↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
105/135

第104話「エレンの覗き見」

#第104話「エレンの覗き見」


 話は少し、さかのぼる。

 オルドとエレンは、廊下の隅で小声で話していた。


「まずは……坊ちゃんが魔道具を修理なさるところをご覧になりますか?」


 エレンは思わず瞬きをした。その言葉の意味をすぐには理解できなかったからだ。


「まさか、本当にレオンは魔道具の修理ができるのですか?」


 エレンとしても一応、話には聞いていた。レオンが魔道具の修理や開発をしているということを。

 とは言えさすがに半信半疑だったのだ。

 例えばだが、裏に天才的な魔道具師がいて実はその人物がやっているのではないか?そんなことも考えていた。

 確信は無いが何か裏があると勘ぐっていた。


 さすがに三歳の子供が魔道具の修理をするとは思いづらかった。

 宮廷魔道具師の自分でも、できないようなことが子供にできるはずがない、と心のどこかで思っていた。そこには宮廷魔導具士としてのプライドもある。

 しばらくしてオルドは人差し指を立て、小声で言った。


「とりあえず静かに。魔道具の修理をしているときのレオン坊ちゃんは集中力が凄いです。なので、ここから覗き見るだけなら恐らくは気づきません」


 そうして二人は物陰からこっそりと部屋を覗いた。そこには、机に向かう小さな背中があった。

 レオンが魔道具と向き合っている。とにかく真剣だ。かなり集中していることだけはエレンにも分かった。


 そして静かだが、手は止まらない。その姿にエレンは驚いた、まるで熟練の職人のようにも見えたからだ。

 そして達人のような空気にエレンは息を呑んだ。あれはどう見ても遊びではない。本物の集中だ。とても三歳の子供が作る空間ではない。

 エレンも声を潜めてオルドに聞いた。


「……レオンは今、何をしているのですか?」


「あれは照明の魔道具ですね」


「坊ちゃんは魔道具の故障品をここで修理なさっています」


「やはり数が多いのは照明ですので、それを修理されているのかと」


 照明。

 最も基本的な魔道具の一つだ。それだけに数が多く、故障も多いのでやっかいなのだ。それを本当に修理しているというのか?エレンは思わず唾をのみ込んだ。

 そしてオルドは簡単な解説を始めた。


「レオン坊ちゃんは魔道回路の意味を理解しておられるそうです」


「本当に魔道回路の意味が分かるのですか?」


「坊ちゃんはそう言っていますね。私も未だに本当なのか信じきれない思いですが、現実に修理されていますから信じるしかない状況です」


 魔道回路の意味が分かるというが、それは本当なのか?

 エレンは自分自身も魔道具の修理をしたことを思い出した。彼女は既存回路と見比べ、ようやく違いを見つけそこを修理していたのだ。

 一方でレオンは何も見ていない。その故障した魔道具を凝視するのみだ。それで修理できるならば確かに意味が理解できているのかもしれない。


 エレンは鳥肌が立つのを自覚した。

 回路の意味は宮廷魔道具師と言われる自分でも分からない。それを理解する人間がここにいるのかもしれない……それが本当ならばとんでもない話だ。魔道具の世界が変わるかもしれない。

 しばらくしてレオンは動きを止めた。修理が終わったのだろうか?

 そこでエレンは質問した。


「もう修理が終わったのですか? あまりにも早いようですが」


「いや、いつもこのぐらいの時間ですわ。本人曰く、照明の魔道具は単純だから早く修理できるとのことです」


「いや、そんな馬鹿な。確かに他の魔道具の魔道回路に比べたら複雑ではないですが、それでも……」


 二人がひっそりと会話しているうちに、レオンは魔石をはめ込んだ。本当に修理できたのか?エレンはその光景を緊張しながら見続けた。

 しかし、照明の魔道具は点灯しなかった。


「あれっ? 点かない」


 そのレオンの言葉にエレンはわずかに肩を落とした。やはりそうだよな。そんなに簡単ではない。自分だって何度も失敗したのだ。たまに成功する程度でその多くは失敗だった。

 回路を見比べもせずに適当に修理できるはずもないだろう。

 おかしな話だが少し安堵もした。そんなこと簡単にされてたまるかという気持ちもどこかにあったのだ。


 同時にエレンは不思議に思った。

 レオンはがっかりせず、平然としているように見える。そして次の瞬間。レオンは回路配線を指でなぞり始めた。

 彼は何をしているのか?エレンにはその動きの意味が全く理解できなかった。


「……あれは一体? レオンは何をしているのですか?」


「私にも詳細は分かりませんが……手で触れることで、魔力の流れが分かるらしいですわ」


「それで、修理箇所を特定しているとのことでした」


「そんな、まさか……」


 エレンは驚愕した。指で触って魔力の流れを掴むなんて初耳だ。おそらくは過去の文献にも載っていないだろう。

 それを彼は自らの手で文献も調べずに発見したというのか?あまりにも不思議な話でとても信じられない。

 そこでオルドに質問した。


「……オルドさんも触って魔力の流れが分かるのですか?」


「いえ。私には分かりません」


「ですが坊ちゃんには分かるようで。本当に不思議なお方です」


 どういうことだ?レオンは分かるけどオルドさんには分からないとは一体どういう原理なのだ?

 エレンは理解ができず頭を悩ませるだけだった。

 ともかくレオンは再び作業に入っている。見ているしかないだろうとエレンは判断した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こっそり想い人(意味が違う)の行動 を覗き見している乙女と評すると 華がありますが実際は、、、 ただただ己の欲望にまっしぐらな 少し、いや?大分お年をめした残念な乙女
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。