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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
3-2章「四歳の誕生日と再度の王都訪問」

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第137話「シャドウズ」

#第137話「シャドウズ」


 変な雑魚三人組を路地に放置し、俺とライゼン、そしてお姉さんの三人で歩き出した。

 しばらく進むと、お姉さんが立ち止まった。


「ここだよ」


「えっ?」


 紹介されてびっくりした。

 なんだか結構大きな建物なんですけど。家というよりは何かのお店、もしくは旅館みたいな感じだ。


 門構えもしっかりしているし、少なくとも普通の民家という雰囲気ではない。もしかして、実はいいところのお姉さんなのかな?

 お姉さんが声を掛けると、中から男の人が慌てた様子で出てきた。


「姉御! ご無事だったんですか!? 戻ってこないので心配しましたよ!」


 姉御?

 なんかまた、変なワードが飛び出してきたぞ。


「ああ、怪我して動けなくなっていたところを、この人たちに助けられた」


 お姉さん――いや、姉御は俺たちを振り返った。助けたのは俺じゃなくてライゼンだけどね。


「ありがとうございます。本当にどうなることかと……」


 その男性は深々と頭を下げてきた。悪い気はしないけどちょっと気恥ずかしい。

 するとお姉さんが話を続けた。


「なんと、あの凄腕の三人組をあっさりやっつけてくれたんだよ。今は縄で縛られて路地に転がっている。始末してもらえるか?」


「はい。承知しました。あの三人には随分とやられましたからね。恨みを持っている子分も多いんで丁度いいです」


 男性はすぐに中へ声をかけ、子分らしき人たちを数人呼び出した。

 ……なんだろう。

 お姉さんだけでなく、この人たちも中二病全開に見えてきたんですけど。姉御、凄腕、始末、子分とおかしな言葉ばかりだ。


 なんで俺の周りにはこんな変な人ばかり出てくるのだろうな。自称剣聖のライゼンとか、やたらと重たい人とか。


 まあいいか。

 俺とライゼンの目的は無事に王城に戻ることだ。この手の面倒ごとには絶対に関わってはいけない。俺も学習したんだ。もう間違えない。

 こういう時は……そうだ、要件を手短に伝えよう。


「すみません。実は道に迷っていまして。王城の方向はどちらか分かりますか?」


「私が案内します。少しお待ちを」


 男性が即答してくれた。良かった、助かったよ。


「姉御は傷の手当てを。医師を呼びます」


「ああ、すまない。本当は私が送っていければ良かったのだが」


「いやいや、とんでもない。怪我しているのだから治療優先にしてほしいです」


 俺がそう言うと、お姉さんは少しだけ柔らかい表情になった。


「……ありがとう。本当に助かったよ。この恩は絶対に返す」


 なんとも大げさだなと思う。でもちゃんと返事をしないと帰れそうにない。


「うん、何かあったらお願いね」


 軽い感じでそう言うと、お姉さんは懐から小さな札のようなものを取り出した。


「これを持っていって欲しい」


 なんだろう?

 金色の金属製のプレートのようなものだ。紋章が刻まれている。


「これがあれば、うちの“シャドウズ”のメンバーが動く。君たちの実力ならうちの戦力は不用かもしれないが、うちは情報も扱っている組織だ。王都関連で欲しい情報があれば連絡してくれたらいい」


 シャドウズね、そして金色プレートか。

 うん、お姉さんは最後まで中二病全開だった。もうお腹一杯だよ。

 でも、まあ……悪い人たちではなさそうだし、何かあれば使わせてもらおう。あてにしてはいけないだろうけどね。


「では、こちらへ」


 案内役の男に先導され、俺とライゼンは王城方面へと歩き出した。振り返ると、お姉さんはまだこちらを見ていた。俺は笑顔で手を振らせてもらった。

 ……ともかく、たいして面倒ごとにならなくて良かったよ。本当に、今回はこれで終わりだよな?

 その後、俺は今日のライゼンの戦闘について聞いた。


「二人目の敵、上から来たのは見えてたの?俺はちょっと不意を突かれたんだけど」


「あれはかなり、あからさまでしたからな。ともかく二人以上の敵がいる時には常に注意は必要です」


「そっか、さすがだね。特にそのすぐ後のライゼンの動きは凄かったね。咄嗟だったのに、二人に囲まれないポジションを取ったのはびっくりしたよ」


 俺がそう言うと、ライゼンは驚いたようだ。どうしたのだろう?


「いやはや、そこに気付きましたか。やはり、レオン坊ちゃんはたいしたものですな」


「ライゼンは大げさだな。気付くだけなら誰でもできるよ」


 まあ、前世で格闘技とか見るのは好きだったからね。その影響はあると思う。別に何か素質があるというわけでもない。

 そう思っていたらライゼンは続けた。


「いや、そんなことありませぬ。まさか、その前の袖を切った剣は見えませんでしたよね」


「うん、あれはほとんど見えなかったよ。おぼろげに剣筋が見えた程度だね」


 そう言うとライゼンは再び驚いたようだ。


「ほう……まさか、あれも見えましたか。レオン坊ちゃんはかなり目がいいのかもしれませんな」


「どうなのだろう?視力は悪くないと思うよ。それにあの剣はほとんど見えなかったからね。たいしたことはないと思う。それに見えたところで反応できなかったら意味ないし。どうしたってあれは避けられないよ」


 確かに近くのものも遠くのものもしっかり見える。それは間違いないけどね。ここは両親に感謝だ。

 ともかく今日は良かった。また、変なものを拾ってと、文句を言われなくて済んだ。

 ちょっとしたトラブルはあったけど全く問題はなかった。結果オーライということにしよう。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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