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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第156話「シャドウズからの解放」

#第156話「シャドウズからの解放」


 裏組織シャドウズの屋敷に、ヴァルドリック領にいるミアからの手紙が届いた。手紙にはナイラからの依頼の内容が書かれていた。

 何故、レオンとライゼンは貴族が通るはずもない裏通りにいたのか?そしてどうやってゴミ箱に隠れていた自分を発見することができたのか?その内容について全てが書かれていた。

 まず、裏通りにいた理由は単なる迷子。そしてゴミ箱にいたナイラを見つけることができたのは特別な魔道具を使ったからということだ。

 そこに矛盾はない。おそらく間違いないのだろう。


「残る疑問はあと1つだな……何故、私を助けたのか? そこに裏があるのかどうか?」


 では何故、レオンとライゼンは自分を助けたのか?最後の疑問を解決するためにナイラはその続きを読み進めた。


 すると、レオンは困っている人を放っておけないとのことだった。

 前回、王都に訪れた数か月前の訪問では売りに出された孤児院の孤児たち二十人以上を領で引き取ったらしい。そのために父に土下座をしてまでして頼み込んだという。

 二十人以上もの孤児が孤児院から追い出されたら、引受先はなかなか見つからないだろう。気の毒ではあるが仕方がない。でもレオンはその全てを自分の意思で助けたのだ。

 

 すなわち、自分の目の前にいる人間が困っているならば全て助ける。それがレオンという人物。それがレオンにとっては当たり前とのことだった。

 ならば答えは簡単だ。自分が困っているように見えたからレオンは助けたのだ。

 ナイラはその理由に呆れた。全て筋が通っており間違いないのだろう。しかし、これでは疑っていた自分が馬鹿みたいではないか。


「……馬鹿な貴族だな。困っている人間が目の前にいたら誰でも救う? そんなの偽善だ、普通じゃない。いくら子供にしてもおかしすぎる」


 そんな貴族が本当にいるのかと呆れた。だが、嫌いではない。おもしろい人物だ。

 そして、最後の一文に目が止まった。


「ナイラさんと言えど、レオン様に害を為すなら敵対します。そのおつもりでお考えください」


 ナイラは自分の口元が歪むのを感じた。どうやらミアは、よほどヴァルドリック領での居心地が良いらしい。良いことではあるが、それが少し悔しい。


 思えば、シャドウズでのミアの立場は常に微妙だった。自分は実の姉のつもりで接してきたつもりだ。だが、ミアは成長し、いつの頃からか常に自ら一歩引くようになっていた。寂しいが仕方がない。

 ミアは自分は孤児として救われた身。恐れ多いとしてどこかで線を引いていた。そして他の構成員の中には、彼女を特別扱いしていると疎ましく思う者もいた。

 構成員の中にはミアと同じように元孤児の人間もいる。ミアだけが自分の近くにいればおもしろくはないだろう。それは分かる。

 誰にとっても良くない状況。それは分かっていたが自分にはどうにもできなかった。

 ミアを突き放せばいいのかもしれない。でも、小さい頃からずっと一緒に、本当の姉妹のように過ごしてきたのだ。そんなことはできそうになかった。


「……情けないな。私は組織のトップとして失格だ」


 組織は孤児のミアを引き受けた。そして自分としては実の妹のように思っていた。でもそれだけでは本当の意味では彼女を救えなかったのかもしれない。

 そのミアが全面的にレオンを信頼している。手紙の節々にそれを感じとれた。

 ミアは裏組織シャドウズでは得ることができなかった居場所を……そこで得ているのだろう。


「ミアは本当の居場所を見つけたのかもしれないな……このまま解放した方がいいだろう」


 自分にはできなかったことをレオンはわずか数日で成し遂げてしまっている。情けなく悔しいがそれが現実だ。

 そして、ミアにとってはこれで良かったのだろう。

 今後、シャドウズに戻ってきても不幸になるだけだ。悲しいがこのまま彼女を解放するのが一番だ。


 本来ならば自分そしてシャドウズ、更にはミアまでも救ってもらって感謝すべきだが……ナイラとしてはそこまで素直な気持ちになれなかった。様々な気持ちが入り混じった。

 そうして椅子に深く腰掛け、上を向いて静かに息を吐いた。


「レオン、か……おもしろい人間もいるものだな」


 後悔、レオンへの感謝と同時に、強い興味も湧いてきた。

 レオンとはどのような人物なのか、そして今後何を成し遂げるのか?じっくり観察していこうと考えていた。


 まずはミアの希望が最優先だ。当面はレオンそしてヴァルドリック領と敵対することだけは避ける必要がある。そして何か要求があれば、よほどのことでもない限りは答えるべきだろう。

 それ以外には何をしていくべきか?ナイラは頭の中で今後のことを組み立てていたのだった。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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