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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第113話「報告と決断」

#第113話「報告と決断」


 レオンの特殊性についてオルド、ライゼン、エレン、エリシアは秘密共有を終えた。

 オルドは一息ついた。しかしまだこれで全てが終わったわけではない。まだ決めるべきことがある。そして報告する必要もある。

 報告すべき相手はヴァルドリック領の領主ギルベルト、そしてその妻セレナだ。

 オルドは冷静に正確な報告と確実な判断ができる。それこそが彼の役目であると言えよう。


 翌日の昼前。

 オルドはライゼン、エレン、エリシアを伴い、屋敷の執務室へと向かった。扉を軽くノックすると、すぐに低く威厳ある声が返ってきた。


「入れ」


 中へ入ると、ギルベルトとセレナが揃っていた。実は二人とも既にオルドから大まかな報告を受けてはいる。なので今回は全員が揃ってのすり合わせ、再確認という意味合いになる。

 ギルベルトに対してオルドが報告を開始した。


「エレン様とエリシア様にレオン坊ちゃんの秘密を共有いたしましたので、ご報告に参りました」


「ご苦労」


 ギルベルトは短く応じたが、その胸中には驚きが渦巻いていた。

 剣聖と呼ばれる凄腕の剣士ライゼン、宮廷魔道具師のエレン、そして天才魔法使いエリシア。これほどの人材が辺境の地に集まるなど、常識では考えられない。

 しかもその理由は全てレオン経由だ。魔道具に関する知識は異常だが、それ以外は普通の子供。まだ理解が追いついていなかった。

 そんなギルベルトを横目にオルドは改めて説明を始めた。


 まずはライゼンに加え、エレンとエリシアもレオンの秘密を共有する仲間となったこと。

 また、レオン自身はギルベルト、セレナ、王家が秘密を知っていることを知らないという事実についてだ。

 説明を聞き終えたギルベルトは三人に向き直り、静かに言った。


「レオンに関する話は聞いての通りだ。その秘密を共有する仲間となり守ってくれることについて感謝する。くれぐれもよろしく頼む」


「了解です。レオン坊ちゃんは命を懸けて守ります」


 ライゼンが即座に答えた。まるで当たり前のことだと言わんばかりだ。


「当然です。私もレオン様を命に代えてお守りいたします」


 エリシアも力強く続いた。そこに一切の迷いも見られなかった。


「私も同じです。命を投げ捨ててでもレオンを守ります」


 最後のエレンの言葉に、ギルベルトとセレナは一瞬目を見開いた。

 ライゼンとエリシアの覚悟はある程度は理解していた。しかし、エレンまでもがこれほど早くに同じ覚悟を見せるとはさすがに予想外だった。


(どうしてこうなった? 確かにエレン殿も危うさはあったが……昨日の今日でここまで激変するものか? さすがに早すぎるだろうに)


 内心でそう呟きながらも、それを問い詰めても仕方がない。ギルベルトは冷静に話を進めた。


「オルド、まだ決めることがあるのだったな」


「はい。それについてはエレン、説明をお願いします」


 指名を受けエレンが一歩前に出て口を開いた。


「昨日、レオンと魔道具について話をいたしました。結論から申し上げますと、レオンは私を遥かに上回る魔道具師です。宮廷魔道具師としての私の実力は、彼の足元にも及びません」


「ほう……それほどか。確かに凄いとは聞いていたが国のトップの宮廷魔道具師エレン殿から聞くと疑いようがないな」

 ギルベルトは静かに頷いた。


「さらに申し上げれば、すでにご存じかとは思いますが、レオンが開発した魔道具によって王女殿下の病状が改善しました。すでに医療分野でも必要不可欠な人材。間違いなく、彼は国の未来を左右する存在です」


「なるほど。魔道具に対峙するレオン坊っちゃんは一流の佇まいをしているとは思ってはいましたが……そこまで凄いのですな」ライゼンが感嘆の声を漏らした。


「私は命を救われたから仕えると決めましたが、なおさら真剣に仕えねばなりませんな。これはやはり私の運命、使命と言えるかと」


 ライゼンの言葉に頷き、エレンは続けた。


「ただし、ここで問題があります。レオンは自らの特殊性を秘密にするために王女様の前では変装して魔道具を渡しました」


「そして王女殿下に渡している魔道具には、およそ三カ月に一回という定期的な魔石交換が必要です。そのため、レオンは王都に行く必要があります。しかしレオンは自分の特殊性を秘密にしているために王都に行く理由を持ちません」


「そこで私が王都に三カ月に一回行くことにします。レオンは魔道具関連の仕事に行く私に同行するという形で王都に行くことにします。名目は……そうですね。勉強のためということでいいでしょう」


「分かった。それで問題ないだろう」とギルベルト。


 ギルベルトとしてもすでに聞いていた話でもある。エレンが納得しているならば特に問題はないだろうと考えた。

 面倒な問題だと思っていたがエレンがこうやって喜んで手伝ってくれる。その点にていては安堵した。

 しかし問題は他にもある。ギルベルトは続くエレンの報告に耳を傾けるのだった。

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