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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-3章「小型武器の開発」

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第159話「小型武器用回路の説明」

#第159話「小型武器用回路の説明」


 俺とエレンさんは魔道具武器の開発を始めている。そして、俺はエレンさんにすでに試作してある魔道回路の説明を始めることにした。


「この回路には、大きく分けて四つの機能があるんだ」


 そうして俺は指を立てた。


「一つ目、平滑安定回路って俺は呼んでいるのだけど、この部分で魔力を一定に保つんだ。武器の場合はその威力が安定することになるね。これはランプの魔道具でも付いてるのだけど、覚えているかな。」


「はい。この前、レオンに教えてもらったので。しっかりとメモしてますよ」


 さすがだね。もうすでにエレンさんは1つの回路を覚えているみたいだ。この調子で俺の代わりを務めて欲しい。修理も開発もエレンさんができればかなりありがたい。


「で、次は二つ目になるのだけど。この部分が整流回路。これは魔力を一方向にのみ流すんだ。まだ説明してないけど魔力吸引魔道具でも使っている回路。これで更に出力が安定すると思う。ただこの回路はいらないかもしれないから実験して不要だったら外すと思うよ」


「魔力吸引魔道具でも使っているのですか! そちらも教えて欲しいです。あの魔道具は本当に画期的でしたから(レオンには言えませんが、魔力を吸引することで王女の病気をも治した凄い魔道具ですからね)」


「うん。分かったよ。でもまずは武器の魔道具を先に考えようか。あれもこれもと、いろいろやると混乱するだろうからね」


「分かりました……すぐに知りたいところですが我慢します」


 エレンさんはほんと好奇心の塊みたいな人だ。おそらくこういう人は吸収が早い。俺なんかはすぐに抜かれると思うよ。

 でもいろいろやると混乱するのは間違いないと思うので今は少し我慢してもらおう。


「三つ目、倍率調整。威力の調整をここでやるんだ。そして、ここは可変抵抗のみ。増幅回路は今回は入れない。まずは安全第一」


「倍率調整! それは凄いです。本当にレオンは魔道具回路の引き出しが多いですね。更に増幅回路ってのもあるのですか?」


「うん。魔力を増大する回路になるけど、威力が高いと故障が増えそうだからまずは入れないで実験しようと思う。どうしても威力が弱くて厳しかったら入れるけどね」


「分かりました。楽しみです」


 まあなるべく最初は簡単な構造でやろうと思う。無理はしない。威力の調整だけできればいいだろう。

 もし威力が足りなければ増幅もありだし入力側の魔力をもっと大きくすることもできる。それも都度考えて行けばいいだろう。


「四つ目、スイッチ。二重構造にしたんだ。両方オンにしないと作動しない形だよ」


「それは助かりますね。武器が知らないうちに作動したら大変ですから」


 もちろん、魔石をセットしなければ動かない。つまり安全装置は実質二か所になる。この辺りは説明したらすぐに分かってくれるエレンさんはさすがだ。

 こうして説明を終えると、エレンさんはしばらく黙っていた。


「凄いです……やはりレオンは魔道具の神ですね」


「そんなことないよ。もうエレンさんも理解できたでしょ? 俺が神ならエレンさんも神だよ」


 エレンさんは一瞬固まり、ふっと小さく笑った。


(本来なら、ここまでの理論、とんでもない価値があるのに簡単に他人へ渡すことなどあり得ません……本当にレオンには頭が上がりませんね。私は本当に全身全霊で仕えなければいけないでしょう)


 うーん。また何か嫌な予感が。エレンさんの目が濁っている気がするよ。気のせいだと思いたいのだけどね。

 どうしてうちの領に来るとみんなこうなるのか本当に不思議だ。父さんに言って調べてもらった方がいいかも。お祓いが必要かもしれない。

 まあ今はそんなことを考えても仕方がない。とりあえず次の説明に進もう。


「でさ、魔石は3cm程度のものを使う予定だよ」


「3cmですか? 普通はほぼ廃棄扱いの大きさですね」


「小型化が目的だからね。大きいと逆に意味がないんだ。武器が重たいと使えないからね」


「確かに……でも、小さな魔石は持続時間が短いので敬遠されがちですよ」


「でも武器なら基本的に単発だからね。瞬間出力型なら小さくてもいけると思うんだ。それに小さい魔石なら常に予備を持ち歩くこともできるよね」


 エレンさんは頷いた。


「確かにそうですね。本当に……レオンは何でも思いついて利用しますね。まさか小さな魔石まで使うとは」


「逆だよ。小さいからこそ使えるんだ」


「確かに、そう言われればそうですが……」


(レオンと話していると常識が崩れますね。私はまずは常識を外すところから始める必要がありそうです。そう言えば、魔力の断線を調べるのも魔力が少ない人しかできなかった……レオンには適材適所があると本当に思い知らされます)


 またエレンさんがぶつぶつ言い始めた。大丈夫かな?

 小さな魔石と言えば、初めて母さんにもらったことを思い出した。“使い道がないから”と渡された小さな魔石だったけど、俺から見れば宝の山だった。それは今でも同じだと思う。全て使えると思うよ。

 それにこのサイズならば、うちの魔物退治でいくらでも出てくる。資源は無限大にあるようなものだ。いくらでも実験ができる。本当にワクワクが止まらない。


「あとは回路と筒をセットにして固定。一番大切なのは耐久性かな?他は威力や使い勝手などの確認。それで実験して、どの試作品が良いか分かったら。それをドランさんに再発注しようと思う。他に何かあるかな?」


「とりあえず、それでいいと思いますよ。まずはいろいろやってみて考えていきましょう」


「おっと、その前に魔石の加工も必要だ。オルドにお願いしよう」


「そうですね。探してきましょうか」


 よし。これで実験がほぼ始められる。どのような結果になるのか。本当に楽しみだ。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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