第125話「楽しい道中と王都到着」
#第125話「楽しい道中と王都到着」
王都への道のりは、驚くほどに順調だった。
道中では例によって、領と領の間あたりで魔物が多数出現した。
でも、そのたびにライゼンとエリシアさんが即座に対応し、あっという間に討伐してしまう。まさに完封といった感じで、危なげない戦いぶりだった。
うちの護衛も必要ないと思えるぐらいだ。
もちろん、全く必要がないというわけでもない。ライゼンとエリシアさんが魔物を討伐する間は俺たちの周りに張り付いて守ってくれているからね。
それにしてもライゼンは確かに強い。自称剣聖なだけはある。さすがに“剣聖”というのは言い過ぎだろうけど、その実力は本物だと実感した。
「ライゼンさんもエリシアさんも凄い!」
姉さんも目を輝かせながらそう言っている。
姉さんは二人から剣と魔法の指導を受けており、その才能は折り紙付きらしい。剣も魔法も天才的だと太鼓判を押され、順調に成長しているようだ。
そう考えると、ライゼンとエリシアさんがうちの領に来てくれたことは本当に幸運だった。
そして俺にとっては、魔道具開発の仲間であり、こうして王都へ向かう理由まで作ってくれるエレンさんの存在も大きい。三人とも、うちの領にとって必要不可欠で、かけがえのない存在になっている。
そして道中は魔物との戦闘だけでなく、とても楽しい時間でもあった。エリシアさんによる魔法講義を聞いたり、実際に魔法を使ってみたりと、学びの多い旅となった。こういった移動時間も有意義に使えるのはいいことだ。
エレンさんも、俺と姉さんの魔法の上達ぶりに驚き、たくさん褒めてくれた。
特に姉さんの魔法は見事なものだった。水玉を出して遊んだりもしている。水玉を出して遊ぶのは制御がかなり安定している証拠だとエリシアさんが褒めている。
実は姉さんは最初に水魔法を使った際、大量の水を出してしまい大騒ぎになったことがあったらしい。
俺はその場にいなかったので知らなかったのだが、それをきっかけに魔力の制御を意識するようになったとのことだ。
今では魔力の制御、調整も完璧で、少量の水から大量の水まで自在に操ることができる。強力な魔法から繊細な魔法まで使いこなせる、まさに万能型の魔法使いになりそうだ。
一方の俺は、使えるのは生活魔法のみ。姉さんに比べると圧倒的に魔力量は少ないので、大量の水など出せるはずもなく、まったく及ばない。
その後、エリシアさんは少しため息を付きながら姉さんの才能について語ってくれた。
「私も学園時代は魔法の天才と言われましたが、イリス様は私よりも魔法制御が段違いに上手です。将来は、確実に私の上に行くことになるでしょう。その才能が羨ましいですね」
「そりゃ凄いや、姉さんは魔力量が多いだけでなくその制御も凄い、万能型の天才だね」
「レオンに天才と言ってもらえると嬉しいな。私は早く強くなって、レオンを守れるようになるから安心してね。そのためにもっと頑張るから!」
「うん、お願い!」
姉さんは本当に凄い。魔法の天才とされたエリシアさんが及ばないとまで言うのだから相当なのだろう。
そして俺を守るために頑張ると言ってくれる、本当に良い姉である。
一方で俺は魔力が少ないので攻撃魔法は無理だろう、そして剣もそれなりにしかならないと思う。
両方ともに天才と言われる姉さんが守ってくれると言うならば、本当に心強い。
でも守ってもらうだけではさすがに男として恥ずかしい。
だから俺は魔道具の武器などをしっかりと開発しよう。俺にできないことは、魔道具にやらせればいい。それが俺の考え方だからね。
ちなみに俺が気になっていた、攻撃魔法について姉さんに聞いてみた。
「姉さんは攻撃魔法も使えるの?」
「攻撃魔法はまだだよ。まだ早いからって教えてもらってないよ」
「そりゃそうだよね。危ないし」
「うん。でも来年くらいには教えてもらえる予定なんだって! 実は楽しみにしているの」
ほう、姉さんは来年には攻撃魔法も習うのか。
姉さんが攻撃魔法も使えるとなったら更に頼もしい。魔法も剣も天才的な姉さんがいれば、どんな敵が現れても安心できそうだ。
そんな調子で姉さんやエリシアさん、エレンさん、ライゼンといろいろと話をした。そうして道中は退屈することなく、さまざまな話題で盛り上がって過ごした。
そして三日目――ついに王都へと到着した。
今回、俺がやらなければならないことはただ一つ。レイゼンに変装し、王女様に渡している魔力吸引魔道具の魔石を交換することだ。かなり重要な役割だけど何とかやらないといけない。
そして、それさえ終われば、他にやらなければいけないことはないだろう。あとは基本的に自由時間のはずだ。
その時間は買い食いを楽しむのもいいだろう。久しぶりに串焼き屋のおっちゃんにも会えるかもしれない。
王都での一週間……そこに何が待っているのか分からないけど、いろいろと楽しみだ。




