第121話「四歳の誕生日」
#第121話「四歳の誕生日」
今日、俺は四歳の誕生日を迎えた。どうやら簡単な誕生日パーティーを開いてくれるらしい。そういえば三歳の時もやってもらった気がする。
……でも、今回は何かが違った。
何よりも、出てきた料理がとんでもなく豪勢だったのだ。肉料理に魚料理。色とりどりの野菜。見たこともない焼き菓子まで並んでいる。果物やドリンクもたっぷり。
あれ? 三歳のとき、こんなに豪華だったっけ?不思議に思っていると、父さんが笑って言った。
「この一年で、領の財政がかなり良くなったからな」
なるほど。ライゼンとエリシアさんがやってきたことで、最近、魔物討伐も安定していると聞いている。それで父さんと母さんは書類仕事をする余裕ができたと喜んでいた。どうやらうまく回っているようだ。
もしかしたら、俺の魔道具修理の影響も多少なりともあるのかもしれない。そう思うと、少しだけ嬉しくなる。
とはいえ、まだ父さんと母さんには俺が魔道具の修理をしたり開発していることについては完全には話していない。だから、財政関連について詳しく聞けないのがもどかしい。
そして俺は父さんと母さん、そして姉さんから誕生日の贈り物をもらった。それは剣だ。小さな剣であり、一目で子供用と分かるサイズ。
完全に俺専用という感じだ。
「まだ慌てて振る必要はないぞ。使いたい時は大人を呼びなさい。危ないからな」
父さんはそう言って笑った。どうやら本格的な訓練はまだ先らしい。まあ、さすがに四歳だもんな。
あと話を聞いていると、どうやら姉さんが持っている剣を俺が羨ましそうに見ていたと思ったらしい。
でもそれは違う。俺は姉さんは凄い、頼もしい、俺の代わりに頑張って欲しいと思っていただけなんだけどね。
それで作ってくれたのだとか……なるほど。ちょっと違うのだけど、自分専用の剣というのはやっぱり嬉しい。
そして姉さんは満面の笑みで言ってくれた。
「レオン、誕生日おめでとう!」
姉さんはもう六歳。今年から王都の学園に通うらしい。そして本格的な勉強をするかもしれないとのことだ。
……六歳で学園で本格的な勉強?
この世界、やっぱり早すぎない?
でもそれが普通らしい。まあ確かに前世と比べたら精神年齢が二~三倍違うので六歳となると十八歳と見ることもできる。ならば別におかしくはないような気もする。
六歳で貴族の子供は将来に向けての本格的な勉強を始める。一般の商人の子供は仕事を始めるのが普通ということでそれが常識らしい。
その辺りの常識についてはしっかりとアップデートしていく必要がある。
そう思っていたら姉さんが語り掛けてきた。
「一緒に剣の練習もしようね!」
と言ってくれた。確かに姉さんと剣の練習をするのもいいね!ただ、学園に行くなら難しいのでは?
そのあたりは、あとで聞いてみよう。
そして――
ライゼン、エレン、エリシアさんの三人からは、魔道ペンをもらった。さすが分かっている。
これはかなり嬉しい。俺専用で使わせてもらおう。オルドに借りていたのは返した方がいいかな。ほぼ借りパク状態だったしね。
さっきの剣の話を聞いていたのか、ライゼンが言った。
「レオン坊ちゃんも、そろそろ軽い素振りくらいは始めても良いかもしれませんな」
ほうほう。
自称剣聖ライゼンさんはそう来たか。確かに、この世の中は弱肉強食だ。魔物が多い辺境伯の息子として生まれた俺は多少は強くなる必要があるだろう。
本当は剣の天才とされる姉さんに全部任せたいところではあるけど、さすがにそれではまずい気がする。
無理のない範囲で、少しずつやっていくのも悪くない。おそらく素振りぐらいならば問題ないだろう。
一方でエリシアさんは、俺に魔法を教えたいらしい。
「レオン様は魔法も学んではどうでしょうか?」と目を輝かせている。
「でも俺の魔力はEランクなんだよね」
「それはそうですが……」
エリシアさんは寂しそうにしているがこれは仕方がない。俺の魔力がEランクなのは事実。
派手な魔法は無理だろう。少なくともエリシアさんのように魔物を倒すようなことは無理だと思う。でも、少しでも使えたら嬉しい。簡単な生活魔法ぐらいは教えて欲しいかな。
「簡単な生活魔法は教えて欲しいかな」
「はい、もちろんです! 何なりと聞いてください」
魔法を使えるというのもロマンの一つだ。こちらも楽しみにしておこう。生活魔法だけでも使えたら嬉しい。
次にエレンさんとは武器の魔道具について少し話した。
今は小型化の方向で、いくつか鍛冶屋に試作品を依頼しているところ。どんな形になるのか、楽しみだ。
そんなこんなで、誕生日パーティーはとても楽しかった。
三歳は本当に激動だった。四歳は少し落ち着こうと思っているのだけど、どうなるのだろうね。
勉強も、魔道具の修理や開発も、そして、できる限りのスローライフも全部バランスよくやっていきたいところだ。




