と言われるだけのあるな。


「ご、ごめん、レオン……私が壊したの?」

 姉さんが泣きそうな顔で見上げてくる。


 ちがう、ちがう! そうじゃない!

「姉さんは何も悪くないよ! 実はこれはもともと少し壊れてたんだ。それを直したつもりだったんだけど、きちんと直せてなかった俺が悪い。だから俺がちゃんと直しておくからまたお願いしてもいい?」


 すると、姉さんはほっとしたように笑った。

「うん、分かった。レオンが直すの待っているね」


 よかった。機嫌を損ねたら次から協力してもらえないところだった。やばいところだったよ。でも騙しているようで申し訳ないような気もするな。


「そうだ、姉さん。腕輪つけたとき、何か感じなかった?」


「うーん……体から何か流れていくような気がしたかも?」


 なるほど、やっぱり俺の時と同じだ。

 人間の体から魔力を魔石に流し込むことは可能なんだ。俺だけでなく姉さんでも同じように充電がなされた。

 魔力の小さい俺でも魔力の大きい姉さんでも同じように魔力が流れるのは同じ。すなわち再現性が確認されたので原理は確定だと言っていいだろう。


「ありがとう、姉さん! おかげでいろいろ分かったよ!」


「どういたしまして? 何が分かったの?」


「えっとこれの直し方かな? ちょっと直してくるね!」


 そのまま俺は魔道具の作業部屋へ走って戻った。簡単に壊れるようなものを作ってしまい姉さんには申し訳ないことをした。

 これは再び実験が必要だ!

 机に魔石と魔道インク、回路基盤を再び並べた。

「よし、今度は更に完璧にするぞ」


 まず、魔力が一気に流れ込まないように平滑安定回路を入れる。

 これは大きな魔力を少しずつ通す“魔力制御ライン”になる。俺の少ない魔力量では問題なかったが、イリス姉さんのような大魔力持ちには必須の回路ということだ。

 姉さんから流れる魔力はあの5cmぐらいの魔石程度では収まらない、あっという間に許容限界を超えてしまう。

 だから一気に流れないように少しずつ魔力が流れるような仕組みが必要ということだね。


 さらに、魔石が満タンになったときのために過充電防止回路のようなものも組み込んだ。

 いくら魔力が少しずつ流れるとは言っても、いつかは満タンになる。そこで更に魔力を流そうとしたら同じように魔石は壊れてしまう可能性があるだろう。

 それを避けるためのものだ。


 これらの回路は共に冷蔵庫の魔力回路にもあったので、そのまま組み込めば使えるのはおそらく間違いない。

 俺はその仕組みをそのまま応用すればいいだけだ。

 理屈は前世の電気回路とほぼ同じだから、それぞれの仕組みを組み合わせること自体も簡単で問題ない。


「よし、修正版・魔力充填腕輪と指輪が完成!」

 ということで、まずは俺が試したが……やはり俺の魔力では差が分からないんだよね。 

 俺は魔力がもともと小さいから、魔石に流す大きな魔力を小さくする平滑安定回路自体がそもそも不要なんだ。現状では、姉さん専用みたいなものだ。

 そしてなかなか魔力が一杯にならないから、俺の場合は過充電防止回路のようなものも同じく不要だ。

 俺の小さい魔力も小さな魔石に充填するには便利かもしれないけどちょっと残念。俺も姉さんのような強大な魔力持ちになりたかったよ。とほほ。


 となるとやはり再び姉さんに実験を頼む必要がある。

 あとは姉さんがまた協力してくれるかどうか――

 ……機嫌は大丈夫かな?あの時はまた手伝ってくれると言っていたけど大丈夫だよね?

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