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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第145話「王都からの帰還」

#第145話「王都からの帰還」


 とうとう、レオンたちが王都から帰る日がやってきた。今回の王都滞在も、レオンにとってはあっという間だった。


 学園の入学式騒動、裏組織との奇妙な縁、王女との約束とまあいろいろとあったが、レオンとしては悪くない日々だと思っていた。

 普通に考えたら頭を抱えるような日々かもしれないが、そこそこレオンは忘れっぽい。特に嫌なことはすぐに忘れる。まあそれで問題が起きたりもするのだが。

 ともかく、本人にとっては「今回も楽しかった」というのが第一印象であった。

 そして見送りには異様な顔ぶれが揃っていた。


 国王エドワード、王妃カタリーナ、王女ソフィア、さらにはいつもはいないメンバーの王の側近までいた。

 側近としては、裏組織シャドウズと繋がったとされるレオンという人物を一目見ておきたかったのだ。


 さらに王たちが来る前に既に見送りに来ている人物がいた。それは王国の三大裏組織の1つシャドウズのトップのナイラである。

 側近は一瞬、目を見開いた。


「……本当に繋がっているのか」


 そして小声でエドワードに耳打ちした。


「陛下、あれが現在のシャドウズのトップです。亡くなった先代の娘です」


 エドワードは横目で確認し、わずかに頷いた。なるほど、やはりエレンのあの話は間違いないのだなと改めて確信した。

 ナイラはレオンの前に立ち、深々と頭を下げた。


「先日は本当にありがとう。君たちは命の恩人だ」


「いや、たまたまですし。気にしないでください」


 レオンは相変わらず軽い。本当にたいしたことをしたとは思っていない。ライゼンに雑魚三人組を撃退してもらっただけという認識だ。

 もちろんナイラにとっては違う。そしてナイラは続けた。


「一つ、お願いがある」


「お願い?」


「ミアを預かって欲しい」


 ナイラが合図すると、一人の女性が前に出た。

 小柄だ。身長は150cmはなさそうだ。


「ミアと申します。ナイラさんの部下です」


「……子供?」


 そこでレオンが首をかしげた。こんな小さくて部下とはどういうことなのだろう。しかし、その瞬間にミアに反論された。


「失礼な。私は二十歳だ」


「あ、そ、そうなんだ。ごめん。でも大人にしては胸がぺっ――」


 ゴン。今度は即座にエリシアのチョップがレオンに炸裂した。


「レオン様、それ以上はいけません」


「痛たた……」


 レオンはエリシアのチョップの痛みを我慢しながら頭を押さえた。

 ちらりと見るとミアは怒っているように見える。

 レオンはそれを見て、ようやくまずいと悟った。大人の女性に胸の話は禁句、それは前世だけでなくこちらの世の中でも同じなのだ。


(口は災いの元……くわばらくわばら)


 そこで少し苦笑いしながらナイラが説明した。


「彼女は腕利き、斥候タイプの人間だ。戦闘力はそこまで高くないが、隠密行動と情報伝達能力は一級品。スピードだけでなくスタミナもある。必要とあらば王都の情報も伝達可能だ」


 情報員系。王都の情報が知れるのはありがたい。でも簡単に人を引き入れて大丈夫なのか? レオンが見上げるとエレンがすぐに言った。


「悪くない話だと思うよ。ヴァルドリック辺境伯家は人手不足だしね」


 一方でエリシアは警戒した。


「それは分かりますが、さすがに裏組織の人間を受け入れるのは危険では?」


 そこでレオンは少し考えた。

 確かに危険かもしれないけど何かあればエリシアとライゼンがいる。せっかく恩返しをしたいと言ってくれているのだし断るのも失礼な気がする。


「大丈夫、ナイラさんもミアさんは信頼できる人だよ。ミアさんにはうちの領に来てもらおう」


 ミアは信頼できる人だと言われたことに軽く驚き、そして頷いた。


「宜しくお願いします」


 こうして、シャドウズの構成員ミアがヴァルドリック辺境伯家に同行することになった。

 その後は王家との別れの挨拶だ。エドワードはナイラを横目で見ながら、レオンに言った。


「レオン。分かっているな。もう何でも拾うんじゃないぞ」


 何でも拾ってくるなと、父親やエリシアだけでなく国王のエドワードにも言われてしまったのだ。レオンは言葉に詰まりがっくりとうなだれた。


「……分かりました」


 そしてエドワードはイリスにも向かって語った。


「イリス、王都に来る際には学園にも顔を出してやってくれ。何度も請願を受けているからな」


「はい。考えておきます」


 もちろん“考える”だけである。行くとは限らない。イリスは自由なのだ。

 その後はカタリーナが柔らかく微笑んでレオンに語り掛けた。


「レオン、ごめんなさいね。本当はゆっくり話すつもりだったのだけれど」


「いえ、全く問題ありません」


 レオンは本心からそう思っている。王妃との会話なんて緊張するしかないからだ。

 そして最後にレオンにソフィアが近づいてきた。


「レオン、約束は守ってくださいね」


 意味深な笑み。レオンは一瞬だけ固まった。いろいろと約束したことを思い出したのだ。


「……はい、分かりました。また来ますので、それまでお元気で」


 王女の約束はいろいろと重い。自分から会いに行くに加えて「頭撫で撫で」まで加わっているのだ。

 もちろんそれを顔に出すわけにはいかない。二人だけの秘密の話だからだ。レオンは笑顔でソフィアに手を振って別れた。


 レオンとしては裏組織との縁、王女との約束などの考えること、やることが増え続ける一方になっている。

 そのためレオンは「やはり自重は大切だ。これからは絶対に自重をしよう」そう心に決めたのだった。

 忘れっぽいレオンが本当に自重するかはまだ誰にも分からない……はずである。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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