↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
121/134

第120話「新しい勉強の内容」

#第120話「新しい勉強の内容」


 俺は王都での合同魔力測定から戻って来てからは新しい勉強も始めた。それは主に文字の読み書き、計算、そして領地経営といったところだ。


 この中で文字の読みについてはまあ余裕だ。ニーナに魔道具の本を読んでもらっていたからね。ニーナとの至福の読書時間を減らさないために、まだ文字を読めないと嘘を付いていたぐらいだ。普通に読めるから全く問題はない。

 一方で書くのはまだ少し難しい。読めるけどスラスラとは書けない、今はそんな状況だ。ここは少しずつ慣れていくしかないだろう。


 計算は一番簡単だ。ほぼ前世の小学生レベルで余裕。いずれ高度な前世の数学のような勉強も出てくるのかもしれないが、今のところは全く問題はない。計算はやる意味がないぐらいと言っていいだろう。


 そして一番の問題は……領地経営だ。これは何も知らない、まっさらの状況。しかしこれが、知らないだけに一番新鮮で面白かった。

 例えば税率の話。うちの領の税率はおよそ四割らしい。領民が稼いだお金の四割を税として納めてもらう。その税金を使って領地経営をするわけだ。


 領地経営は多岐に渡る。時には道の整備をしたり、公共の施設を作ったりする。その他にも領民の要望を聞いて必要であれば動く。領民同士のいざこざがあれば仲裁する。

 人によっては怪我などで動けず稼げないケースもある。そうした場合は税金の免除や減額なども検討する。このあたりの裁定は難しい。過去の事例も確認して決めるのだけど不公平になってしまっては領民の不満も溜まってしまうからね。


 また税金を正しく収めてもらうために戸籍のようなものもある。当然、子供が生まれたらそこに新しく追加する。お祝いを出したりもする。他にも人の流出入があれば、その度に更新が必要になる。なかなかに大変だ。


 そして、これはうちの領の特徴的なところでもあるけど魔物退治もする。

 領民に危害を加えるような魔物は殲滅するしかないのだ。うちの領は近くに森があるだけあって魔物の出現も多い。そのたびに騎士団が動く。

 最近ではライゼンとエリシアさんが、かなり良い働きをしているらしい。父さんも母さんも書類仕事に充てる時間が増えたとして喜んでいた。魔物退治と書類仕事の両立は大変だったとのこと。うちの領に来て頑張ってくれているライゼンとエリシアさんの二人には感謝しかないね。

 やや俺に対する忠誠の気持ちが重たいのは難で、そこは直して欲しいとは思っている。でも、それ以上にうちの領への貢献度が高い。もう諦めるしかないだろうとも思っている。


 あと、うちの税率、四割という数字はアストラル王国の中では一番低い部類らしい。

 この税率の調整が難しい。高くすれば、その高い税率が嫌になる人は領から出ていく。逆に低くすれば税収が減り、領主の領地経営は苦しくなる。

 その兼ね合いが難しいのだという。

 うちの領は仕事が少ないこともあって、領民の生活はあまり楽ではない。そのため税率を高くすれば一気に領民が減ってしまう、だから税率は低く設定している。

 逆に仕事が多い領は税率を高くしても領民は減らない。


 ちなみに王都や公爵家では五~六割。国全体では四~七割が相場らしい。

 公爵家とかは税率を高くしても領民は多いので羨ましい状況だ。税金がたくさん入って儲かっているわけだからね。その分、デモをするような変な人もいるみたいだし大変かもしれないけど。


 ……ともかく全体的にみて、それらの税率は前世の感覚で考えると、なかなか重いような気がする。ということで領民様様だなと思った。領民のために頑張るというのは当たり前とも思えた。

 他にも、領地経営で勉強することはまだまだある。それについては父さんから直接の指示を受けた。


「できるだけ領民の仕事を見て回りなさい」と。


 そこで俺は、エリシアさんとの朝のランニングを、できるだけ屋敷の外へ出る形に変えた。今までは屋敷の周りを何周かするだけだったのだが、それを外に向けたわけだ。

 屋敷の外に出るのは俺一人では危険だけど、エリシアさんが一緒なら安心ということでランニングコースの変更もあっさりと許された。やはりエリシアさんのおかげだね。感謝だ。


 ランニングコースは、基本的にはある程度進んで戻るだけという往復にすぎない。だけど、東西南北いろいろな方向へ走ることで、領内の違う景色が見えてきた。


 畑の様子、鍛冶場の煙、市場の活気など、これまで知らなかった違う世界がそこにはあった。これがまた楽しい。

 しかも同じコースでも日々違う。農産物は少しずつ育ち市場に出回る食べ物なども異なる。それらを見るのも楽しみになった。

 そして、俺のことを知っているのか、挨拶してくれる人も増えた。みんな早起きで早くから仕事をして偉いね。


 こうして王都へ行って戻って来てから、新しい勉強も始まり、俺の世界は大きく広がった。そして俺の意識も変わった。

 さすがにスローライフだけではやはり駄目だと悟った。領民のための勉強も仕事も、ある程度はやろうと思う。

 だが――無理はしない。

 前世のような働きすぎて倒れるのだけは絶対に避けなければいけない。


 魔道具の開発、領地経営などの勉強、そしてスローライフ。

 全部、バランスよく進めて行こう。決して焦らず、無理せず、成長していこう。そう、自分に言い聞かせながら、俺は今日も朝のランニングを始めた。


 そして俺はもうすぐ四歳になる。四歳になったらまた新しいことが始まるのだろうか?

 三歳はかなりいろいろなことがあった。さすがに四歳はそこまでの出来事はないよね?


 そう思っていた時期が……俺にもありました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。