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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第112話「守護の策」

#第112話「守護の策」


 レオンの特殊性を秘密にする――その打ち合わせを終えた夜のことだった。屋敷の一室に、ライゼン、エレン、エリシアの三人が再び集まっていた。


 目的はただ一つ。

 ――いかにしてレオンを守るか。その具体策を練るためである。


 命を賭けると誓った同志として、今後の方策を話し合う必要があったのだ。

 最初に口を開いたのはライゼンだった。


「まず確認したい。レオン坊ちゃんが危険な目に遭う可能性はあるのか?」


 低く落ち着いた声が室内に響く。


「もしその可能性があるならば、我らはそのリスクを可能な限り減らさねばならぬ」


 その言葉に、エリシアとエレンは静かに頷いた。

 結論は比較的明確だった。現時点ではヴァルドリック領にいる限り危険はほぼないだろう。


 領主ギルベルトの統治は盤石であり、外部からの脅威が入り込む余地は少ない。

 もともと辺境の土地ということもあって怪しい人間の出入りがあれば比較的早期に発見できるのだ。

 現状では、普段の護衛を過度に強化する必要はないと判断された。


「当面は怪しい人物が現れない限り、特段の対応は不要でしょう」


 エリシアの言葉に、ライゼンも同意した。


「うむ。だが警戒は怠らぬようにせねばならぬな。私のような流れ者のふりをして探る人間もいるかもしれない」


 現実問題として今はレオンを直接狙う動きはないだろう。しかし警戒だけは怠らないという話に落ち着いた。


 次に話題となったのは、日常における護衛体制だった。いくら危険がないとは言え、全く護衛がいないのも問題だ。

 その点についてはエリシアが指摘した。


「基本的には、エレンがレオン様と行動を共にすることが多くなるでしょう。魔道具に関する話もありますから」


 エリシアの指摘に、エレンは胸を張った。


「確かにそうですね。ならば普段は私がレオンの盾になりましょう」


 自信満々に答えるエレン。だが次の瞬間、エリシアの冷静な言葉が続く。エレンが盾になるなど、どう考えても無理なのだ。


「基本的にはそれでいいと思います。ただし、戦力としては全く期待できないですよね」


「……え?」


 容赦ない一言に、エレンは肩を落とした。まあ実際にそうなのだ。エレンには力が無い、剣も使えない、魔法も使えない。エレンでは戦力にならないのだ。


「あなたは魔道具の専門家です。現状では盾にもなれないでしょう。まずは怪しい人物を警戒する役目に専念してください」


「そ、そうだよね……私には力がない。それは間違いない」


 現実を突きつけられ、エレンは小さく頷いた。そこにエリシアの一言が追い打ちをかけた。


「とは言え、せめて朝のランニングには付き合いなさい。とっさの時に体力不足で動けないなど、論外ですからね」


「うっ……分かったよ。善処します」


 エレンは渋々頷いた。朝は苦手だが、レオンを守るためならば努力するしかない。

 その後、エレンは重要な情報を口にした。


「一つ問題があります。およそ三カ月に一度ほど、レオンは王都へ行く必要があります」


「何だと?」


 ライゼンが眉をひそめた。何でそんな高頻度で王都に行く必要があるというのか?疑問しかない。


「これは内密な話ですがレオンは王女殿下の婚約者候補の一人。定期的に王都へ赴く必要があるのです。一応、私も同行することになっていますが王女様に会う時はレオンは一人になるかと」


 その説明に、ライゼンとエリシアは驚きを隠せなかった。


「王女様に会うために定期的に王都に行くのも極めて重要な任務、それは避けられそうにない」とライゼン。


「王都は人も多く危険性は跳ね上がります。王都滞在中の警戒は強める必要があるでしょう」とエリシアも懸念の声を上げた。


 ならばとライゼンが即座に提案した。


「ならばレオン坊ちゃんが王都に行くときは可能な限り、私も同行しよう。どうしても無理な場合はエリシア殿に任せる」


「承知しました」


 その提案にエリシアは力強く頷いた。さすがにエレンとレオンの二人だけでは心配だ。ライゼンもしくはエリシアのどちらか一人は常に同行する必要があると感じた。

 一応護衛は付くだろうがそれはレオンの特殊性を知らない人間。どうしても不安があった。

 その後、エレンは新たな提案を口にした。


「私は領主様に進言し、魔道具武器の改良を進めたいと考えています。レオンならば扱いやすく改良することもできるかもしれない。そうすれば私も戦力になれます」


「それはいいですね。ただし魔道具については私とライゼンさんは専門外、そこはエレンにお任せします」


「ああ、分かった」


 エレンは頷いた。自分も何とか戦力になりたい。しかし現状では何の力もない。ふがいないのだ。武器の魔道具の研究をレオンと共に進めようと心に誓った。

 その後はライゼンがエリシアに語りかけた。


「エリシア殿は魔法が得意とのことでしたな。では魔物討伐に付き合ってもらえぬか?お互いの実力を知ることは大切だろう」


「分かりました。いつでも魔物退治の用意はできます。魔物討伐でお互いの実力を確認しましょう」


「では、早ければ明日にでも」


 こうして三人の議論は深夜まで続いた。レオンを守るための体制は、次第に具体的な形を帯びていった。

 そして忠誠と覚悟に結ばれた三人の動きは、それぞれの実力を高めることに繋がっていった。

 レオンを守るために……その考えや行動が、今後の王国を大きく揺るがしていくことになるのかもしれない。

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