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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第153話「大人達の判断」

#第153話「大人達の判断」


 レオン達が王都からヴァルドリック領に戻ってきたその夜。

 屋敷の執務室では、領主のギルベルトとセレナを前に、エレンとエリシアが報告を行っていた。


 もっとも、王都での出来事についてはすでに手紙で知らされている。今回はその再確認、そして今後の方針決定が目的だ。

 まず話題に上がったのはイリスのことだった。 苦笑混じりにギルベルトが語り掛けた。


「イリスも入学式で随分とやらかしたらしいな」


「申し訳ありません。私が付いていながら……」


 エリシアが頭を下げた。


「いや、それは仕方がない。責めるつもりはない」


 ギルベルトは首を振って話を続けた。


「我々ですら入学式に参加するとは思っていなかったのだ。元々は入学届を出すだけの予定だったのだろう?」


「はい。そのつもりでした。私達も、そのように伺っておりましたので」


 本来、イリスは主席挨拶どころか入学式に出る予定すらなかった。だが学園長の強い要請により急遽参加、さらには主席としての挨拶となった。

 学園長から要請があれば、断るのは誰であろうとも難しい。ギルベルトでさえも厳しいだろう。下手すれば国を敵に回すような話だ。

 今後の関係性などを考えたら要請を受けるのが当然と言える。この件でエリシアを責めるわけにはいかない。

 しかも、親としては嬉しい部分もある。


「本音を言えば、私もセレナもその場に居合わせたかったぐらいだ。親としては子供の活躍は心が躍る。驚いた貴族連中の顔も見たかった」


「あなた、品がないわよ」とセレナが窘める。


 それでもギルベルトは微笑んだ。もし入学式に参加して主席の挨拶をすると知っていたならば、間違いなく自分たちも一緒に行ったことだろう。今回は完全に予想外の動きだった。

 とは言え、現実問題にも目を向ける必要がある。エリシアがその時の状況を思い出して問題点を指摘した。


「しかし問題があります。イリス様はさすがにやりすぎました。入学式を見に来ていた全ての人間がイリス様の魔法、そして剣の実力を見てしまいました。王都では相当に注目を集めています」


「ああ、それは分かっている。すでにたくさんの手紙が届いている」


 エリシアに非があるとすれば入学式で実力を見せすぎるのは良くないと、予めイリスに伝えなかったことだ。

 とは言え、これも問題視はしづらい。抑えつけるよりも自由にやらせた方が伸びるという教育方針の元に育ててきたのだ。


 本来ならば子供が入学式で多少の実力を発揮したところで問題は起きない。上には上がいるからだ。自らの実力を見せつけたところで自然と抑えつけられるもの。井の中の蛙であることを思い知らされるのだ。

 しかしイリスは天才、常識では測れなかった。完全に想定外である。学園生だけでなく教師までもが驚愕するレベルであった。


 すでにギルベルトの元にはイリスとの面会の打診やパーティーへの招待、贈り物などが届き始めていた。やはりイリスの才能を狙う人間は多い。繋がりだけでも作っておこうという貴族からの連絡が殺到していた。

 放置してもいい連絡も多いが、その全てを無視するわけにもいかない。何らかの返事が必要な要請もある。こうなると断るのも一苦労だ。

 ギルベルトは軽くため息をついた。


「当面は目立たぬように動くべきだな。イリスについては王都に行く頻度を落とした方がいいだろうか?」


「それは厳しいでしょう。レオンが王都へ行けばイリスも付いて行きたがります。それに国王様からも、たまにでもいいから学園に来て欲しいという要請もありますよね」


 セレナも軽くため息をつきながらギルベルトの問いに答えた。

 王都に行かせないという選択肢はさすがに難しい。イリスの性格からしてレオンだけずるいという話になるのは明白であり、その欲求を抑えることは良いこととは思えない。


 とは言え今回の件で注目されすぎたのは間違いない事実。国王を始めとして、いろいろなところから要請が届いている。

 イリスは才能があるだけに領でじっくりと育てようと思っていた。それだけに頭の痛い問題と言える。

 今後も、できる限り表に出さないということにはする予定だが、ここまで評判が広がった以上、どこまで効果があるか不明だ。


 こうしてイリスについて様々な話し合いがなされた。そして、その後は当然のことながら、話題はレオンにも移った。

 再びエリシアが頭を下げた。


「レオン様についても申し訳ありません。私たちが付いておりながら問題が起きてしまいました」


「いや、それも仕方がないだろう。そもそもエリシア、エレン殿はその場にいなかった。こちらはレオンとライゼンの問題だ」


 エリシアとエレンは苦笑した。確かに自分たちが直接関わった問題ではない。とは言え連帯責任であるという気持ちもあった。

 そしてレオンとライゼンが王都でやらかしたことについても話し合いが行われた。

 そう、彼らが裏組織シャドウズを救った件だ。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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