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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第142話「レオンのやらかし」

#第142話「レオンのやらかし」


 エレンは王城の一室に呼ばれて国王エドワードと王妃カタリーナと話をしていた。話の最初はレオンの姉イリスの入学式の件が中心だった。

 ヴァルドリック家にはレオンだけでなくイリスもいる。彼女も王家から注目される存在となったのだ。


 その後、話はレオンとライゼンの件へと移った。

 エレンが語り始めた。


「エリシアからレオンがまた問題を起こしたと聞いています」


「問題? ソフィアに渡した魔道具の魔石交換は特に問題がなかったと聞いていたが、実は何かあったのか?」とエドワード。


「いえ、それとは別件になります。レオンが、このようなものを受け取ったと」


 エレンは金色のプレートを差し出した。

 それを見たエドワードの顔色がすぐに変わった。


「まさか……これは裏組織シャドウズのゴールドプレートじゃないのか?」


 即座に王の側近が呼ばれた。本物であればとんでもない話だからだ。そして王城内でも裏組織の話が分かるのはその側近ぐらいしかいない。

 その側近はプレートを見た瞬間、目を見開いた。


「まさか……でも、これは間違いありません。私の持つシャドウズのゴールドプレートと全く同じものです」


 シルバーやブロンズならまだぎりぎり理解できる。もちろんそれでも異常だ。だがゴールドとなれば話は別格だ。

 国王の側近ということで特別にもらった裏組織シャドウズのゴールドプレート。それが何故ここに?

 王の側近は思わず声を上げた。


「これをどこで? 誰が入手されていたのですか?」


「ヴァルドリック家の息子レオンに、シャドウズのトップが渡したそうだ」とエドワードが答えた。


 側近はしばらく黙考した。そして一つの結論に達したようだ。

 ゆっくりと口を開き、慎重に話を始めた。


「最近、パラダイスが凄腕の三人の用心棒を雇ったとのこと。そしてその三人組にシャドウズのトップが殺害されたという情報がございます」


 エドワードの眉間に皺が寄った。


「それは大問題ではないのか? 裏組織のバランスが壊れるぞ!」


「はい。しかし当然のことではありますが、我々が表から介入することはできません。信用を失いますからね。そのため、裏の勢力図を密かに注視しておりました」


 裏組織は三つある。


・力と暴力を売りにするパラダイス

・金と知識を売りにするシルバーコイン

・情報を売りにするシャドウズ


 この三つの裏組織の均衡が保たれているからこそ、それぞれが暴走まではしない。だがシャドウズはトップが殺害されたことで崩れかけていた。

 やばいと判断したシャドウズの構成員が抜けることで減少し勢力は縮小傾向、パラダイスに吸収される可能性が高まっていた。


「トップが殺害されたシャドウズはピンチでした。パラダイスに吸収される可能性が高いと指摘されていました。しかし……」


「今はどうなっているのだ?」とエドワードは続きを促した。


 側近は一呼吸おいて話を続けた。


「パラダイスの凄腕の用心棒三人が何者かに倒されたそうです。そこからは、状況は一変しました。現在は三勢力が再び均衡を保っています。むしろシャドウズが優勢に転じつつある状況です」


「なるほど……状況は理解した。それに関わったのがレオンということか」


「……おそらくは。しかしゴールドプレートを受け取るとなると、相当に信用されたと思われます。何をしたのか? そこまでは私の方では把握していません」


 その話を聞いて王はため息をついた。レオンはいったい何をやらかしたのだろうかと頭を巡らせた。

 しかしレオンに武力があるわけではない。動いたのはライゼンであろう。そこでエレンに確認した。


「エレン、その用心棒を倒したのはライゼンというわけか?」


「私が聞いた限りではその理解で間違いありません。レオンからは凄腕三人組ではなく、雑魚三人をライゼンが倒したと聞いておりますが、そう考えれば矛盾はありません。筋は通ります」


「いや、雑魚三人って……」と王の側近は絶句した。シャドウズのトップを殺害するほどのメンバーだ。雑魚のはずはない。


 その話を聞いてエドワードは間違いなくレオンとライゼンのやったことだと確信。そもそもゴールドプレートがある時点で疑いようのない話でもある。

 そうして、静かに息を吐いた。


「もしそれが事実ならば……レオンは、再びとんでもない仕事をしたことになるな。いや、仕事をしたのはライゼンになるのか? ともかく裏組織のバランスが崩れたら大変なことになりかねない。特に暴力が得意のパラダイスが力を付けるのは危険だった。王国の安寧を守ったと言っても差し支えないな」


「はい。実際に倒したのはライゼンでしょうが、彼を連れてきたのはレオンです。レオンの功績と言ってよいでしょう」


 「ふふん!レオンですから当然です!」と言わんばかりのエレンの様子に、エドワードは苦笑した。呆れ半分、納得半分。しかしそれが事実でもある。


「いったいレオンは何者なんだ? 剣聖のライゼンを拾い、特級魔道具士のエレン、魔法の天才のエリシアをも引き寄せた。そして、今回は裏組織シャドウズを助けゴールドプレートを受け取っただと? あいつの動きは今後も注視する必要があるな」


 本当はソフィアの命を救った特急案件もあるのだが側近にはまだ秘密なので伏せている。ただそれを抜いたとしても凄いことだ。

 そしてエドワードは今回の件も報奨金を支払う必要があると考えていた。


 その横で、カタリーナはくすりと笑った。しかし、表面上では笑ってはいるがその目の奥底は真剣だった。


「何から何まで引き寄せる……本当に面白い子。ソフィアの判断は間違っていないのかもしれないわね」


 カタリーナはレオンの評価を静かに上方修正していたのだった。もしかしたら王国で一番やばい人の評価が更に高まった瞬間だったのかも……しれない。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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