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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
1-2章「謎の男性との出会い」

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第17話「秘密の共有」

#第17話「秘密の共有」


「ねえ、レオン、最近の我が家は明るいね!」

 そう言って笑う姉さん――イリス姉さんの顔はまるで太陽みたいに輝いていた。その笑顔はかわいい。姉でなかったら惚れていたかもしれない。


 そして明るいのは当然だ。俺が照明の魔道具を次々と修理したからね。


 以前は高額な冷蔵庫が壊れ新しい冷蔵庫を購入したことでお金が尽きてしまったらしい。そのため、しばらく魔道具を買い控えていたとのこと。

 でも俺が壊れた照明を次々と直したおかげでもう買い替える必要はなくなった。

 照明が修理されたものに変わり屋敷全体がキラキラと明るくなって、家族の笑顔も増えた気がする。


 お手伝いさんも新しい水生成器が使えるようになった、新しいコンロが使えるようになったとか言って喜んでいる。

 俺の修理がいろいろなところに役に立っているということで嬉しい。


 そんなふうに気分よく過ごしていたある日、父さんに書斎へ呼び出された。そこには母さんだけでなく、オルドもいる。


(……え? まさかオルドが俺たちの秘密をバラしたとか?)


 胸の中に冷たいものが走った。

 俺が魔道具を修理できるって話が父さんに知れたら大変かもしれない。怒られるかもしれない。

 でも、秘密にしていた俺が悪いんだからそれは仕方がないよね。


 ならば先に正直に謝った方がいいのだろうか。でもそれも今さらだしな。素直に怒られるとするか。


 そんなことを考えていたのだけど、どうにも父さんの表情は怒っているという感じではない。となると何なのだろう?


 父さんは柔らかく微笑んで言い出した。

「レオン、ありがとうな。オルドから聞いたぞ。お前が魔道具修理士を探してきてくれたらしいな」


「え、あ、うん。そうなんだ。たまたま見つけたんだよ。優秀な人で助かったよ」

俺はできるだけ自然を装って答えた。嘘を付くなら付き通さないとね。


「そうか。オルドによると、驚くほど安い値段で修理してくれているそうだな。本当に助かっている。冷蔵庫が壊れて出費がかさんでいたから、照明などの魔道具を買い替える余裕もなかったんだ。それが修理されていて本当にありがたい」


「そ、そうなんだ……」

よかった。さすがオルドだ。ちゃんと約束を守ってくれている。

“魔道具修理士が修理した”って設定、ちゃんと生きてる。良かった、今日は怒られる話ではなくて褒めてくれる話だったようだ。


 そんな安堵も束の間、父さんの表情が少しだけ真剣になった。

「そこでな、レオン、ひとつお願いがある」


「なに?」


「その魔道具修理士の件――この話は、当分の間は秘密にしておいてほしい。私とセレナ、オルド、そしてお前。この四人だけの秘密にする」


「え? どうして?」


「レオンは知らないかもしれないが、この世の中には“魔道具修理士”なんて存在しないんだ。もし噂が広まれば、王都や商会が騒ぎ出すだろう。我が家が、面倒な注目を集めかねない」


 父さんの言葉を聞いて、ゾッとした。確かにそうだ。俺の考え、設定はかなり甘かった。


 例えば姉さんに「魔道具修理士が直してくれたんだよ」と言えば、姉さんが無邪気にその話を知り合いに広めてしまうかもしれない。

 他にもお手伝いさんの耳に入れば、そこから話が広がりすぐに町全体の噂になるだろう。とんでもない話だ。


「分かった、父さん。四人だけの秘密だね。絶対に、他の人には言わないよ。絶対に秘密にする」


「うむ。レオンは頭がいいから理解が早くて助かる」


 そして父さんは少し笑みを浮かべて言った。

「いや、正確には“五人”だな」


「え?」


「その魔道具修理士本人にも伝えておいてくれ。魔道具が修理できる、この話は誰にも漏らさないようにとな」


「……あ、うん。分かった!」

(まあ、俺のことなんだけどね。でもライゼンには一応伝えておこう。そうしないとライゼンから広まる可能性もあるな)


 こうして、俺たちは“魔道具修理士”の秘密を守ることになった。

 父さん、母さん、オルド、そして――俺。

 そして名目上の魔道具修理士、ライゼンを加えた五人だけの秘密が静かにヴァルドリック家の中で共有されたのだった。



***

(第三者視点)

 レオンが執務室から去った後。ギルベルト、セレナ、オルドが残った。


「オルド、これでいいんだよな」とギルベルト。


「はい。すいません。面倒なことをお願いしまして」とオルド。


「いいのよ。すべてレオンのためですもの」とセレナ。


 3人は密かにレオンの"魔道具修理士"の設定の甘さについて考えていた。あれほどまでに頭が回るのに、なぜか秘密にする設定だけは不思議なことに、がばがばだった。

 その辺りの詳細な理由は不明だが二歳という年齢を考えたら設定ががばがばなのが当然だ。というより秘密にしようと考え付くだけでも凄い。


 そして秘密という設定を守らないと、もしかしたらレオンは拗ねて修理してくれなくなるかもしれない。それは大変なことだ。現時点ではそれだけは避けたい。

 なのでとりあえずギルベルトとセレナはレオンが魔道具の修理をできることを知らないふりを続けた。

 そして当面はライゼンを含めた五人で秘密は共有され守られることだろう。もちろんどこからか漏れる可能性はあるが漏れたら漏れたでさすがにそれは仕方がない。それはその時に考えるしかないだろう。

 今はとりあえずレオンのご機嫌を損ねないことを優先した形だ。

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