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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
1-3章「新しい魔道具開発」

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第19話「魔石への魔力補充」

#第19話「魔石への魔力補充」


 俺は魔道具の修理をしながらオルドにいろいろと質問していた。まずは修理してもすぐ壊れる原因として考えられることを教えてもらった。

 魔道具の故障の原因はおそらくは低級インクを使っているからだろうとのこと。

 なるほど、おそらくそうなんだろうね。何といってもその道を歩んでいた人の経験則は大きい。確証はないらしいが、きっとそれが正解なのだろう。


 そこで俺は名案を考えた。低級インクの品質を上げる方法として同じ属性の魔石を集めて溶かすことを提案したんだ。属性別に色が違うから集めることは簡単だと思ったからだ。でも現実にはそれは難しいとのこと。

 俺の考えはやはり浅かった。魔石の種類は色でおよそ判別はできるのだけど、表面を削らないと確認そのものが難しいらしい。

 そして小さなたくさんの魔石全部を削って属性判別するのはとんでもなく大変な作業。その手間を考えたら、確かに混ぜこぜにして溶かして低級インクとして使う方がいいだろう。

 小さなたくさんの魔石を削って同じ属性だけを集めてそれを溶かしてインクを作る……基礎研究としてはありだけど実用として考えるとまだまだ難しそうだ。

 俺としては実験してみたい気持ちはあるけど、その手間を考えると気が遠くなる。将来のテーマにしようと思う。頑張れ、将来の俺!


 そして次に思いついたこともあったので再びオルドに質問した。

「オルド、魔石ってさ。魔力が切れたら、もう使えないんだよね?」


「そうですわ。魔石の魔力が尽きたら、それで終わり。なので魔道具をそのまま使おうと思ったら魔石を取り替えるしかありません。で、魔力が切れた魔石は溶かして魔道インクにするんですわ」


「あっ、なるほどね。うまくできているね。魔力が無くなったら魔石はただの石だけどそれを溶かして魔道インクとして再活用するんだ。賢いな」


「いや、その考えをすぐに理解できる、レオン坊ちゃんの方が賢いですよ。私なんぞは何年もかかってようやく理解した話ですよ」


 そんなに理解が難しい話かな?単純なことだよね。魔物から取り出した魔石は最初は魔力を多く含んでいるから動力源として使える。

 しかしその魔力が切れたらただの石のようなもの。ただし、それを溶かせば高級インクとして回路を書くのに活用できる。うまくできた仕組みだ。

 そして俺は質問の本題に入った。


「じゃあさ、オルド、魔力の切れた魔石に魔力を補充して再利用するって発想はあるの?」


「……補充? それは魔力が切れた魔石に魔力を入れるって考えですよね。古代にはそういったこともできたという文献が残っているらしいと聞いたことがありますが今は無理なんでしょうね。やっているという話は聞いたことがないですわ。とりあえず魔石は使い切りが常識、そして使い切った魔石はインクにという流れですわ」


 オルドは首をかしげていた。

 けれど、俺の中ではひとつのイメージが浮かび上がっていた。


 前世の世界には充電という概念があったんだよね。電気を蓄えなくなれば“充電”して再利用できる。

 この世界の魔石も原理的には似ている。

 魔力というエネルギーを内部に保持して魔道具に供給しているんだから仕組み自体はそっくりだ。


――ならば、「再充電」も可能ではないか?


 過去の文献にあったならできる可能性はありそうだ。

 今はやっていないということだからおそらくは簡単な話じゃないだろうけど、魔石を再利用できるなら大きくコストダウンできそうな気がする。


「魔石に魔力を再び吹き込む……それができたら、すごいことになるかも」


 ということで、俺はその夜、書斎にで魔道具関連の本を片っ端からめくった。

 でもヒントになりそうなものは何も見つからない。まあ細かい過去の文献検索ができればいいけどこの書斎では無理だから仕方がないか。おおまかに分かれているだけだからね。そもそも俺はまだ文字が読めない。図解で判断しているが実は読んだらヒントらしきものが出てくるのかもしれない。


 魔道具の博士とかが知り合いにいればそういった書籍や内容についても教えてもらえそうなものだけど今はそういった知り合いもいないから無理。

 対応する書籍をここから探すのはいかにも効率が悪いな。面倒だしやめておこう。そもそも魔石への魔力封入について書かれている書籍があるかどうかも分からない。

 定期的に本はミーナに読んでもらっているのだから対応する本があるならば……そのうち見つかるだろう。やはり将来の俺に任せる案件だね。


 今日はいろいろと魔道具の改善について考えたけど、やはりすぐには難しそうだ。そりゃそうだよね。

 俺が思いつくようなことは誰でも思いつくだろうし、簡単にできることならばすでにやっていることだろう。

 そして現状はその手の基礎研究などは無理だ。その辺りの分からないことは将来の自分に任せて放置だな。


 今は魔道具の修理を最優先に考えて、分からないことはオルドに聞く。

 そして新しい研究や開発は気長に考えていこうと思う。何か簡単にできそうなことならばすぐに始めてもいいけど手間がかかることは後回しにした方がいい。やはり目の前の課題優先だよね。

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