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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-3章「小型武器の開発」

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第162話「魔力の密度」

#第162話「魔力の密度」


 その後も風の魔石を使った魔道具武器の実験を進めた。

 その威力について、おおざっぱな結果が分かった。ここはエリシアさんに、かなり協力してもらった。


「あくまでも感覚的な話であり予想ですが……五メートルほどの距離ならば、魔力Dランク以下の人間にはかなりのダメージを与えられると思います」


「おお、凄いじゃん。いい感じだね」


 どうやらこの武器はDランクの人には使えそうだ。

 ただし、これは的の損傷具合、そして安全な距離でエリシアさんがわざと魔法に当たってもらった感覚的な話になる。

 データを完璧にとったわけではないので多少なりともずれがあるかもしれないけど計測装置がないので仕方がない。

 それでも、こうやって手伝ってもらえるのは本当にありがたいことだ。今後は何らかの形で計測装置も作る必要があるかもしれない。


 そして問題もある。Dランク以下の人にはかなりのダメージを与えられそうな一方で、魔力Cランク以上の相手にはほとんど効果がない。

 やはり魔力の高い人の魔力障壁は厄介だ。武器が通用しないかもしれない。そこで倍率を上げた場合についても実験を重ねた。

 エリシアさんが少し首をひねりながらやってきた。


「これもあくまでも予想ですが……五メートルほどの距離ならば、魔力Cランクの人間でもそれなりにダメージを与えられると思います」


「おお面白いね。倍率を上げたらちゃんと威力が上がるんだ」


 魔力がCランクならば、倍率を最大にすれば五メートル圏内でそれなりのダメージを与えられそうだ。

 しかしBランク相手となると……どうやら無理っぽい。

 さすがはBランクといったところかな。魔力がBランクのエリシアさんやイリス姉には通用しない武器ということになる。


「でも、これでも十分に武器になると思います。魔力がBランク以上の人間なんてほとんどいませんから」


「確かにそうだね」


 そうだった。魔力Bランクは1年に1人いるかどうかというレベルの特大魔力だった。そんな人がほとんどいないことを考えたら十分に武器になると考えていいだろう。風魔法を使った魔道具武器の実験は大成功と言っていいんじゃないかな?

 でもそこでふと思いついた。


「でも不思議だね」


「魔力がCランクの人にも魔力障壁はあるよね? どうして最大倍率なら通るんだろう? この魔石は小さいから、そこまで魔力が高いとは思えないのだけど」


 その俺の疑問について、エレンさんが少し考えてから答えてくれた。


「確かにそうですね。魔力が高い人間が有利という説から考えたらおかしい話です。魔力が小さい魔石で通用するはずがない。もしかすると……この銃身で魔力が圧縮され、密度が高くなっているのかもしれません」


「密度? 魔力の密度ということ?」


「はい。魔力が小さい範囲に押しとどめられて密度が上がる。そしてそのまま拡散せず、かつその全てが一定方向に向けられることで威力が上がっているのではないでしょうか。もちろんこれは仮説であり、それ以外の要因もあるかもしれません」


「なるほどね……」


 さすがエレンさん、考察が早い。

 だから細い筒の方が威力が高いのか。理屈としては納得できる。でもそれが対魔法使いにも有効とはちょっと意外だった。エリシアさんの説明で魔力が高い方が一方的に有利だと思っていたからね。

 そこで俺はエリシアさんの方を向いた。


「エリシアさん」


「はい、なんでしょう?」


「人間が風魔法を撃つときって、密度を高くすることはできないの?」


「密度、ですか……? 意識したことはありませんね」


 そりゃそうか。いきなり言われても難しいよね。魔法の制御はかなり難しいと聞いたことがある。

 威力の調整程度でも難しいらしい。ならば密度を変えるなんて話は超難易度の話なのかもしれない。


「この銃身みたいに、魔法をぎゅっと小さく絞るイメージで撃てば威力が上がるかもって思ったんだ」


「なるほど……ちょっと、やってみます」


 エリシアさんは真剣な表情になり、的に向き直った。かなり集中しているようだ。やはり密度を上げるのはエリシアさんほどの魔法使いでも難しいのかもしれない。

 それからしばらくしてエリシアさんは魔法を放ったようだ。

 的が明らかに大きく揺れたからね。でも威力が増したのだろうか? ここから見ただけではよく分からない。

 しばらくして、エリシアさんがこちらへ走って戻ってきた。


「どうだった?」


 次の瞬間。

 なぜかエリシアさんが俺の前で膝をついた。一体どうした?


「さすがレオン様です。軽く試しましたが、確実に威力が増しています。集中力が必要で、かなり難易度は高いです。しかし、極めれば更に威力は向上するでしょう。レオン様のおかげで、私はより高みを目指せます」


「そ、そう……良かったね」


 まただ。なんだろう。この既視感。エリシアさんの目が、ほんの少しだけ濁っているように見えるのは気のせいだろうか。

 まあ、いいか。とにかく実験はうまくいったということで。更に先を進めよう。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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― 新着の感想 ―
なるほど メガ粒子◯理論ですか 収束させずに放てれば 散弾にもなるかも
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