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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-3章「小型武器の開発」

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第165話「風魔法魔石の可能性」

#第165話「風魔法魔石の可能性」


 風魔石を用いた魔道具武器をいくつか試作した結果、銃身の一番細い加工品が底をついてしまった。

 仕方がないので、鍛冶師のドランさんに追加発注をお願いすることにした。少なくとも風の魔石を使った魔道具武器がうまくいきそうなので今度は多めに注文。


「任せておけ。いつでも追加注文してくれて構わないからな!」


 二つ返事だった。本当にいい人だ。ありがたいね。だが、ここで問題がある。

 次は水魔石を使った武器を開発しようと思っていたのだが、銃身の一番細いものがない。加工品が揃うまではさすがに動きづらい。

 さて、どうするか。魔道具回路を作るのもいいのだけど基本的には風魔石を使った武器と共用するつもりなのでそこまで考える必要もないのだよね。


 ということで、俺は武器ではなく生活利用の魔道具を作ることにした。可能ならば船や飛行機まで発展させたいところだけど、さすがにすぐにそれは難しい。

 もっと現実的なところからだ。そこで考えたのが扇風機。しかも羽なしタイプ。


 前世で羽無しタイプの扇風機を見たことがある。確かドイツのメーカーが元だったような……いや、イギリスだったか?

 まあ細かいことはいい。羽無し扇風機の理屈は単純だ。狭い空間に風を通して一定方向に押し出すだけ。風力は弱いけど、それでも十分に涼しくなると思う。

 魔道具回路は基本的に魔道具武器と同じ。


・一方向に魔力を流す整流回路

・出力上限を抑える平滑安定回路

・倍率調整回路


 魔道具武器よりも大幅に出力を絞った。扇風機だから風は弱くていい、それよりも長時間稼働を前提とした設計ということになる。

 作業していると、エレンさんが覗き込んできた。


「今度は何を作っているのですか?」


「風を送る魔道具だよ」


 構造を簡単に説明すると、エレンさんは目を丸くした。


「……ただ風を送る魔道具ですか?」


「そうだよ」


「それだけのために魔道具を作るとは……贅沢ではありませんか?」


「魔石は小さくて普段使いしないものだしね。こういう用途なら有効活用できるよ」


「なるほど……私はどうしても生活必需品でしか発想できません」


 なるほど。魔道具はこの世の中では贅沢品なんだよね。風を送るだけの魔道具はあまり思いつかないのかな? 俺にとっては生活必需品なんだけどな。

 意味ないと思われるなら少し残念で寂しいかも。まあ、いいか。エレンさんがいらないならば俺が使えばいい。


「これも十分、生活向上だと思うけど?」


「そうですかね」


 エレンさんはそう言いながら俺の方を眺めている。ほどなくして完成。そして、作動させた。静かに、しかし確かな風が流れ出した。

 おお。十分に涼しいじゃないですか。自然な風だ。エレンさんもその風を浴びて、少し驚いたような顔をした。


「どう、いいでしょう?」


「これは……思った以上にいいですね。なるほど風を送るというのは、こうやって涼むことだったのですね」


「そういうこと! 今日はそれほどでもないけど、暑い時はそれなりに快適になると思うよ」


 ああ、そうか。俺の説明が悪かった。風を送る魔道具と言っても何のことか分からないよね。扇風機だから狙いは涼むことだ。

 いくつか同じ物を作り、そのうちの一つをエレンさんに渡した。


「これはエレンさんにあげるね!」


「いいんですか?」


「うん。書き仕事多いでしょ? じっとしてると暑いよね」


「……ありがとうございます」


 次は厨房へ向かった。当然、オルドに渡そうと思っている。厨房は暑くなることも多いだろうからね。


「オルド、これあげる!」


「これは……?」


「風を送る魔道具で涼むことができるんだ。料理場は暑いだろうし、煙を流すのにも使えると思う」


 オルドは珍しそうに扇風機の魔道具を眺め、試しに起動させた。


「おお、これは涼しいですね。それに、確かに煙を流すのにも使えそうです。ありがたいです」


 と素直に笑ってくれた。良かった。オルドもそれなりに気に入ってくれたようだ。


「父さんと母さんにも、ライゼンからということで渡してもらえる?」


「承知いたしました」


 そして最後は姉さんだ。姉さんは特にこういうのが大好きだろうと思う。


「姉さん、これあげる! ライゼンが作ってくれた風を送る魔道具。これ使うと涼しくなるよ」


「ありがとう、レオン!」


 姉さんも扇風機の魔道具を使って涼しそうないい表情をしている。どうやら満足してくれたようだ。

 エレンさんに言わせると、生活必需品ではない魔道具は贅沢らしい。確かにそうだよね。魔道具の値段はかなり高い。

 でも魔石は捨てるようなものを使っているし加工品も高価な材料は使わなくてもいい。前世でいうところのDIYだな。100均で揃えた材料で作るような感覚だから別に問題はないだろう。


 なんと言っても扇風機は俺にとって生活必需品だ。十分価値があると思っている。

 戦うための魔道具も大事だけど、やっぱり俺はこういった生活必需品とか安全なものを作っていきたい。

 もちろん複雑なものは無理だけどね。他に簡単に作れるものはないかな? 今後もいろいろとアイデアを絞ろうと思う。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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