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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第148話「ミアによる魔物退治」

#第148話「ミアによる魔物退治」


 王都を出てヴァルドリック辺境伯領へ向かう道中。領境が近づくにつれ、魔物の出現が増えていった。

 これは毎度のことだ。最初は怖がっていたレオンもさすがに慣れた。誰かが軽く対応してくれるだろうと確信。

 そして、それを観戦しようと魔物退治の状況を覗き込んでいた。


 例によって魔物の対応をしたのはライゼンとエリシアであった。

 ミアもまた、レオンと一緒にその戦いぶりを馬車からじっと観察していた。そして、その動きの凄さに感嘆した。


 まずはライゼン。動きに無駄が全くない、そして速い。さらには剣筋が見えないことまであった。目の良さには自信があるミアであるにも関わらずだ。

 振ったと思った時には、何が起きたのか分からないうちに魔物が倒れている。おそらくは最小限の動きで切り捨てたのだろう。


(このライゼンという人は何者だ? とんでもない剣の腕前だ……私では絶対に勝てない。仮に敵対すれば、気が付いた時には切り捨てられていることだろう)


 この実力ならば、パラダイスが雇った三人組を退けても不思議ではないと素直に思えた。

 そして、もう一方のエリシアも凄かった。魔法の使い手として別格だったのだ。組織の中にも魔法使いはいるが、エリシアほど洗練された者はいないだろうと思えた。

 何よりも凄いのは魔法の出力調整とコントロール。魔力を、おそらくは最小限に絞っているのだろう。的確な弱点への一撃で魔物を次々と倒していく。

 そこに全く無駄がなかった。普通の魔法使いなら魔法攻撃の数発で魔力が尽きるはず。そしてコントロールもそこまで良くない。

 しかしながらエリシアは何度も正確な魔法を撃っていた。


(魔力量も大きいのだろう……でもそれ以上に、魔法の一発一発の出力を極限まで抑えている。だからこそ何度でも撃てる。その魔力制御の腕がとんでもない。やはり私では勝てないな。接近戦に持ち込めれば何とかなるだろうが、離れていたらどうにもならない。近づくことはまず不可能だ)


 ミアはそう判断した。二人とも、端的に言えば異常な腕前だ。凄腕という言葉では片付けることができないレベル。

 だがミアも、その二人の腕前を見てひるんでいるわけにもいかない。自分はここに見物に来たわけではない、ヴァルドリック辺境伯領に貢献するために来ているのだ。

 ならば、動かなければならないだろう。そして次に小型魔物が出現した時に自ら馬車を出た。

 そしてミアは申し出た。


「次は私がやってもいいですか?」


 すでに馬車から出ていたライゼンとエリシアは一瞬目を合わせ、頷いた。そして、その後のミアの動きを見て驚いた。

 小型魔物は素早い。だが、ミアはその上の動きをした。魔物の動きを読んで常に一歩先を進んでいた。

 先回りし、足を止め、急所を正確に突く。そう思ったらすでに次の行動に出ている。攻撃力はそこまででもないが次々と、そして確実に魔物を仕留めていった。

 そうして気付けば魔物はすべて倒れている。ライゼンとエリシアは素直に驚いた。


「……見事な動きですな」とライゼン。


「想像以上でした」とエリシアが続いた。


 間違いなく凄腕だ。王都から出る時にナイラが斥候タイプで一級品と言っていたが間違いない。それは二人の本心だった。そして馬車から身を乗り出したレオンとイリスも大喜びだ。

 戻ってきたミアに、レオンは目を輝かせて言った。


「ミアさん、すごい! 動きがとんでもなく早いし、ちゃんと魔物の弱点を狙ってたよね、短剣で切り付ける攻撃がとんでもなく正確だったよ」


 そのレオンの言葉にミアは思わず目を見開いた。


「まさか……全て見えていたのですか?」


 横でライゼンが笑った。


「レオン坊ちゃんは目がいいんです。ですが本当に凄い。これほどの動きは久し振りですな。動きの速さだけならば誰にも負けないでしょう」


「い、いえ……ライゼンさんとエリシアさんに比べれば、私はたいしたことありません」


 さすがに剣の達人と凄腕魔法使いに比べられるのは恥ずかしい。しかしその言葉を遮るようにレオンは言及した。


「そんなことないよ! ミアさんのように凄い人がうちの領に来てくれるなんて、本当にありがたいよ!」


 その言葉は、あまりにも真っすぐだった。そしてミアは少しだけ視線を逸らした。

 組織の中で褒められることなどほとんどない。小型魔物の退治などできて当然。自分の細かい動き、工夫などを見て褒めてくれる人は皆無だった。

 それはミアのことを認めてくれているナイラでも同じだった。よほどのことでもしない限りは褒めることなどない。

 だからこそ素直に賞賛してくれるレオンの言葉は照れ臭かった。そして温かい気持ちにもなった。それはミアにとって初めてとも言っていい感覚であった。

 そうして、少しずつではあるがミアの心が変わっていった。


(レオンは本当に素直でいい子だな。私とは住む世界が全く違う……)


 その後、ライゼン、エリシア、ミアの三人は再び馬車に乗り込んだ。そしてヴァルドリック辺境伯領への道を進み始めた。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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