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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第128話「新たな秘密とリスク」

#第128話「新たな秘密とリスク」


 エレンは国王エドワード、王妃カタリーナ、そしてソフィアの主治医に向けて現状報告を進めた。まずはレオンが本物であること、そしてエリシアがレオンの特殊性を知る仲間に加わったことを報告した。

 そこでエドワードが続きを促した。


「他に何かあるか?」


「はい。ライゼンという男ですが……彼も間違いなく本物です。エリシアの見立てでは、剣聖で間違いないだろうと」


 主治医が息を呑んだ。帝国で剣聖と呼ばれる存在は伝え聞いている。剣技の実力では王国を凌ぐ帝国のトップの称号だ。


「剣聖……」


「現在エリシアと共に魔物討伐を重ねておりますが、互いに切磋琢磨しております。エリシア曰く、彼ほど強く連携しやすい者はいないと」


「そのライゼンとやらも信用できるのか?」


「はい、完全に。彼もまたレオンに心酔しています。命を懸けて守ると。エリシアと張り合っているかのようでした」


 カタリーナが微笑んだ。


「レオンは不思議な子ね。もう二人も、とてつもない人材に守られているなんて。何か特別な秘密でもあるのかしら」


「分かりません。でも二人がレオンに心酔しているのは間違いありません」


 エドワード、カタリーナ、そして主治医は三人三様に不思議に思っていた。レオンが魔道具の修理や開発ができるということで確かに凄い人物ではある。

 ただしエリシア、ライゼンが心酔しているのは全く別の理由だ。レオンは魔道具の知識以外に何か特別な力でも持っているのだろうか?

 しかしそれを今、考えても仕方がない。エドワードは更に続きを促した。


「他には何かあるか?」


「魔道具関連について。私は彼から修理方法を教わっています」


「魔道具の修理方法を教わる……だと?」


「はい。以前の私にとっては魔道具が修理できるかどうかは運の要素が大きいものでした。正直なところ、修理を失敗するケースの方が多かったのです。しかし、今は簡単な魔道具ならば特に問題なく修理可能です」


 室内の空気が変わった。

 これも既に手紙では確認していた事実ではある。しかし改めて本人から聞くと重みが違う。そして、それこそが今回の報告の本題とも言えた。


「……それは間違っても口外するな」


「もちろんです」


 そこでエドワードの声が低くなった。


「現在、公爵家二家が魔道具の生産と販売で勢力を握っている。修理が可能になれば、生産過多になり力の均衡が大きく崩れる。下手をすれば国が揺らぐ。そしてお前が口外すれば、命を狙われる可能性すらもある」


「承知しております。間違いなく秘密は厳守します」


 これまでは魔道具の修理をできるのはレオンだけだった。しかし、今はエレンも修理ができるという。

 どちらにしろ秘密が漏れるのはまずい。その知識と技術を持つ人間が狙われる可能性が高いのだ。


「他には?」


「これは初めて報告する、新しい話になりますが……今はレオンと共に武器の魔道具の開発、具体的には小型化を進めています」


「なんだと……」


 エドワードは唸った。

 武器の魔道具の小型化は革命であり、同時に危険でもある。


「それについても秘密は厳守せよ。何かあればすぐに報告せよ」


「もちろんです。もともとレオンを守るための武器の魔道具の開発です。秘密を漏らすことはあり得ません」


 武器の魔道具の小型化ができるとなれば大ごとだ。今後の魔物討伐、そして戦争の在り方が大きく変わる可能性がある。

 そのため、仮に実用化がなされたとしても当面は隠した方がいいだろう。新しく出てきた難しい問題にエドワードは心の中で頭を抱えていた。


「それで終わりか?」


「あと一点」


「なんだ?」


「レオンはレイゼンに変装し、明日の夜、ソフィア様へ魔力が空の魔石を渡します。人払いをお願いしたく」


「ああ、そうだったな。そんな話もあったな」


「そのため、護衛は隠れて見守っていただければ。ちなみに私はレオンが安心して忍び込めるように見張り役となります」


「分かった」


 エドワードは苦笑した。今まで難しい話をしていたからこそ、その落差に脱力した。

 レオンが王女ソフィアの部屋に忍び込むのはエドワードから見れば茶番にすぎない。 

 レオンは他の人間が知らないと思っているが全てが把握されているのだ。

 そこでエレンが続けた。


「今後も同じように王都到着の翌日夜に実行に移すことにしますので、同じように人払いを願います」


「それも分かった」


 エドワードは軽くため息をついた。当面の間、三カ月に一回はこの茶番を続ける必要がある。


「これはこれで面倒な話だな」


「でも素敵じゃない? 定期的にお忍びで夜に会いに来るなんてロマンチックだわ。ソフィアも喜ぶでしょうし、少しぐらいの面倒は親として引き受けてあげないと」


 カタリーナが楽しそうに言う。

 主治医も静かに頷いた。


「それでソフィア様が元気になるなら、それも良いではありませんか。体調は完全に回復したとは思いますが、やはり気持ちの持ちようは大切です。それで変わるかもしれませんし」


「そうだな」とエドワードは天を見上げ軽くため息をついた。


 こうして報告は終わった。あとは明日、レオンが王女ソフィアの部屋に忍び込んで魔石を渡すだけだ。

 そこでエドワードは思い出したかのようにエレンに告げた。


「それとエレン」


「はい?」


「お前に会いたい者が山ほどいる。この一週間の滞在で全てこなせ」


「……承知しました」


 そうだったなと、エレンは静かに息を吐いた。三カ月も王都を離れれば、さすがに面会希望者の数も増える。

 その面会を短期間で全部こなす必要がある。面倒な話ではあるが、仕方がない。レオンの魔道具に関する知識を吸収し一緒に開発するには必要なことだ。

 彼女は宮廷魔道具師としての顔となり、面会希望者の確認を進めるのであった。

いつも読んで頂いてありがとうございます。毎日の投稿を限界まで続けていく予定です。


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