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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第130話「すれ違いと恩返し」

#第130話「すれ違いと恩返し」


 レオンは無事に王女ソフィアの部屋に侵入して魔石を交換することができた。そしてエレンと共に静かに部屋へ戻ってきた。

 扉を閉めると、エレンがレオンの方を向いて問いかけた。


「どうでしたか?」


「うん、うまくいったよ。ばっちりだよ」


 レオンは胸を張って報告した。特に問題なく、無事に魔力吸引魔道具の魔石を交換したのだ。とりあえずは御の字と言えた。

 もちろんエレンが王家に伝え段取りを済ませていたからではあるが、レオンはそれを知る由もない。


 一方でエレンとしてはどういう状況なのかは確認しておく必要があった。ソフィア様との間に何らかの進展や問題があったら次の行動に支障がでるかもしれない。

 そのためエレンは再確認のためにも、いろいろと聞くことにした。


「それは何よりです。……これからも当面は魔石交換に来る感じですか?」


「そうだね。本当はもう体調も良さそうだったし、“もう大丈夫ですね”って言ったんだけどね」


 レオンがちょっと困った顔をし出した。エレンとしては何か問題があったのかと思い、レオンの顔を覗き込んだ。


「どうしたのですか? 何かありましたか?」


「ソフィア様が不安がっていてさ」


「……はぁ」


「“怖いのです”って言われちゃってね。だから、また三カ月に一回は来ますって伝えたよ」


「まあ……それは仕方ありませんね」

(こりゃ相手が一枚も二枚も上手ですね)


 エレンはさすがソフィア様だと思った。今のレオンでは手も足も出ない状況だ。完全に転がされている。

 もちろんレイゼンの正体がレオンだと一方的に知っているので、ソフィアの方が有利に話を展開できるのは当然ではある。とは言え、それにしても話の持っていき方がうまい。

 王女に不安がられてはレオンもどうしようもないだろう。そう思って、エレンは小さくため息をついた。

 一方でレオンは話を続けた。


「でさ、ソフィア様、好きな人がいるって言っていてさ」


「ほう、なるほど」

(……さすがにレオンもソフィア様の気持ちに気付いたのですかね?)


「おそらく公爵家の子息のどちらかが好きなんだと思う。だから頑張ってほしいよね」


「なるほど……」

(このニブチンが!)


 エレンは心の中で叫んだが、もちろん表情には出さない。

 自分がソフィア様の気持ちを知っていることをレオンに知られてはまずいからだ。当然、それは秘密にしておく必要がある。

 レオンが自分から気が付く分には全く問題がないが、エレンから教えるわけにはいかないのだ。

 そしてレオンはエレンに申し訳なさそうに言った。


「だから、まだ魔石交換は当面は続くんだ。エレンさんにも迷惑をかけるけど、ごめんね」


「いいですよ。私はレオンからたくさん頂いていますから。少しくらい恩返しさせてください」


「そう言ってくれると助かるよ。エレンさんが良い人で本当に良かった」


 エレンはふっと笑い小声で言った。


「……こういうところが人たらしなんですよね。不思議と悪い気はしませんが」


「え? 何か言った?」


「いえ、何でもありません。これからも魔石交換が必要なのですね。では、もうしばらくは頑張りましょう」


「うん。ありがとう」


 レオンの素直な返事にエレンの頬が少しだけ緩んだ。


「私は明日から忙しくなります。いろいろと仕事がありますので」


「大変だね。ごめんね、付き合わせて」


「いえ、大丈夫ですよ。でも私はしばらくはいませんので、当面はエリシアとライゼンさんと一緒に行動してください」


「うん、分かった」


「決して一人では動かないでくださいね。もちろん問題は起こさないでくださいね。エリシアとライゼンさんが一緒だとしても、変な行動をしてはいけませんよ」


「もちろん。俺はそんなに信用ないかな?」


「……これまでにいろいろありましたからね。手を胸にあてて考えてみてください」


「うっ」


 そう、レオンはいろいろとやらかしているのだ。道端で倒れているライゼンを拾ってきたり、孤児院の子供達のために屋台で串焼きを大量買いして与えたりと。

 これまではいずれも良い方向に向かったからいいものの、ちょっと間違えば大変なことになっていた可能性もある。

 ともかくエレンとしては釘を刺す必要があったわけだ。


「問題を起こさないなら、それで十分です」


「分かってるよ。もう問題は起こさないから安心していいよ。」


 エレンとしては本当に大丈夫なのかな、とやや心配はした。でもそれを今、言っても仕方がない。それに問題など何度も起きるものでもないだろうと考えた。

 そして軽く一礼した。


「では、私はそろそろ失礼します」


「うん、ありがとう」


 そうしてエレンは部屋を出て行った。明日からの仕事の段取りを組むためだ。面会希望者が多いので、まずはその確認などを行う必要がある。


 一方のレオンはベッドに腰を下ろした。とりあえず今回は大成功だ。余計な約束は増えていないと安堵していた。

 そして、明日からはライゼンとエリシアと一緒に街へ繰り出そうと考えていたのだった。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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― 新着の感想 ―
だがちょっと待って欲しい エレンはレオンと結婚すれば 技術開発が捗るという事に 気付くべきではないだろうか?
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