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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第123話「広がる朝の鍛錬と初めての魔法」

#第123話「広がる朝の鍛錬と初めての魔法」


 俺もいつか、身体強化の魔法を使えるようになるかもしれない。

 そう思うと、ワクワクし胸が高鳴る。これはまさにロマンだ。というわけで、これまで続けていた朝のランニングに加えて、剣の素振りも日課にすることにした。

 姿勢と型を意識しながら、ゆっくりと丁寧に振る。回数はライゼンに言われた通り、一日五十回だ。ものの十分程度で終わるので、特に問題はない。


 朝のランニングを一緒にしているエリシアさんも、素振りに付き合ってくれることになった。広い庭の一角で、朝の澄んだ空気を感じながら木刀を振る時間は、なんとも清々しい。一人でやるよりも二人でやる方が断然いいので、付き合ってくれるのはありがたいことだ。

 しばらくすると、様子を見に来たライゼンが軽くチェックをしてくれる。


「レオン坊ちゃん、姿勢が悪くなっていますぞ!」


 鋭い指摘が飛んできた。


「やっぱりか……」


 自分でも少し違和感があったところだ。正しい姿勢を頭の中でイメージし直し、もう一度ゆっくりと丁寧に素振りをやり直す。ゆっくりと、一振りごとに体へ染み込ませるように意識を集中させた。とにかく今は基本が大事、姿勢と型に全集中だ。

 素振りを終えた後は、エリシアさんによる生活魔法の指導が始まった。こちらもロマン枠だ。エリシアさんが魔法を教えてくれるということで早速お願いしたよ。


「生活魔法には主に、水、火、風などがあります。まずは一番扱いやすい水魔法から始めましょう」


 生活魔法を使う方法はとてもシンプルだという。


「水をイメージして、それを外に出す感覚です」


 そんなに簡単なのかと思い、さっそく試してみた。しかし――


「……出ない」


 一滴たりとも水は現れなかった。水のイメージが足りないのかな?するとエリシアさんは優しくアドバイスをくれた。


「うまくいかない場合は、体の中にある魔力をイメージしてみてください。その魔力が水に変わるイメージを持つのです」


「魔力をイメージ?」


「はい。体の中にある魔力をイメージするといいとされています。そのイメージは難しいので、何となくでいいですよ。最初は体に何かがあるぐらいの感じでいいですね。あと、水魔法を使う時は実際に水に触れながら行うと感覚を掴みやすいです」


 言われた通り、小さな器に入った水に触れながら再度挑戦した。次に体の内側にある魔力を意識し、それが手のひらへと流れ、水へと変わるイメージを強く思い描いた。


 すると――


「……出た!」


 思っていたよりも簡単だった。

 手のひらの上に、小さな水の粒がふわりと現れたのだ。やばい、これは楽しい。感動だ。これで俺も魔法使いになった!


「これはすごいですね。レオン様、訓練してすぐに水魔法が使えるようになりましたよ。天才ですよ」


 エリシアさんが目を輝かせながら褒めてくれた。


「本当に? やった!」


 素直に嬉しい。初めて魔法を成功させた達成感はすごい。褒めてくれると、さらに嬉しい。

 ただし、エリシアさんはすぐに注意もしてくれた。


「魔法をあまり使いすぎると、すぐに魔力が尽きてしまいます。無理をしないように気をつけてくださいね」


「うん、分かった」


 その後も何度か水を出す練習を繰り返し、水魔法の感覚をしっかりと体に覚え込ませた。あまりやりすぎると魔力が尽きて気分が悪くなる。最悪は気絶するらしいので控えめにしよう。

 ということで今日はこれで十分だろう。明日からは生活魔法の特訓も日課に加えていこう。

 何度か水を出している様子を見ていたエリシアさんが、ふと不思議そうに尋ねてきた。


「レオン様……もしかして、魔力量を調整されていますか?」


「うん、そうだよ。たくさん出ても困るし、少しずつ出すようにしていたよ」


 そう答えると、エリシアさんは驚いた表情を見せた。


「魔力の調整は、とても難しい技術なのですよ。それを最初から自然に行えるなんて……やはりレオン様は天才ですね」


「そうなの? でも、そんなに難しい感じはしないけどね」


 首をかしげる俺に、エリシアさんは微笑みながら言った。


「イリス様も魔力調整が非常にお上手です。やはりお二人とも、魔法の才能に恵まれていらっしゃいます」


「ありがとう!」


 エリシアさんはどうやら褒め上手と見た。褒めて伸ばそうとするタイプの先生だ。そして、俺は褒められると嬉しい。良い組み合わせだと思う。


「攻撃魔法とかもできるかな?」


「すみません。魔法攻撃はかなりの魔力が必要です。レオン様では厳しいと思います」


 エリシアさんはかなり申し訳なさそうに返事をしてくれた。シュンとしているので逆に申し訳なくなってくるよ。

 ともかく、なるほど。魔法攻撃はかなりの魔力が必要らしい。となると、魔法攻撃は諦めて武器の魔道具で頑張った方がいいかな?

 とにかく嬉しい。身体強化に生活魔法といろいろと楽しみが増えてきた。


 こうして俺は、朝のランニングに加えて、剣の素振り、そして魔法の訓練を行うことにした。

 毎日コツコツと続けていけば、きっと少しずつでも強くなれるはずだ。強くなっておけば、大きくなってから無理をしなくてもいい。

 夢のスローライフのために今は少しだけ頑張ろうと思う。

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