第157話「武器の小型化加工」
#第157話「武器の小型化加工」
(レオン視点です)
王都から帰ってきた。ミアさんも一緒だ。新しい仲間が増えたということで喜ばしいことである。
しかも斥候タイプということでスピードがある。そして小型の魔物を簡単に倒す。凄く強いし頼もしい。
これからライゼン、エリシアさんと共に魔物討伐に参加するということだ。貴重な戦力になってくれるに違いない。
ただ1つ決まったことがあった。それは、俺が魔道具を開発したり修理しているということはまだミアさんには内緒ということだ。
それはライゼン、エレンさん、エリシアさんの判断で総意だという。
その理由を聞くと、王都のミアさんが属する組織に情報が流れるとまずいらしい。そう言われてみればそうかも。確かに理屈は分かる。
でも正直、ちょっとだけ引っかかる。まるでミアさんだけを完全には信用していないみたいだ。のけ者みたいで嫌だな。
もちろん分かってる。慎重になるのは当然だ。
まあ、しばらくすれば話することになるだろう。それまで待とうと思う。
その一方で、楽しみなことが増えた。なんと、オルドによると、鍛冶屋に注文していた品が完成したらしい。魔道具武器の小型化のための加工処理をお願いしている。
この世界の魔道具武器は基本的に大きな砲台型。いかにも“兵器”という代物だ。見るだけでも、やばそうで怖い。
でも俺とエレンさんが考えているのは違う。小さく、持ち運べるもの。
そして攻撃よりもできる限り守りに特化したものにしたいと考えている。
「ではレオン坊ちゃん、いきましょうか」
「うん! 楽しみだよ!」
オルドに連れられて、俺とエレンさんは共に鍛冶屋へ向かった。本当に楽しみだ。
そしてすぐに到着。鍛冶屋は思ったよりも近くにあった。俺が朝のランニングで走っているコースのうちの1つの通り沿いで、よく前を走っている。これまで知らなかったことが少し悔やまれる。
鍛冶屋に入り、オルドが声をあげた。
「ドランさんいるかい?」
なるほど、鍛冶屋さんはドランというのか。何とも鍛冶屋らしい名前だと思う。
「おお、オルドか! 待ってたぞ!」
奥から出てきた人物を見て、俺は思わず感動した。
太い腕、煤で黒くなったエプロン、無精ひげ。いかにも頑固職人という風貌。俺の鍛冶屋のイメージにぴったり。もう完璧だ。素晴らしい。
「どうしたんですかい?」
不思議そうに聞くオルドに俺は素直に答えた。
「いや、いかにも鍛冶屋、職人さんって感じの人が出てきたので感動してるんだよ」
「……?」
オルドもドランさんも、そしてエレンさんまでもが首をかしげた。まあ、俺のイメージの話だからな。伝わらないのも仕方ないのかもしれない。
それはともかく、もっと大切なものがある。それは加工を頼んでいた商品だ。
「で、例の物は?」
オルドが聞くと、ドランさんが箱を持ってきた。そして、そこには、いくつかの筒状の部品が並んでいた。
加工された商品は俺のイメージ通りだ。ピストルの筒のような形。3種類の太さのものが5セットある。これを使えば小型の魔道具武器が完成するかもしれない。
「おお……!」
思わず変な声が出てしまった。
この世界の加工技術のレベルを知らなかったけど素晴らしい。ここまで精密に削り出せるとは思っていなかった。
「ドランさん、すごいよ。こんな細かい作業ができるなんて天才だね」
そう言うと、ドランさんはゴホンと咳払いし、顔を背けた。どうしたのだろう?
「うるせえ。素材を切って穴を開けただけの仕事だ。褒められるもんじゃねぇ」
……赤くなっている。
なるほど。分かったぞ。ドランさんはたぶん、ツンデレタイプだ。褒めると照れてデレる。
まあそれが分かったからどうだという話でもあるけどね。
俺は思わずお礼を言った。
「いや、本当にありがとう。こんなに早く、これほど素晴らしいものができるとは思ってなかったから嬉しいよ」
「ああ、また仕事があれば何でも言ってくれ。領主息子の仕事だからな。張り切ってやらせてもらう」
「うん、またお願いすると思う!よろしくね!」
そう言って握手したらびっくりしてる。どうしたのだろう?
そう思っていたらオルドが横から話しかけてきた。
「おいおい、ドラン。この前と全然、態度が違うじゃないか。貴族のドラ息子の加工なんてやってられっか! とか文句を言っていたじゃないか」
「うるせえ、オルド、ばらすなよ。もっと生意気なガキを想像してたんだ」
その言葉に思わず笑ってしまった。オルドもエレンさんも笑っている。まあ生意気なガキなのは間違いないとは思うけどね。
そうしたらドランさんが謝ってきた。
「それより、汚いごつごつした手で握手してすまなかったな。せめて手をしっかり洗っておけばよかったぜ」
「なんで? 汚くないよ。ごつごつしているかもしれないけど、職人さんの手って感じで感動したよ。凄くかっこいいと思う」
そう俺が言うとドランさんは再び顔を背けた。どうやら赤くなっているようだ。やっぱりツンデレタイプだね。
オルドとエレンさんはそんなドランさんを見て笑っている。
ともかくドランさんは見た目と違って怖くない、そして凄くいい人だ。俺は何度も礼を言って後にした。
ドランさんはぶつぶつ言いながらも、どこか満足そうにしていた。
今後も加工が必要になることがあるだろう。その時はまた、ドランさんにお願いしようと思う。
いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。
ブックマーク、評価ポイント、レビュー、いいね、感想などもしていただけると励みになるかもよ?
その他、何らかの頑張れパワーをいただけると更に頑張れるかもです!




