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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第149話「ミアの忠誠」

#第149話「ミアの忠誠」


 王都からヴァルドリック辺境伯領へ戻る途中、領境に入ってから魔物が何度か出てきた。

 それをライゼン、エリシア、更にはミアが軽く討伐していった。レオンとイリスはミアの動きを見て大喜び。

 レオンがミアを何度も大げさに褒めるのでミアとしては本当に照れ臭かった。


 再び馬車は進み始めた。そしてミアは信頼を勝ち取った今ならば、話を聞くことができる絶好のチャンスだと判断した。


「……そういえば、姉御を助けた時はどうやって見つけたのですか? 姉御はゴミ箱の中に隠れていたのでしょう? あの三人組でさえも見つけられなかったはず」


 その話を聞いて、レオンは自分のバッグからあるものを取り出した。そして、あっさりと答えた。


「この魔道具を使ったんだよ」


 取り出されたのは、小型の魔力視認魔道具だった。エレンが一瞬、顔色を変えた。


(まずい……)


 特別な魔道具のことを外部の人間に知られるのはまずい。だが、会話の途中だ。さすがにもう止められない。下手に動けば変に怪しまれる可能性が高い。様子を見るしかないだろうとエレンは判断した。

 一方でミアはそんなエレンの様子を確認しつつ、レオンに質問をした。


「それは何なのですか?」


「これは魔力視認魔道具って言うんだ。この魔道具を使うと魔力が光って見えるんだよ」


「そんな便利なものがあるのですか?」


 ミアはびっくりした。魔力を見ることができる携帯型の魔道具なんて聞いたことがない。

 そんな様子のミアを見たレオンは、説明と実演が必要だと思って得意げに話を続けた。


「魔力が大きいイリス姉さんが近くにいるから倍率は最小にするね。そうしないとまぶしくて大変なんだ。これで実際に見てみて。魔力のあるところが光って見えるはずだよ」


「分かりました。使わせていただきます」


 ミアはその魔力視認魔道具を実際に使った。すると確かに……魔力のあるとされるレオンの姉イリスは強く光っている。間違いない。

 方向を変えると、反応が大きく変わった。レオン、ライゼンはほとんど光らない。一方で魔法使いのエリシアは光っている。凄い性能だ。しかも、倍率も変えることができるという。とんでもない代物だ。


(確かにこれを使えば、ゴミ箱に隠れていた姉御を見つけられるだろう。姉御は魔力が高いからな……だが、おかしい。いくら貴族の子息とはいえ、こんな高級魔道具をバッグに入れて軽々しく持ち歩いているのはあまりにも不自然だ)


 ミアの疑問が一つ解けた。しかしながら新しい疑問も出てきた。そのため質問を重ねた。


「こんな魔道具は見たことがありません。誰が作ったのですか? どこで販売しているのですか?」


 その問いにレオンは急激に固まった。明かに反応、そして動きがおかしくなった。目が泳ぎまくっている。そして少しの間を置いて、早口でまくし立てた


「え、えっと……それはね……そう、そうなんだ。ライゼンが作ったんだ! ライゼンは剣だけじゃなくて、魔道具の天才なんだよ! ライゼンは本当に凄いんだ。あと売っているお店の件だけど、非売品だからどこにも売ってないと思うよ!」


 あまりにも分かりやすいレオンのリアクション。嘘が超苦手であった。エレン、エリシア、ライゼンはそんな様子のレオンを見て頭を軽く抱えた。


 一方でミアも即座に理解した。

 このとんでもない魔道具をライゼンさんが作ったという話、それは間違いなく嘘であろう。レオンの様子からすぐに分かる。

 だが……それは逆のことも言える。それ以外のこれまでの話は、全部本当ということだ。

 嘘をついた時と、本当のことを言う時のレオンの様子が全く違うから明らかだ。


 すなわち、今までレオンが姉御の救出関連で言っていたことは全部、本当のということだ。

 レオンがライゼンと一緒に王都で迷子になり、人気のない裏通りに入り込んでしまったという話。そして、この魔力視認魔道具を使って姉御を見つけたという話。

 さらには姉御が困っていたから……単純にそれだけの理由で助けたという話。

 そこに裏は全く無かったのだ。


(姉御からの仕事とは言え、裏があると疑っていた私が愚かだった。全て完全なる善意の行動で、素晴らしい人物じゃかないか。姉御、そしてシャドウズを救ってくれたレオン様は……私の恩人でもある。誠心誠意尽くす必要があるだろう)


(そして、私程度の人間でさえ対等に接してくれるレオン様のお側はあまりにも心地良い。私の荒んだ心を解きほぐしてくれているかのようだ。私はこのような方に仕えることを……ずっと望んでいたのかもしれない。これが運命というものなのかもな)


 そう思った瞬間だった。

 ぽろりと、ミアの瞳から一筋の涙が落ちた。そしてミアはレオンの前で膝をついた。それはレオンへの忠誠を誓う動きだった。


「レオン様、姉御を救っていただき、本当にありがとうございました。今後、私は誠心誠意尽くさせていただきます」


 その目はやや濁っているようにも見える。とても冷静には見えない。

 また一人……これで四人目だ。ライゼン、エリシア、エレンに続いてレオンに忠誠を誓う者が増えた瞬間だった。

 そしてレオンは首をかしげた。


(まただよ。急に”様”を付けて、なんなんだよ。なんでうちの領に向かうと、みんなこんな感じで急に変になるのさ? うちの領には何かあるの?)


 レオンとしては、何度も同じような現象が起きることが不思議で仕方がなかった。ヴァルドリック領には何かあるのだろうか?どうにも理解ができない。


 そうしてレオン本人だけが、何も分かっていなかった。しかし、ミアがレオンに本気の忠誠を誓い、本当の意味で仲間になったのは間違いのない事実。

 ライゼン、エリシア、エレンは……そんなミアの様子を見ていろいろと考えていた。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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