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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-3章「小型武器の開発」

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第161話「風魔法魔道具の可能性」

#第161話「風魔法魔道具の可能性」


 風魔法の魔石を使った魔道具武器の実験は予想以上に順調に進んでいる。

 ただし、エリシアさんに教えてもらった話は衝撃だった。なんと、魔力の高い人間には魔法が通じにくい。

 これは早めに知れたのは本当に良かった。もし知らずに完成させていたら、過信していたかもしれない。相手によっては、この武器が全く通用しない可能性もあるのだ。


 この世界は思っている以上に、魔法使いが強いみたいだ。

 今は戦争がない時代。だから魔力の大小が即、問題があるという話にはなりづらい。しかし、いざ戦争となったら魔法使いが戦力として必要となるだろう。そして魔力の差が大きな差になる。


 貴族が魔力測定の結果を重視していた理由は分かった気がする。領民を守るためには自分が強くならないと駄目だ。今は平和でもその気持ちが残っているのだろう。

 これが戦争の多い時代なら、俺なんて落ちこぼれ扱いで貴族として相手にもされなかったかもしれない。

 そう考えると、俺はいい時代に生まれた。それに、魔力の大小関係なく接してくれる周りの人たちにも感謝だ。

 とは言え……魔力が高い人間に魔法が通じにくいというのは、武器としては明確な弱点だ。これは何とかしておきたい。


「どうにかできないものかな……」


 少し考えて、あることに思い至った。

 だからこそ、従来の魔道具武器でも砲弾を入れるタイプが存在しているのではないか?


「エレンさん、ひとつ聞いていい?」


「はい」


「砲弾を入れて飛ばすタイプがあるのって……魔法使い対策も考えてのこと?」


「その通りです。大砲型の魔道具武器も、そのままだと魔法使いには通用しない場合が多いですからね」


「だから砲弾で物理的に倒す感じ?」


「ええ。砲弾を飛ばすことで、純粋な物理ダメージを与えるのです。それならば魔法使いでも倒せます。純粋な魔法使いは運動が得意でない人も多く、動きが鈍いのでより効果的です」


 なるほど。魔法使いにも弱点あり。動きが鈍い人が多いのか。それはなんとなくイメージ通りかも。魔法に専念することによって、運動不足になるのだろう。

 でも、エリシアさんは毎日ランニングに付き合ってくれるし動きが鈍いとは思えない。


「でもエリシアさんはかなり動けるよね。例外って感じ?」


「そう。エリシアは例外ですよ。努力もする天才という感じでしょうか。彼女よりも才能があると言われていた魔法使いにも普通に勝っていましたからね。私も学生時代に唯一、尊敬してたんです」


「へえ、魔法使いに魔道具師ということでジャンルは少し違うみたいだけど、仲良かったんだね」


「仲が良かったというよりは認め合っていた感じですね。なんだかんだで真剣に努力している人は少なかったので」


「エレン、余計なことは言わないでいいから!」


 エリシアさんが照れている。こういう話になるとエレンさんの方がストレートだね。

 ともかくなるほど。エレンさんとエリシアさんは学園時代の親友みたいな話をしていたけど、お互いに努力家でそれで惹かれ合っていた感じかな。

 そう思っていたらエレンさんが話を続けた。


「話は逸れましたけど、魔道具の武器で魔法使いに対応するにはもっと良い方法があるかもしれません。レオンならばできると思いますよ」


「どうかな……」


 魔法使いには物理。それは分かった。しかし銃に弾を入れる形にすると実験が更に増えて大変なことになるな。

 パラメーターが一つ増えると、検証項目が爆発的に増えるのだよね。最初から耐久試験を含め、やり直しになる。

 今はまだやるべきことが山積みだ。弾付きタイプは後回しにするのが賢明だろう。


 風魔法だけでも、やれることはまだまだある。それが落ち着いたら、水や火も試したい。

 ふと、別の可能性も浮かんだ。


「ねえねえ、エレンさん」


「はい?」


「風魔法をうまく使えば、船とかにも応用できそうじゃない? もしかして空も飛べたりしないかな?」


 エレンさんは少し目を細めた。もしかして心当たりがあるのかもしれない。ちょっとこちらもおもしろそうかも?


「そのような文献はあります。ですが、成功例はほとんど聞きません。制御が極めて難しいのです」


「なんと……可能性はあるんだ」


「はい。でも、それもレオンの魔道具回路の知識があれば何とかなるかもしれませんね」


「凄いな。夢が広がるね!」


 可能性があるという話。それだけで十分だ。今はさすがに手を広げることはできないけど将来的に考えて行けばいいだろう。

 そこまで精密に制御が出来なくてもいい。風がない時に帆に風を当てて進んだり進行方向をずらしたりするだけならばそこまで難しくはないのでは?筒が大きくなれば範囲が広がって威力が弱まった。その辺りの調整をすればうまくいくかも。

 船ならば魔石の魔力が尽きても交換すればいいしね。

 さすがに空を飛ぶとなるとかなり大変そうだけど船ぐらいならいけるような気がする。


 風魔法の魔石だけでここまで夢が広がる。他属性と組み合わせたらどうなる?水魔法による浮力、水圧、火魔法による熱膨張なども利用できるかもしれない。気球とかにも応用できるかも?

 頭の中で、可能性が連鎖していく。


 そう考えると魔道具の世界は、もしかすると可能性が無限大なのかもしれない。組み合わせはいろいろあるからね。

 とにかく今すぐ答えを出す必要はない。今は風魔法を利用した魔道具武器の開発からだ。

 じっくり、ひとつずつ。焦らず、確実に進めて行こう。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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